KOREKATA ROCK UNIT

是方博邦(g)・光田健一(key)・石川俊介(b)・長谷川浩二(ds)

2004.3.19 高円寺 Jirokichi



 3月半ばにもかかわらず、冬が逆戻りしたような寒さもおかまいなし。 2004年3月19日の高円寺 JIROKICHI は熱気にあふれていた。 KOREKATA ROCK UNIT と題した ギタリスト是方博邦氏のセッション。 メンバーは、元聖飢魔IIのベース石川俊介氏、アルフィーのドラム長谷川浩二氏、 そしてキーボードは元スターダストレビュー光田健一氏の面々。 各人その方面では活躍している人たちだが、この組み合わせは初めてらしい。

 メンバーが登場し、まずは1曲。 いきなり脅かされるほどのボリューム。 あまりの迫力で、耳が最後まで正常に働いてくれるのか心配になるほど。 途中、光田氏のアドリブソロのところで、 石川さんと長谷川さんの二人は、 演奏をしながらソロ奏者に視線を向け続けている。 二人の意識が同じところにあるのに興味をそそられた。 曲が終わるや、二人見合ってうれしそうな表情をし、 「大満足」とでも言いたげ。 ひょっとして、この曲は勝負曲だったのかなぁ?

 是方さんがしゃべる。
「この前49歳になりました。プレゼントまだもらってないですね〜。」 と客席から笑いをとる。 「今は、年を取ってもずっと音楽続けている大先輩が多くいて、 とてもよい環境になってきているから、自分もまだまだやります」と心強いお話。
 そして、曲をはさんで光田氏のことを紹介。
10年ほど前、『タモリの音楽は世界だ』という番組で一緒に演奏した時期があり、 それが縁なのかな?交流が続いているよう。 少し前までスタレビで、手の届かない場所にいたのが、 最近は降りてきていて(是ちゃんからはそう見えるらしい)、 また一緒に演奏できるようになったとか。

 光田氏がしゃべる。
「37歳になりました。」  そんなには見えない?それとも納得? 客席からはどちらともつかないような弱い反応が。 「僕、49歳まで自信がないですよ〜。」 ??なんだか髪の毛をごそごそ触って注目を引いて…あらあらそっちの話ですか(笑)。  是ちゃんは「そんな…大丈夫だよ〜」と落ち着いてフォロー。  しばらく二人のやりとりが続いて、最後には 「光田くんが○ゲても、みんなライブ見に来てよ!」ときっぱり。 うわぁ〜是ちゃんったら(- -;) その…よく知らない人は案外なんともないのかも 、、って言っても自分も知らないわ。ただ、前から会報で取り上げてたし。 とりあえず笑って乗り切るお客さまたちでした。

 最近は仕事で、キーボードではなく、コーラスだけ担当のレコーディングもやっている という話に是ちゃんは驚く。 「コーラスの仕事あったら下さい!」とすかさずアピールする光田氏に、 「ちょっと歌ってみてよ〜」と注文。 なかなか歌おうとせず、何度も言われてようやく弾き語り始めた  ♪春を愛する人は〜〜♪♪ に場内爆笑となる。
 「僕は歌うと声が変わるんですよ〜。 こういう風にダミ声でしゃべるっていうのも大変なんですよ」…!? ひとりごとのような何気ない言葉、 気になる発言じゃないですか。もう少し詳しく知りたいんだけど…。
 それはさておいて、このような場面で 声に出して歌ったのは今まで聞いた事がなく、 貴重な体験をしたような。いい感じにほどけてるみたいね。

 是ちゃん、ここぞ!という時に、女子大生チックな変なイントネーションで 「かわい〜い〜」と光田氏に向ける。 お客さんを笑わせようとだいぶ策を練って来たらしい。 そんな風に見てる人どのくらいいるのかな? 最近はどうなんだろうねぇ。 今日のお客さんはほとんどが女性だけど、どうも、長谷川さんのファンが多いみたい。 若くて、キャピキャピ(とっくに死語だわ)な女の子たち。 客席が明るく華やいでいて、普段より重くない空気で過ごしやすい雰囲気。 (そう考えると、このごろの光田氏の客席はちょっとおとなしい気がするなぁ。)

 ほかにもいくつかネタがあり、 メンバーたちが突っ込みつつ和やかな会話が進んでいく。 突っ込み役はもっぱら石川さんで、 是ちゃんの暴走トークをぎりぎりまで放っておいて 絶妙なタイミングでなだめたりする。このセンスはどこかで鍛えられたのかしら? と思ってみたり。 お客さんのほうも、そんな中に自然に身をゆだねることができて、 一緒になって参加してる。

 楽しいおしゃべりに代わり、 音楽ではがっちりと固まった力強い演奏を見せる4人。 是ちゃんの曲がほとんどで相変わらず音量も大きめだけど、 耳は既にそれに馴染んでいて このくらいがちょうど気持ちいい。

 リードギターがメインで演奏されたあと、 それにつながる光田ソロは完全にギターソロに反応していて、 音色もフレーズもぴったりはまる。 また、それを支えるドラムとベース、中でも、長谷川さんの出す音には 惹かれるものがあって、4人のサウンドをうまくリードしていくような パワーのある叩きっぷり。

 個々の演奏がほかのメンバーの演奏を引き立たせている、 と言うのかな。 互いに相手の演奏をよーく聞いていて、即座に反応し、 今この場面でしかできない音楽に意識を最大限に使ってる、と言った感じ。 緊張感というより、なんと言うか、ぴたっとひとつになった迫力が、 どの曲も どの曲も、真っ直ぐに無駄なく場内に届いて、 「これがロックというものなんだ〜!」なんてふと思ってしまった。

 さらに追いうちをかけるような、石川さんの客席に入り乱れた力強いベースソロ、 そして長谷川さんの長い長いドラムソロ。 こちらは見てるだけだというのに、迫力にやられて既に熱気を帯びている。熱い。暑い。 今夜限りなんてもったいないよ! またこのメンバーでやってほしい!終わりが近づくにつれ、 そんな思いが強くなるのでした。

 うれしいことに、6月にまた出演することが決まったそう (長谷川さんだけはスケジュールの都合で無理らしく、残念…)。 そこでも、今日のようなのや、もっとすごいのやらが繰り広げられるのだろうね。

 追記:
 光田氏のオリジナル曲も演奏した。 何と前日の夜中に2時間かけて急遽作ったものだそうで、 「春の新作」とのこと。タイトルに候補をいくつも挙げ、しっかりネタになってたね。
(04.3.29〜4.3 & 4.19 そにあ)