月刊♪ピアノうた #2005-05

ゲスト:中西保志さん

2005年5月28日(土) 京都・ART COMPLEX 1928



 照りつける太陽が夏の初めを思わせる土曜日の午後。 観光気分バリバリで京都に出向く。 今回のゲストである中西保志さん。名前と関西出身であることくらいしか知らなくて (ヒット曲があるということは知っているが曲は知らず)、 どんな方なのか想像つかず。それだけに、ライブがどんな風に進むのかも予測ができなくて ゆっくり楽しもう〜と臨みました。

 1928年に新聞社の支社として建てられた1928ビル。 その3階にあるアート・コンプレックス1928は、古めかしい教会の雰囲気を持ったホール。 いつもの光田ライブより、歌声の音量が大きい気がしたのは、 マイクのせいじゃなくてホールの響きがいいからなのか。 演奏とお客さんの拍手がくり返されるたびにそう思うようになりました。

 構成は大きく分けて、
1.ミツケンコーナー(雨の歌特集)
2.中西保志さんを迎えてのコーナー
3.ミツケンコーナー
そしてアンコール。

 なぜか健ちゃんのことミツケンって呼んでますけど、 この日は「ミツケン」と呼びたい雰囲気だったのです。 今日のところはちょっと冷静になって「健ちゃん」でいきましょうか。

 健ちゃん、もちろん歌はいつものようにしっかりと歌ってたけれど、 おしゃべりを頭っから かなーーりテンポよく強力にやってました。 それがまぁ相当おもしろくて(こんなに素直に反応出来たのは久しぶりかも。)、 あらあら今日はどうしたんだろう?と。 ま、それがうれしかったんですけど。

 第一部の演奏曲: 1.ピアノソロ
〜心の瞳が輝くとき
2.優しい雨の中で
3.カバー曲(カーペンターズ)
4.カバー曲(オフコース)
5.カバー曲(松田聖子)
6.いつか二人で

 選曲はゲストの中西さんのヒット曲を意識して、すべて雨にちなんだもの。 そんなに曲見つかるのかな?と心配しながら聞き始めましたが、 光田作品にも雨の曲って意外と多いのに驚き… とその時は思ったけど、3曲だけでしたね。もっと多く歌った気がしたのですが、 いくら考えてもこれ以外に思い出せなくて。

 ゲストの中西保志さん。 初めて拝見しましたが、なんというか、パワフル。 しゃべり声の迫力も、歌声も。 全然着飾らない、ストレートな関西弁で、ちょっとドス?のきいた太い声。 舞台の上でしゃべってる感じしないなぁ。。 話し出したら止まらない様子。 健ちゃんとのやりとりの中で、歌うようになったきっかけや、 リハーサルそっちのけで二人で語り合った話など、 知りたかったことたくさん聞かせてくれました。
 ちなみに中西さんは健ちゃんのことを「ミツケンさん」って呼んでましたよ(笑)

  実は中西さん、小学生の頃から周りと歌い方が全然違っていて目立つので、コンプレックスを持っていたとか。 だからずっと歌ったことがなかったそう。大学生になって、スティービーワンダーを聴いてから、 これなら自分にもできるかもしれない…と、カバーをするようになったそうです。 察するに、最初の基礎というか持って生まれたものが一般人からは抜きん出ていたのでしょうね。 まるで歌うために生まれて来た…みたいな。そんな人もいるのですね。驚きです。

  べたべたな関西なまりで熱弁してくださる一方で、 歌声は勝手な印象で書かせてもらうと、中西圭三さん似。 完全に歌の世界を確立されていて、歌声はしゃべってる声とは全然違う! でもでも、曲によっては、低音は話し声でも歌ってましたか。 その時は、なんというか、パワーで押し切る歌い方で、 健ちゃんとは全然〜違うタイプの人なんだと思いました。
  そう考えると、 健ちゃんは歌い方は繊細で、歌以外に、顔とかパフォーマンスとか、 別の要素も混ぜ込みつつ、全体の雰囲気で見せていく人なんだなぁと。

 このコーナーでは、中西さんの曲あり、カバーものあり、 お互いの曲でもデュエットしたりと、盛りだくさんでした。 ボーカリストの中西さんとピアノ&ボーカルの光田さん。 特にデュエットでは、二人の特徴の違いが顕著に出ていました。

 第二部の演奏曲: 7.中西さんのオリジナル
8.中西さんのオリジナル
9.愛と青春の旅立ち(J.Cocker & J.Warnes)♪デュエット
10.愛に気づいた時 ♪デュエット
11.ニューヨーク・ステイト・オブ・マインド(ビリージョエル)
12.山谷ブルース(岡林信康)
13.最後の雨(中西さんのオリジナル)

