KENSO ハレ紀ライブ 2003
出演:清水義央(G)、小口健一(Key)、光田健一(Key)、三枝俊治(B)、
ゲスト小森啓資(Dr)、川島桂子(Vo)
2003.11.2 川崎 CLUB CITTA'
有名なので以前から名前だけは知っていたCLUB CITTA'。
川崎駅から徒歩10分もかからないその界隈に足を踏み入れると
別世界に連れて来られたように景色が一変する。
そう、まるでここはイタリア。
中世の時代からずっとそのままの建築物が両側に続き、
レンガを敷き詰めた道に歴史の重みを感じる…てな佇まい。
少しずつ薄暗くなりつつあるこの時間は特に異国情緒を漂わす。
錯覚を起こしてしまいそうになる街並みは、実に見事である。
そんな一角にあるCLUB CITTA'も、重厚な印象の建物。
♪
なーんてかしこまってみました。
ライブってライブそのものだけじゃないんだね。
会場に入る前からもう、時間は始まってるんだよ、
って言いたいくらいにいい雰囲気で、
この先の期待が一気に膨らんでしまいました。
開場前からお客さんの長い列。でも、全席指定なのに。。。
そうなんです、この日、新作DVDが先行発売されることになってて
それがお目当てなのでした。
以前のビデオ発売の時は、早々と売り切れてしまって
買えなかった人(私もそのひとり)もいたんだっけ。
開場すると、並んでいたお客さん達は
そのまま物販購入の列に並び直ししたにすぎなくて、
ほぼ全員が順番もくずさずに移動しただけという…。
考えることはみな同じなんだと笑いながら自分の番を待ったのでした。
♪
今回、まっ正面のやや後ろというベストな席で、
メンバー全員の動きが関連付けて見られてとても幸せでした。
ライブでは目と耳はもちろん全開ですが、
KENSOの場合、ふだん使わない奥底で眠っている神経
(どこなのかはよくわからないのがもどかしいです)までも使って
全身で感じるという形でないと充分に受けとめられない。
音楽という次元をとっくに超えていて、メンバー同志、演奏側と客席側、
一対一で真剣勝負に挑んでいるような緊張感と迫力の連続で、
いつの間にか手に汗を握り、体はほてっているという状態。
特に印象的だったのが「Echi dal Foro Romano」。
曲が後半へ進むに従って演奏のボルテージも急激に上がっていくのがわかりました。
中央にいるドラム・小森さんが全神経を集中させて叩いてる姿が
コマ送りで見えて、、終了後、声をあげずにはいられませんでした。
また、この曲に入る前に光田氏の即興が少しありまして、
その中に、♪チャラリ〜ン 鼻から牛乳〜〜♪ 確かにこの旋律でした、
が3回。それも和音づかいが3回とも全然違ってて、
どういう音を押さえてるのかよくわからない不思議なフレーズとなってました。
清水さんはそれが気になったのか、ちらっと光田氏に目をやってた所も見逃してませんよ(笑)。
おっと清水さんは ♪鼻から〜なんて知らないかな。
その原曲(誰のなんという曲なのかわかりません)に気づかれたかもしれないですね。
去年に続いてゲスト出演されたボーカル川島さんも やはりすばらしかった。
太くてとがった、ぐさっと真っ直ぐ突き刺すような歌声
(去年もこんな言い方したけど)、ひと度耳にするだけで
そちらに集中せずにはいられなくなるようなお声なんです。
私は何かにとりつかれたように しびれてました。
「陰鬱な日記」での、光田氏のピアノとのかけ引きで
ふと思ったんですが、もしかしたらこの曲はあまりリハーサルしてないのかな?
歌の合い間にピアノは即興で弾いているようにも見えました。
ダブル健一氏のツインキーボード。これもかっこ良い。。
舞台の両端に分かれた位置で、二人ずっと違ったフレーズを弾いてましたが、
偶然でしょうか?一度だけ同じタイミングで鍵盤から手を離した時があって、
そのそろい具合いに、ぞくっと来ました。こんなことで感動するのよ私は。
ライブの演出は、今回少しドラマ仕立てぽかった(主観)。
清水さんが言葉を投げかけてそのまま曲に入ってしまったり、という場面もあり、
「その答えがこの音楽だ。」と言っているようでした。
MCでは、相変わらず笑いのつぼを押さえてらっしゃって、
毒舌ぽい内容の端々にも愛情を感じるような安心感があるのね。
そこんところもKENSOの魅力のひとつかなぁと思います。
清水さんが言ってた
「KENSOには3人のコンポーザーがいます。小口も光田も、ライバルです。」
て言葉に、日頃から切磋琢磨しあってるメンバーたちの姿が浮き彫りにされたように思います。
各人の実力なくしては完成し得ない音楽、そしてそのメンバーをまとめている清水さん。
これからのKENSOはどんなになっていくのでしょうか?楽しみで楽しみで。
この先もずっと見続けていきたい すばらしいバンドです。
(03.12.7〜14 そにあ)
追記:♪チャラリ〜ン 鼻から牛乳〜 の原曲はバッハの『トッカータとフーガ ニ短調』というそうです。