2006 KENSO LIVE
うつろいゆくもの

出演:清水義央(G)、小口健一(Key)、光田健一(Key)、
三枝俊治(B)、小森啓資(Dr)

2006.10.22(日) 川崎 CLUB CITTA'



 《 感想メモ 》

  いつもの川崎クラブチッタ。天気は小雨。例によって会場前には開場を待つ長蛇の列。入場と同時に待望のDVDを入手してひと安心。客席に流れるBGMは、中国民謡の琴らしき調べ。しばらく聞いていて「あれっ?」。KENSOの初期の作品…に似たフレーズがある。これは一体何なの?そして何を意図して流しているの?

  メンバー登場でまずは短めに一曲。「…まさか???」一瞬不思議な気持ちになる。これってブルースぢゃないかい?KENSOってこんな音楽もやるの!?知らなかったよ。
  続けて、「あれ?」新アルバムからの曲でない。聞き馴染んだ過去の作品たちのお披露目に、そして先のブルースサウンドも含めて、出鼻をくじかれた(?)感じ。新曲をガンガンに聴かせるライブになると身構えていたのに。

  とか思っていると出て来たよ。新作からはアルバムの順番どおりやってくれたので曲名が一致した(ちょっとほっとする)が、途中からはもうだめ…新作ということしかわかんない。能力の限界を超えているのさ、情けないことに。

  清水さんのMCその壱。
  少し前に腰をやられて、さっきまでコルセットをはめていたとか(それは大変!)。「小口くん作曲の『ギプス』のアンサーソングで、『コルセット』なんて新曲を出そうかな」だって(笑)。自分の不具合いを笑いのネタにするなんて、体張ってますな。
  あのぅ、ちょっとよろしいでしょうか?「ギプス」はどちらかというと「ギブス」じゃございません?まぁ細かいことは気にしないけど。 …と思って辞書で調べてみたら。。あれれ?「フに○」でいいそうな。「フに濁点」でもいいが、むしろ「○」が正式だとか。〜〜ひとつ勉強になりましたm(_)m

  清水さんのMCその弐。
  『うつろいゆくもの』レコーディング期間中に清水さんが光田スタジオに行った話。キーボードの調子が悪く、中を開けて見てみることになった。鍵盤を維持する大事な部分がイカレていたそう。清水さんは過去に自分のギターを改造した経験から試しに処置したところ、これが見事に直ったんだそう。 音楽を正規に学んだ人へのコンプレックスやら何やら、光田氏には多少なりのひけ目を感じていたらしい(そんなの初耳!おっどろきです)のだが、この時ばかりはほんの少し優越感を覚え、そのあと見違えるほど明るく過ごせたとか。 普段の印象からは想像のつかない清水さんの意外な一面が披露されて、なんだかすごく近くにいる人のように思えた。

  清水さんによるメンバー紹介。
  素の小口さんに絡んで客席を笑いに巻き込む、いたずら小僧な清水さん。光田氏とはよくつるんでるようで(?)、オヤジたちの会話を披露するが、Tシャツに「女脱ぎ」やら「男脱ぎ」なんてのがあるらしいですぜ、奥さん。三枝さん&小森さん…なんと女脱ぎのタイプだそう(!)。前代未聞!バスドラム4つも並べてる小森さんにはソロで叩いてもらう。

  ひととおり新曲の応酬のあと、再び馴染みの曲群に。光田氏のソロでは『謎めいた森より』をはさみ込んだり、アドリブの中に「ビートルズ」や「高校野球」も溶け込ませている。過去の例からして、光田氏のアドリブには絶対にその演奏理由があるのだが、今回察するに、キーボードの音色が似ている曲を選曲したのではと思う。高校野球は、NHKで試合前に流れる学校紹介のバックでかかる音色。きっとこれだ。

  初めのうちはそれほど気にしていなかったが、どうも、熱演のさなか舞台の方向から大量に発せられる空気…音圧・気圧(?)…小森さんあたりがよく言いそうな「気」がすごくて、それを身体で感じて受け止めるという感覚が、すごく気持ちよいのだ。これは会場でしか絶対に体験できない。いくらCDを大音量で流したとしても。生演奏のすごさってのはこういうことなんだな、と改めて思う。こりゃ癖になりますよ、旦那。

  小森さん。ドラムさばきからアメリカでは「オクトパス」と呼ばれていたとか。ひと目見たらばもう目が離せなくなるそのプレイ。私にゃ「千手観音」に見えるのでございます。

  ラストの盛り上がりを煽る定番曲には久しぶりに聴く作品があり、ちょっとうれしかった。でも3曲連続の最後が『空に光る』なら、これがライブのラストソング。。。と誰もが予想すること。それを清水さんは見事に受けて返した。「ここで終わりだと思ったでしょ?まだあるんです。」 ・・・てことはまさかあの曲!?新作から光田氏の曲がまだ披露されてないのだ。
  演奏されたのはまさしくその曲だった。初めてアルバムを聴いた時から、なぜこんなに過去のKENSOの雰囲気を持たせているのか、なぜ光田氏までもが同化するのか、不思議に思った曲である。彼の思惑については、ライブ直後に本人がブログで語っているのでそちらを参照されたし。

  ラストに新曲を持って来たことも、それが光田氏の作品だったことも、衝撃だった。常にひとつところに留まっていない、日々移り変わり進展してゆくバンドの姿を見たような気がした。

  アンコールは完全にファンサービスだな。
(10.23 & 12.9 そにあ)

演奏曲
 ブルースっぽい曲
 心の中の古代
 願いかなえるこどもをつれてゆこう

 美深

 痛ましき晦冥
 あの頃モビーディックと
 そこはまあそこはかとなく
 木霊の舞う情景
 シヅカへの扉

 三つ縄6/8〜
 風の中の菲林〜
 暁に楽師が

 GOS 〜小口さんソロ〜
 Tjandi Bentar
 三枝さんソロ〜
 A Single Moment Of Life
 光田さんソロ〜
 Echi dal Foro Romano

 Power of the glory
 麻酔Part 2
 空に光る

 Rhyme-stone in Cotswolds

アンコール
 月の位相2
 〜月の位相1
 〜ロックなイントロ
 〜精武門