KENSO LIVE 鬼気迫而暖 2004

出演:清水義央(G)、小口健一(Key)、光田健一(Key)、
三枝俊治(B)、小森啓資(Dr)

2004.8.15(日) 川崎 CLUB CITTA'



 ドラム小森さんを正式メンバーに迎えての"新生"KENSOライブ。昨年があまりにも良かったので、ライブ前の期待感はメモリいっぱい溢れる寸前。いったいどんなライブになるのかな。

 演奏が始まって、まずは衝撃が走る。確かに聞き覚えのあるメロディではあるんだけど、リズムが違うのだ。へぇ〜KENSOってそういうこともするのかぁ。今までその類を見たことがなかったし(気付いてなかっただけかも^^;)、驚き。そんなCDから飛躍した演奏が2曲ほど。

 かなりテンションが高い様子の清水さんは初っぱなからお話を暴走させる。ま、内容は日本の流行音楽について。期待通りの毒舌ににこにこしながら聞いてしまった人は少なくないだろうなぁ。

 前半は暴走ついでと言っては変だが、おもしろい企画があった。「変拍子に親(おや)しむ」と銘打った、本格的な変拍子講座。清水さんの解説に小口さんや光田さんが実際にやってみせるという形で、7拍子の数え方を伝授。数え方は 『12345671234567・・・』だと能がないので、『1と2と3と半・・・』が分かりやすいそう。客席も清水さんに促され、一緒に手を叩いて参加するなんて場面は、かなり珍しいのでは?

 一回目の新曲コーナー。第一印象は「この『雰囲気』は聞き覚えがあるなぁ。あれ曲名何だったかなぁー」。そのあと続いた曲に見事に答えがあった。ここでの『雰囲気』とは、複数の別なフレーズが次々と展開していく感じのつなげ方、そして楽器の音色あたり。

 最初から立て続けに盛りだくさんなメニューを持って来られると、そのたびに次への期待感が高まるもの。演奏がひと段落するたびに今度は何?と過剰に反応してしまうお調子者の自分。期待しすぎるとあとで少しやっかいなことにもなるのだが…。

 中盤最高潮の「GIPS」のあと、自己紹介形式によるメンバー紹介。熱い演奏から一転して、おしゃべりは素朴さを漂わせているメンバーも多い気がする。そんな中、この時の光田氏は少し翔んでいたというべきか。いきなり「イェイ!」とこぶしを振り上げ、「光るに田んぼ・・・」とよくやっているいつもの調子で話し始め、他の人より少々長いめのコメント。うーーんこれは画期的かも。ただこちらは、KENSOではおとなしいものと思い込んでいたので、最初の「イェイ!」で、驚いて反応することを忘れてしまった。男性客のみなさんは好意的で、きっちり声で返していたのにはさすが。

 ふと気付けば、ギター・ドラム・key(光田氏)の3人になっている。『シヅカへの扉』はそれまでに持った様々な感情を一旦ニュートラルに戻すのに適していた。複雑な楽曲が多い中で数少ないシンプルな演奏。それがかえって強く印象に残る。

 ここからガムランの世界に引き込まれる。前回のライブでは、その雰囲気を楽しむことしか出来なかったが、今回は演奏している手元を中心にチェック。小口さん忙しそう。左手〜右手と少しだけメロディがかぶってる所、両方小口さんだったことに改めて驚く。音楽を作ることは相当大変だろうけど、そのあとの指使いや両手の分担を考えることも大変だろうな。(演奏しながら曲を作ると負担はそうでもないのかなぁ、とも思ってみるが。)

 さて、後半の新曲コーナーは、真新しい、初めて耳にする世界を持っていた。こんなにたくさんの楽曲があるにもかかわらず、まだまだネタは尽きないのだなぁ。次のアルバムも期待大ですな。

 昨年の印象が強烈だったため、今回一番注目していた『Echi dal Foro Romano』。ついつい小森さんの演奏を中心に聴いてしまう。ぎりぎりの懸命さが際立っていた前回からすると随分と普通にやっていそうに見える小森さん。これは約1年経った余裕から来ているのか、それはわからない。が、見る側としては前と同じ感情にはならなくて。冷房が少しきつくて寒かったからかもなぁ…と余談も入れつつ。演奏後はしっかりと客席から声の反応が返っていることからしても、自分は構えすぎたのかも。もう少し気楽に見ててもよかったんだろうな。

 しかしそんな気持ちはすぐかき消される。以降、定番とも言える名曲目白押しのメドレーで、見事に周りに同化できた。体が自然と熱くなる、やっぱりこれがKENSOなんだよね〜。なんて、まるで何でも知ってるかのように言ってるけど、たいしてわかってない。ははは。

 当日はあのYahooがライブ撮影に来ていた。ネットで配信があるのかな〜?
そして、毎年のようにお誘いがあるにもかかわらず、スケジュールの都合で断り続けているというアメリカでのライブ、来年は出来れば出たいというお話。是非とも実現されますよう。

 今回はここ何年か見ているKENSOとは違った進行で、こちらとしては意表をつかれた形。そのため自分の感情をコントロールするのに少し手間取り、きっと見逃していることも多いと思う。素直に音楽だけ聴けば全然違っただろう。でも…欲張りなんだよね。KENSOはそれだけ期待に応えてくれる(こんなこと恐れ多くて言ってもいいのか?と思いつつ敢えて書く)グループなんだと思う。
(2004.8.22,23 & 9.19 そにあ)

演奏曲
1.地中海とアーリア人
2.Release yourself
3.韜晦序曲
4.太郎という生き方
5.精武門
6.あの頃モビーディックと
7.そこはまあそこはかとなく
8.美深
9.GIPS
10.シヅカへの扉
11.ガムランインターリュード
12.Tjandi Bentar
13.三つ縄6/8
14.風の中の菲林
15.暁に楽師が
16.Echi dal Foro Romano
17.願いかなえるこどもをつれてゆこう
18.麻酔Part 2
19.空に光る

アンコール(多分。発表されていない。)
1.  ??
2.心の中の古代
3.Good Days Bad Days
・・・他