シリーズコンサート Cloud9
光田健一 光のオーケストラ・コンサート
「雲のまにまに #06冬」

2006年12月17日(日) ラゾーナ川崎プラザソル

Cloud9コンサート       出演
光田健一 (Vocal,Piano)
山内和義 (Bass,Cho)
設楽博臣 (Guitar,Cho)
斎藤久美子 (Cho)
井上"Cico"浩一 (Per,Cho)
森琢哉 (Violin)
岸倫子 (Violin)
細川亜維子 (Viola)
慎子 (Cello)


  川崎駅前に10月オープンしたばかりの商業施設・ラゾーナ川崎の5階にあるプラザソルにて、12月の週末を中心に行われたシリーズコンサート。「クラウドナイン」とは、be on cloud nine とっても幸せな状態という意味らしい。その一日を光田氏が受け持った。

  会場に入ってみると想像していたよりも小さなホールで、客席は縦よりも横に長く一列ずつ段になって、どこに座っても見やすそうなつくり。 さぁ どこに座ろうか…舞台の楽器位置をチェックすると、中央のピアノを挟んで左にバンドさん、右には弦楽さんとパーカッションに分かれている様子。ここはすかさず、弦楽さんでしょう!運良く空いていた右側の席をゲット。

  開演5分前の「ロビーにおいでのお客様はお席におつき下さい」のアナウンスで少しばかり緊張感が漂う中、客席が暗くなりオルゴールっぽいオルガンの音色が流れ出しました。ほどなくして舞台そでから弦楽さん4人が登場です。まずは4人だけで演奏が始まりました。
  このイントロは!…冬にぴったりなあの曲…健ちゃんの弾き語りでは寒々とした空気感を出しているあの曲…。頭の中でタイトルが駆け巡っているところに健ちゃん登場です。舞台中央で立ち止まり、スタンドマイクでなんと直立して歌い出します。
1.冬の星座
  この厳かな雰囲気。4人の弦がとても自然に、少しかしこまったような歌声とよく混ざり合います。開演を飾るにふさわしい一品でございました。

  演奏が終わるや、健ちゃんはピアノに移動。この5人で始まったのは、聞き覚えありありのインストゥルメンタル作品
2.Occanus〜オケアノス・海の守り神
  後半部分からの演奏。その間にバンドメンバーが次々と現れて位置に着きます。「入場のための音楽」を兼ねての生演奏が立て続けに二曲も。なーんておしゃれで豪華なんでしょう。早くも、ため息です。

  さぁ、全員が揃ったところで、
3.光をさがして
  本編一曲目がこの曲。…なるほど、そういうことか〜とひたすら感心する自分。生弦楽での「光をさがして」は、健ちゃんのひとつの理想なのだろうなぁ。CDでは伝えきれていなかった何かを受け取った気がする。この形で聴くことが出来て満足。

  さて、おしゃべりでひと息。今回、衣装を派手にして来たんだって。全員が白でまとめている中、一見して健ちゃんもさほど変わらず、すなわち派手とは思えない。敢えて言うなら、ひとりだけ薄い黄色がかったラメ入りのマフラーを引っ掛けてるとこくらいですか。それ以外に何もないもん。 で、改めて見てみると、そのマフラー姿がなんとなく「美川憲一さん」なんだよね^^ 髪型も前髪にそれとなく特徴があって。気にし出すといつまでも付きまとうので、ここだけの話ということで。
  話としては、ほかにコンサートのタイトルについて詳しく説明していました(前述の通り)。

  少し和んで演奏再開です。
4.南風〜Hae
5.A Dancer Unknown〜見知らぬ国で
6.美しい想い出に
  もともと弦楽器を意識して制作されたであろう楽曲たち、そんな作品が次々と披露されます。元の編曲に忠実に、派手になり過ぎないさりげなさが漂います。 どの曲にも言えることなのですが、特に『見知らぬ国で』は原曲の弦楽三重奏を見事に膨らませて、触った感じは似てるのに中身が濃くて深い味わい。この編曲の技はすごいです。

