月刊♪ピアノうた #2005-08
出演:光田健一(vocal,piano)、cico(per)
2005年8月26日(金) 大阪・フラミンゴ
関西での「月刊♪ピアノうた」も、はや三回目。健ちゃんが来てくれることにも慣れてきて、
さほどの緊張感もなくフラミンゴに到着。特に一度来たことがあるお店だと、かなり余裕で席にいられるのです。
今回は今までほとんど座ったことのなかった、グランドピアノ越しの健ちゃんの顔丸見え席。
フラミンゴは、舞台のバックがスクリーンになっていて、何台かのカメラが出演者を大きく映し出してくれるから、
見えない手元もアップで見られるので楽しみにしておりました。
舞台にはグランドピアノと、なんとパーカッションのセット。これはもしや、あの方も出演なのでしょうか。
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開演時間になって、光田さんおひとりでの弾き語りがスタート。一曲目が始まって、
ん??もしかして…変わった?そう、まず思ったのが、歌ってる顔つきが・・・もっとピンポイントで行きましょう、
口元が前とは違ってる気がする。それに伴って?声も少し違うような。
どちらかと言うと昔に戻った感じの歌い方。ちゃんと身体の真ん中を通って出てきたと思われる、
しっかりとした声。ええ声〜。
一曲だけじゃない、歌う曲歌う曲、どの曲も、余分な力がどこにもかかっていないええ声に、
私は少々気持ちをひきしめ、意識をさらに健ちゃんの声や様子に向けたのでした。
向こうがその気ならこっちもその気 ^_^。
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今年は、自身の弾き語りをメインとした活動以外にも、小田和正さんの作品へのコーラス参加、
「ピアノうた」での中西保志さんとの共演、KENSOでのアメリカ遠征ライブなどなど、
外部との接触も多かったこともあって、話題豊富に語って下さいました。
● KENSO・アメリカ公演の話 その1。
フィラデルフィアという都市からまだ奥に入った「ベツレヘム」という田舎町で、
1000人ほどのプログレファンを前に演奏を繰り広げた。
このすぐ近くにビリージョエルも歌っている「アレンタウン」という町があって、
「アレンタウン」を演奏したところ、客席から総立ちの大喝采を受け、
そのあと次の曲に入れなくなってしまった。
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これはちょっといい話ですね。それにちなんで、
ビリージョエルの「アレンタウン」を弾き語りで歌ってくれたのですが、…あれ?この歌声は???
さっきまで歌っていた声とも違う、今までに聞いたことのない声。
まるでビリーさんが乗り移ったのかと錯覚を起こしそうな、パワー全開のまっすぐな太い声と、
本場アメリカ仕込み(!?)の英語。ほんとにこれも健ちゃんなの?目の前で見ているのに信じられない。
一体これはどうなってるの??突然別の世界に来たような感覚になっちゃって、ただただ健ちゃんに見とれるばかりでした。
● KENSO・アメリカ公演の話 その2。
キーボード類は日本から持っていくことができないので、すべて現地レンタル。
アメリカのキーボードに「Prophet5」という今はもう生産されていないキーボードがあるのだけど、
日本ではメンテナンスの技術力はすごいんだと思った。アメリカではそういうわけにはいかなくて、
借りたProphet5が壊れていて、本番で音が鳴らなかった。とっさに別の楽器に代えて演奏しなければならなくなり、
せっかくの舞台で本当の演奏ができずくやしい思いをした。
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ここで、まさにその曲をピアノ1本で演奏してくれました。タイトルは「美深」。
アメリカでの時間を取り返すがごとく、しつこくしつこく食い下がるような、
力強くて粘っこい演奏。まるで、ピアノを弾いている姿が、音色が、健ちゃんの心情を語り、
そのエネルギーを放出しているみたい。聴いている者の内面に訴えるものがありました。
その気持ち、しかと受け止めましたぞよ。
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さて、今回、インストものでちょっとした新しい企画がありました。
入場時にリクエスト風アンケート用紙が配られて、『今日の気分を表すキーワード、
または、今日、光田健一にピアノで表現して欲しいキーワード』を10文字以内で書くことになっていたんです。
一部と二部の休憩の間に提出して、二部で即興でお披露目してくれることになりました。
採用されたのは「台風一過」「どうせ私は雨女よ」「受験生の娘おいてきぼり」「母リラックス日」などなど。
健ちゃんは順に途切れずに演奏してくれたのですが、これがまた高度でね〜。
私には、今どのテーマで演奏しているのかもよくわかんない。
わざわざお題を大きく書いてくれて、振り返ってそれを見るのが合図になって次のに進んでくれていたのに。
ひととおり終わってから簡単に解説してくれてたような気もするなぁ。
「○○の感じ出てたでしょ?」みたいなこと言ってくれてるけど、
今、音が一緒に聞こえてないから既によくわかんないんだなー。はーぁ、ろくな感想じゃないね。
即興と言えば、おもしろいこと聞いちゃった。季節の唱歌を何曲かメドレーで歌ったのだけど、
一曲めはともかく、途中は急に頭に浮かんだものを演奏しているみたいだよ。そんな話をしていた。へぇ〜。
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紹介が遅くなりましたが、「あの方」の存在は無視できませんね。そう、cicoさんです。
主にアップテンポな曲で登場しては、メインでは木製の一斗缶の椅子のような「カホン」を叩いて、
たまにスタンド型シンバルを叩いて、
縦型の細い釣り鉄琴みたいなの(どなたか名前を教えて〜)をしゃらしゃらと指に引っ掛けて鳴らしていたの。
コーラスももちろん。さっきの即興インストコーナーでは、お題を書き出して、演奏中ずっと掲げてくれていたのです。
今や健ちゃんにはなくてはならない存在になってますよね。
新曲は二曲あったんだけど、一曲はcicoさんと二人でやってくれたんですよ。
『南風』と書いて「はえ」と読むんだそう。リズムにのってさわやかに〜メロディも流れるように自然。
歌詞は恋愛ものぽかったんだけど、この手の歌詞、長いこと歌ってなかったよね?すごく久しぶりな気がしました。
もう一曲は、健ちゃんおひとりで、『いつでも いつまでも』という、本人曰くバラード。
歌詞は…ちょっと難解で。一筋縄ではいかないようなかなり気になる内容。こちら、
テンポはゆったりしていてとても自然な流れの曲。でもなんとなく『南風』とメロディの飛び移り具合いが似てるかも。
歌声は、一部分裏声になるところがあって、それがこの曲の聞かせどころな気がする。すごく味のある裏声。
前回京都での「月刊♪ピアノうた」で、健ちゃんの裏声が少し変わったような気がしたんだけど、
それが見事に活かされてる。即戦力って感じでほれぼれしました。
この頃丁度アルバムのレコーディング中だったらしいんです。アルバムタイトルは『ナチュラルマン』、
言い換えると「自然体」だそう。なんだか、このタイトルには深い意味が込められているようで、
そのあたりも話してくれたの。聞いてて考えさせられる内容だったな。この辺の話は是非とも健ちゃんの言葉で、
直接聞いてみてほしいと思います。
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以上、印象に残ったものをかいつまんでお送りしました。
なんと言っても、今回、健ちゃんの変化には目を見張るものがありました。
すごい。すごすぎる…。今まで経験したひとつひとつの出来事が、
健ちゃんの中で血となり肉となり骨となり(?)、あとへ続くちからとなっているのかもしれないですね。
これから先が楽しみでもあり、いい意味で恐ろしくもあり…。
私たちも置いてきぼりにならないよう、ちゃんと健ちゃんを見続けていかなくては!
(2005.9.11〜18 そにあ)