D O O M 型 ゲ ー ム の 変 遷


3Dアクションゲームの中でDOOM型ゲームというジャンルが既に確立されている。
現在では似たようなゲームがかなり増えた。
それらのゲームに関して多少の見栄えが違うようにしか思われていない。
だが、内部処理方法が全く異なった構造をしている。


3D+2D
オブジェクトの配置 DOS用のゲームのほとんどがこの方法を用いており、3Dのマップの中に2Dのオブジェクトを配置している。
分かりやすく図にすれば右の様な感じになっている。
つまり、マップは完全な3次元だが、モンスター等のオブジェクトは平面になっているのだ。
壁や床、天井、扉の動作に比べてモンスターは前後左右、場合によっては上下移動と、かなりちょこまかと動きながらファイヤーボールを撃ったりと絶えず変化している。
これを3次元オブジェクトにすると思いのほか処理が大変になる。
そこで2次元表示することにより、かなりの処理を軽減できる。

オブジェクトの貼り付け それにも関わらず全てが3次元に見える仕掛けは、左の様に微妙に向きを変えた画像を数十枚入れ替えることにより、うまく表現している。
いわばパラパラ漫画の様な感じである。

だがここで一つの疑問が浮かぶ。
”ディスプレイ画面が平面である以上、そこに表示される限り、3Dオブジェクトでも2Dオブジェクトでも結局同じではないか”ということである。
実はこの疑問が「3次元+平面」の最大の欠点を示すことになる。

回転するオブジェクト これはDOOMの画面であるが、ある地点を基点に1歩も動かずに、左右を振り向いた画像である。
まず、真ん中の画像をみると、死体のオブジェクトは、その奥の段差と平行にある。
だが左を向いた画像である「上」と右を向いた画像である「下」は明らかに段差とは関係なく”回転”して見える。

プレイヤーが左右を振り向くとその位置での視線に対してオブジェクトが結果的に常に垂直を保ってしまうため、逆にオブジェクト自体が回転をしているように見えてしまうのである。

反対にオブジェクトを基点にしても同様で、それを見ながらその周囲を回るとオブジェクトも一緒に回転して見える。

また、3次元に見えるマップだが完全な立体構造を作成できない。
つまり1階と2階を完全に別構成することが出来ないのだ。
DUKE 3D等ではうまく板一枚で立体構造に見える様な工夫が随所に見られる。

DOOMシリーズ、DUKE NUKEM 3Dシリーズ、BLOOD、SHADOW WARRIOR、REDNECK RAMPAGE等でこの様なデータ構造になっている。
( FINAL DOOMは Windows用だが、オブジェクトのデータ自体が平面で用意されているので同じ設計である)

これらの欠点を含むものの、それ以上に難解で面白いマップデータや飽きさせなくて味のあるモンスター等の登場により我々を楽しませてくれる。
今でもDOOM等は面白いと思う。


3D構造
QUAKE CPUの発展とともにPentium時代が訪れ、処理能力がさらに向上した。
QUAKEを迎えることにより、オブジェクトまでもが3Dになり、ようやく全てが完全な3D構造のゲームを手にすることとなる。
人によってはDOOM型ゲームと、QUAKE型ゲームを区別するのは、この事が起因するのかもしれない。

QUAKEは基本的にDOS用のソフトだがデータ構造は完全に3Dなので、どの向きからでも自由に表現できる。
ただ、残念なことにモンスター等のオブジェクトがどことなくカクカクしており滑らかさがいまいち物足りない見栄えではある。
全てを力技で3次元表現するには当時の限界なのかもしれない。

また、マップ構造も完全に3Dとなり、立体的に複雑な建造物も可能となった。


詳細な3D構造
HALF-LIFE CPUやグラフィックボードの発展により、かなり高度な処理をしても追いつくようになった。
VooDoo系グラフィックボード専用の「Glide」や、ほぼ業界標準化されている「Open GL」、マイクロソフトによる「Direct X」等のグラフィック用APIを利用することにより、高速で緻密、奇麗なゲームが今まで以上に作りやすくなっている。

この恩恵により、オブジェクトの詳細部分も表現出来るようになった。
QUAKE2、SiN、BLOOD2、HALFLIFE等を見ればその違いがはっきりするはずである。
さらなるゲームの発展が期待される。

ただ、マシンスペックの向上も必要となり、もはやPentiumマシンではスローモーションになってしまうかもしれない。
ゲームとマシンスペックの追いかけっこになってしまうのは、ある意味むなしくも思える。

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