  以降は特別おしゃべりもなくメニューがてきぱきと進んでいきます。
7.優しい雨の中で
8.出逢い
9.やさしさに変わるから
  こちらは弦楽さんとピアノの競演が中心。それぞれの曲の前には、雨音・車が行き交う音・海辺のざわざわした効果音が使われ、一瞬でその世界に引きずり込まれるような錯覚を覚えます。演奏は、一曲につきひとり主役の弦楽さんがいて、ソロ演奏で目立った旋律を披露していました。『やさしさに変わるから』の後奏の部分は、原曲のようにピアノではなくて、弦楽の4人さんによるもの。これがまた素敵なんだから。その間に健ちゃんは一旦舞台を離れました。

  スタンドマイクが4本立てられ、その前にはバンドさんと弦楽さんの全員が並びます。そこに衣装替えした健ちゃんが登場しスタンドマイクで真ん中に割り込みました。
10.かえる
なんとなんと!全員が声で大合唱するアカペラです。舞台左から、cicoさん&久美ちゃん、たらちゃん&山さん、リードボーカル健ちゃん、森さん&倫仔さん、細川さん&慎子ちゃん。おそらく、コーラスは同じ音を二人ずつ1本のマイクで歌っていたのではと思います。その言葉は、♪クワッ クワッ とか、♪ゲロゲロ〜 といったカエルの鳴き声で、ちょっとした手ぶりもあったかも。バックがしっかりしているから健ちゃんも安心ですね、思いっきり弾けて楽しそうに歌ってましたよ^^。

  見事に歌い切ったあと、全員楽器に戻りました。続く曲は、先程とはがらっと変わって声の全く入らない演奏です。健ちゃんは小学校で使ったようなソプラノリコーダーを取り出し、曲の説明を始めます。フランスの作曲家、モーリス・ラヴェルの『ボレロ』という作品なんですが、これは元々三拍子の曲で、違う管楽器ばかり次々と出てきて延々同じフレーズが繰り返し演奏されるもの。今回は、初めは原曲ぽく静かに、途中から変拍子…3+3+4=10拍子にアレンジし、どんどん大きな音に盛り上げていく…なんて話。ちょっと心構えをして舞台を見張りました。
11.ボレロ
  健ちゃんのリコーダー・ソロから始まり、徐々に膨らんでいって、いつの間にやら10拍子に。オーケストラ風バージョン、バンドさんメインのリズムバージョン、さらに全員が大音量で、豪華に変拍子を刻んでいました。この迫力ったら、なんと形容したらよいのでしょう。単純に時間経過による心の変化に加え、変拍子によるもの、楽器編成の違いがもたらすもの、それらが複雑に絡み合って、聴く者の内面を揺さぶります。急激に体温が上昇してしまい、演奏が終わるや、歓喜の声を上げ、拍手喝采せずにはいられない。場内は目一杯沸き立ち 一気に爆発、この曲で空気が一変したのが はっきりとわかりました。

  まだ止みそうにない歓声と拍手で、歓迎を受けるかのように始まったのが
12.Naturalman
  健ちゃんは、ここ一番の この場面で『Naturalman』を聴かせたかったんだなー。そんな気持ちが伝わってきて、妙にうれしかった。

  もうこのままダッシュです。
13.スクリーンの夢
14.Cry'n smile
  あくまでも原曲に則した巧みな和音(弦)遣い。ロックな『Cry'n smile』も、健ちゃんの手にかかると、このとおり見事なもの。