 ビリージョエルの曲は、ライブ前のリハーサルで急遽これに決まったそうで、 まだ歌い込み過ぎていない、少し荒っぽい勢いのよさが前面に出ていました。 中西さんの声質が他の曲と違っていたので、すごくお徳だな〜と思ったのでした^^。 ちなみに他の土地では、ビリージョエル作品2曲(「1ビリー」「2ビリー」と呼ぶらしい) の中から、お客さんにどちらか選んでもらうという段取りになっていたらしいです。
 「関西にそんな言葉あるよね〜」なんて言う健ちゃん。 どうも「いちびり」のこと指してるみたい。 ここでひとり大受けする私なのでした。だって…昔から健ちゃんのこと例えるなら 「いちびり」だって思ってたんだもん^^;;

 「山谷ブルース」は絶品でした。言葉を丁寧にかみしめながら歌う中西さんに、 演奏が進むにつれ、熱を帯びてどんどん激しくなっていくピアノ。 2人のコンビネーションはすばらしかったです。 あ、そう言えばこの曲もしゃべり声で歌っていましたっけ。

 ヒット曲らしい『最後の雨』という曲、なんとなく聞き覚えがありました。 無意識のうちに聞いてたみたいです。自分でも不思議です。
 この曲は中西さんの京都での思い出など織り込まれているそうです。 またプロモーション・ビデオの撮影では、中西さんは1月の真冬、 東京の絵画館(健ちゃんの曲にも出てくる所)の前で、 雨を模した給水ホースの水を大量にかぶりながらも寒さに耐えて歌ったそうで、 その姿が目に浮かんで少々お気の毒にもなりました。 しかしヒットしてほんとによかったなぁ。。しみじみ。
 話によると、今でもカラオケで、中西さんのプロモ・ビデオが見られるそうですよ。

 後半はミツケンワールドで。。 顔で歌い、おしりで歌い(?)、歌詞で歌う(これは当たり前ですな)。
→ 「歌う」は「笑わす」に置き換えてもいいと思います。 あらゆる手段でもって客席を沸かせてました。

 第三部の演奏曲: 14.海辺のアルバム
15.やさしさに変わるから
16.大人と子供
17.かえる
18.1998

 私、「海辺のアルバム」を聴くと、つい「やさしさに変わるから」を思い出すんですよね。 この2曲がつながって演奏されたので、今回少々つぼに来ました。
 「かえる」やっぱりこの曲は健ちゃんの代表曲だなぁ…と。

 「1998」は久しぶりだったのですが、健ちゃんが曲に込めた想いを、 しっかりと言葉で聞くことができてよかった。 1998年の出来事、そして出会い。健ちゃんにとってはビタミンになっている作品でもあるそう。 聴いてるうちにその世界に引き込まれて、かなりしんみりなっちゃいました …しかしなんて暗くて重い曲なんだろう〜。

  ホール自体の雰囲気とかお客さんの密度でもライブの空気は変わりますねぇ。 みっちりと椅子が並んでいて人口密度も高く、 そいでもって音がよく響くから、ちょっとした客席の反響も拍手も いい具合いに増幅(?)されて、それがなごやかな空気を作ってた気がするんです。 多分、「初めて見に来た」って人も後ろのほうにいて、 その人たちの素直な反応もすごくよかったんですよね。 私のすぐ隣の人たちも、初めてそうだったのですが、 アンコールの手拍子、すごい力入れて叩いてくれていました。 うれしかった。
 アンコールの演奏曲: 1.君とふたり ♪デュエット
2.誓い
3.こんにちは さようなら

 「君とふたり」は中西さんを再び呼んでデュエット。味わい深く、しっとりと聞かせていただけました。 しかし、♪〜絵画館の前で〜〜 のところで中西さんったら両手を広げてプロモ・ビデオ再現! なんだけど、つい客席から笑いが…

 中西さんと最後の漫才(?)をして見送った後、健ちゃんひとりに戻り「では最後に、もう1〜2曲…」。 えっ?まだ2曲もあるの??(いや、ほんの一瞬だけ頭をよぎった)  でも、最後まで丁寧にお話して歌ってくれる姿を見ていたら、 2曲聴けてよかったとちゃんと思えるからすごいのよね。

 久しぶりに元気をいっぱいもらいました。 健ちゃんの前向きで歯切れのよいおしゃべりと演奏に 自然と惹き込まれてしまって、 気がついたら元気になっているの。
  最初っから飛ばす健ちゃんのおしゃべりの原因、 もしかしたら中西さんのパワーのせいかな。 油断すると中西さんに食われてしまうかもしれないもの。 このライブは、そういう意味でちゃんと「光田ライブ、ゲスト中西さん」でした。
(05.5.29 & 8.15 そにあ)