スイッチング電源とノイズ (A 2)

 ビデオ編集装置等、複数の装置を接続した時、ラインノイズで悩まされる時がある。このトラブル、オーディオ系でよく発生し、原因になっている装置の入力側にスイッチング電源を使用した装置が接続されていると顕著に発生する。その原因の多くが、回路パターン不良や不適切なワイヤリング等の構造上の問題によって入力端子のGND側とメインGNDとの間に抵抗成分を発生させ、その抵抗部分にノイズの含まれた電流が流れてノイズ信号(電位)に変換され、増幅されるためである。

上の図はスイッチング電源回路の一例である。スイッチング電源はその動作理由より多量のパルス性ノイズを発生させる。発生したノイズは他の電子機器にとって有害なため、インダクタとC1からC7で構成されるフィルター回路で外部に出ない様にしているのだ。しかし、全てのノイズがここで吸収され消滅する訳ではないのだ。その一部はC2,C4を除くC1からC7を通ってアースに流れるのである。さて、このアースはどこえ行くのであろう?このアースだけ独立して地中深く埋めた導体に接続されていれば良いのだがそうではない。なんと入出力信号端子のGND (アース) と共通なのだ。つまりAC100Vと入出力信号端子のGNDは8600pFのコンデンサーで接続されていて、そのAC100V電源に含まれるノイズとスイッチング電源のノイズがGNDにウヨウヨしてる訳だ。

今度はこれらのノイズが、どの様にしてノイズ信号に変化するのか解析して見よう

ここでは例として、上の図の様に装置(A)(B)(C)をシリーズ接続し、(B)(C)が問題のある装置としょう(R1,R2は先に述べた不良構造上の抵抗)。装置(A)の電源部で発生したノイズ電流aは装置(B)のR1により電位に変化し、AIにより増幅されノイズ信号bなる。更に装置(B)の電源部で発生したノイズ電流cは装置(C)のR2により電位に変化し、ノイズ信号bと合成されA2で増幅されノイズ信号になる。

この様子を式に表すと d=(a×R1×A1)+(c×R2)×A2 かな?何れにしてもR1,R2の大きさによってはかなりのノイズになることが想像できる。

さて、その解決方法は‥‥

 その1、メーカーにお返しして別のものを買う。
 
その2、メーカーに修理させる(あまり期待できない)。
 
その3、自分で直す。

自分で直す」場合、 要するに有害な抵抗成分(R1,R2)を限りなく0Ωに近づければよい訳だから簡単だ。高感度なテスターを使用して入力端子のGNDと出力端子のGND間の抵抗値を読む。問題があれば、そのGND間を太い導体で接続する。

最後に、一例を報告‥‥

パワーマック8600 (AV付)の場合

オーディオ(RCAピン入力)は最悪であった。有害な抵抗成分が2.6Ωもあり入力端子のGND側に触れただけでノイズが発生。その1 の方法で解決した。それにしても、AVにこだわりのあるマッキントッシュがこんな製品を販売した事に落胆した。

ティアックM-06ミキサーの場合

ビデオ編集に使用しているがノイズ発生。有害な抵抗成分0.7Ωで その3 の方法で解決。
HOME