  続いての演奏は、某所にて発表の曲目表によりますと…
15. 師走の大慌てメドレー2006
〜White Christmas(弾き語り)
〜Joy to the World(全員コーラス)
〜主よ人の望みの喜びよ(Gt+Pf〜+カルテット)
〜ツィゴイネルワイゼン[Violin Solo]
〜第九交響曲
〜剣の舞(Violin対決Part1)
〜UFO
〜チャールダッシュ(Violin対決Part2)
〜空が好きだった君に(カルテット + Piano)
〜G線上のアリア
〜そりすべり(全員+ステージ前カホン)
〜ジングルベル
〜そりすべり
〜ジングルベル
〜青い山脈
〜ジングルベル
〜Silent Night(全員ア・カペラ)
  長い長い壮大なるメドレー。演奏は一曲まるごとやっちゃうのもあれば、一瞬で終わるものもあり、曲の一番おいしい部分を取り出してうまくつなげてありました。一曲だけ健ちゃんのオリジナルを忍ばせてあるのが憎いじゃないですか!
  途中でcicoさんが舞台から消えたかと思うと、しばらくしてサンタ姿で登場、舞台前方にあったカホンを演奏して注目を浴びていました。また、バイオリンの二人がソロを奪い合うように交互に立ち上がって弾く曲は 見た目にも激しく、「大慌て」感をよく醸し出していたかも。 ところどころに声のハーモニーもあって、全体的には暖かい雰囲気のメドレーで、次は何が出てくるのかと わくわくしながらしっかりと楽しんじゃいました。

♪ アンコール ♪

  盛大な拍手に応えてメンバー登場です。今回、弦楽さんはバイオリン森さんひとりだけ。「まだできたてだけど、早く聴いてもらいたくて…。」なんと未発表曲のお披露目です。
1.新曲
  …さわやか系ですかね。まだ詳しくは言えませんが…CDになって発表されるのも楽しみです。

  アンコールはもう一曲用意してくれてました。残りの弦楽さんも入って、全員で
2 いつでも いつまでも
  大イベントを終えようとしてるんだもん、健ちゃんは今頃ほっとしてるかも…でもこの曲、案外手ごわい作品だから、気を付けないと…なんて思いつつ聴いてました。で、途中少しにやついてしまった自分なのでした。
  なぜだかわからないけど、よくアンコールの時に大事な曲をやったりするんだよね〜今回もそのようで…。 壮大なる生弦サウンドは、おそらく発表してくれるであろうDVDにて、是非ともゆっくり味わいたいと思いますです。

♪ Wアンコール ♪

  今回のコンサートは、アンコール2曲だけではとても気が治まらない。すかさず再コールが始まって、それに応えて健ちゃんひとりで出て来てくれました。ピアノの前に座って
ありがとね
  久しぶりに聴くなぁ。。なんて思っていたら、健ちゃんも久しぶりに歌ったようで、咄嗟には歌詞が出て来ないらしいの。途中で一瞬客席に尋ねてきたり。さっきまで、大舞台でバンドをまとめてる えらーい人だったのが、急にこちらに歩み寄って、一緒に歌ってるただの人(笑)になっちゃった。
  その後は、意味は合ってるけど、言葉づかいが微妙に違う『ありがとね』が聴けたのでした。客席の自分も、惜しい!と思いながら正しい歌詞がやっぱり出て来ない。お互いさま?似た者同士?で片付けてよかったですか?(^e^)

  今回のコンサートは、特別感が初めから終わりまで漂っていた。なんと言っても「光のオーケストラ」、舞台横に陣取るビデオカメラ。そして、演奏・おしゃべりに一瞬の無駄もなく過ぎていく時間。ひと時も気を抜けない、気を抜いてる暇がない、引き締まった空気が流れていた。いつも聴いている音楽が、弦の音色で奏でられることの贅沢さ。心も豊かに、ほんとうに幸せな状態になってしまった(コンサートの主旨は的確!)。

  編曲家としての健ちゃんは、弦の4人を団体扱いせず ひとりずつ個性を引き出そうと、それぞれにちゃんとソロの見せ場も作っている。そこんところは、さすが!と思う。聴く人だけでなく、一緒に演奏する人の心も掴んでるのだよね。
  そのほかにもいろいろとある…うまく言葉に出来ないけど。…自分の好きな編曲家のタイプなのだ、これだけははっきり言える。

  今回は200人ほどのホールだったけど、もっと大きなところで、ファン以外の一般の大勢の人たちの前でも演奏してほしい、光田健一のことを知ってほしい、なんてことも思った。でもこの先、近いうちに何か大きなことが起こりそうな気も…なんとなくね。絶対まわりがほうっておかないよ、ね。
(12.23-24、2007.1.20-25 そにあ)