18きっぷの風景
(2000/08/13)
社会に出て数年経った頃、“青春18きっぷ”がデビューした。学生時代は周遊券をよく使ったが、就職してからはそんなヒマはなくなり、出張はおろか外出の機会もロクにない職場だったのでこの趣味からは自然と遠ざかっていった。良く言えば“仕事一筋”の20代を過ごしていたわけだ。
30代に入り職場も変わると多少のまとまった夏休みというのが取れるようになったので、一度だけ使ってみたことがある。この時は5枚綴りで重宝したが、何やら最近は使い勝手がえらく悪いようだ。
この夏の18きっぷのポスターを駅で見て少なからず驚いた。このきっぷのポスターの写真が気に入っており毎回楽しみにしているのだが、今回については自分が過去にほとんど同じ写真を撮っていたからである。
79年夏の北海道、厚床駅。列車待ちの間に駅名標とリヤカーの取り合わせに風情を感じて写した一枚だが、ただそれだけでその後は見返すこともなかった写真である。
列車に限らず有名な撮影地においてはこういうことは別段珍しい事でもないかもしれないが、まさかこの駅のこの風景を21年経って、しかも駅のポスターで見ようとは夢にも思わなかった。まさにドラマチックな瞬間である。これがTVドラマならそこから回想シーンに入って行くのだろうけれど、そんな絵になるような過去もヒマもない。せいぜい今回の写真を撮った人はどんな人かと想像を巡らせる位である。
さてこれは厚床駅が呼んでいるのではないかと勝手に解釈し、今、このきっぷを使ってこの駅まで行こうとするとどの位かかるのだろうと時刻表をまくり始めたが、結論は青森あたりで挫折するだろう、というのが出たので止めた。
“とりあえず周遊券買ったら〔十和田〕か〔八甲田〕に乗って連絡船へ、函館からはそこで考えよう”という発想から抜け切れていない自分も情けないが、時刻表に記された実状も情けない。見方を変えれば、日本の鉄道もアメリカナイズされてきたのかもしれない。