3ラインCCDを使用したイメージスキャナのフレアー (C 7)

期待に胸膨らませ、初めてのスキャニング・・・。その出来上がったデーターを見て・・・

「何だ、こりゃ!!!」 であったのだ。

解像度はあるのに、細部はモヤが掛かったようで像が浮いてこない。つまり、全て紗をかけて撮影したようなのだ。アパーチャの問題かと思い、改善を試みたがダメだった。こんな製品を製造販売していること事態が信じられなかった。

以下の記述は、印刷データーとして問題があり、何とか解決出来ないものかと模索した結果である。

このページで使用したスキャナーは、M 社のDimage Scan Multi F-3000である。まず、上の左右の画像を比べて見よう。左の画像はスキャニング後、フォトショップのアンシャープマスク(適用量100%、半径1ピクセル)でシャープ補正した。しかし、フレアーが多量なため、細部のコントラストが不良で、シャープ感が出ず、色も濁っている。顔の表現は霧のかかった風景の様である。

右の画像は、同じスキャニングデーターを、アンシャープマスク(適用量80%、半径1ピクセル)でシャープ補正後、フレアー成分を打ち消すために、再度、アンシャープマスク(適用量24%、半径18)の補正を加えた。どうだろう、右の画像の欠陥を全てクリアーしている。原版に近いイメージである。   

しかし、この補正が有効なのは画面の中心付近のみで、周辺部ではさらに強いフレアーが発生するため補正しきれない。実は、このサンプル画像、中心部からトリミング拡大したものである。

Webの画質ではその差は分かり難いかも知れないが、実際はかなり差が出ている。ブラウザもIEとNavを比べるとIEの方がJPEGの再現性が良い。

入力 DATA
 原    稿  6×9板 カラーポジフイルム
 スキャン設定  入力解像度 1128bpi(8bit)


次に、周辺部で発生するフレアーの実態を見よう。特に、画面下側で強く発生する。

まず、室内を適度に暗くしてモニターを見て欲しい。バンパーの拡大画像を見るとバンパーの下側や黒い帯の部分が灰色に見える筈だ。本来この部分は背景と同じ黒色なのである。フレアーは中心から外側に向かって発生し、アンシャープマスクで補正しても消えない。画像の内容によっては非常に目立つ時があり、クレームの原因になる。

入力 DATA
 原    稿  35mm カラーポジフイルム
 スキャン設定  入力解像度 2820dpi(8bit)


この後、このフレアーをフォトショプのヒストグラム機能で観察したデーターお見せする。

ヒストグラムデーター

補 正 前

▲A 図 中心付近を観察したものである。黒レベルの濃度の、明るい方向に向かって下がりきれないで停滞している部分が、フレアーである。

▲B 図 画面下側、左右中央付近を観察したものである。更に強いフレアーが発生している。A 図に比べ、幅(フレアーのはみ出し量)は同じ程度だが振幅(強さ)が増大している。

補 正 後

▲C 図 A 図データーにアンシャープマスク(適用量20%、半径15ピクセル)を施した。かなりフレアーは減少している。

▲D 図 B 図デーダーに同様のアンシャープマスクを施したが、あまり改善されずフレアーは残っている。

 

入力 DATA
 画 像  素 材  リスフイルムで製作したパターン(35mmサイズ)
 スキャン設定  入力解像度 2820dpi(16bit)

メーカーの対応
CPRが指摘するまでM 社にはフレアーの認識がなかった。その後、M 社は技術的調査をし、CCDイメージセンサーの全面に取り付けられた保護ガラスの反射が原因であること、さらに、そのCCDは既製品であるため性能の改善は出来ないと説明した。しかし、種類は違うが、同じ様に保護ガラスを装着したCCDを3枚使用した、3板式ビデオカメラの画像を精査したが、問題のフレアーは認められなかった。

フレアーの対策
3ラインCCDを使用したスキャナーのフレアーは他社製でも認められる。しかし、Dimage Scan Multi F-3000はそのレベルが大きすぎる。さらに、同社製の35mm専用機で画像のあまいのがあると聞くが、これも光学解像度の不良ではなく、フレアーが原因と推測する。他社製の多くはそれなりにメリハリのある画像であるから補正を施しているのだろう。しかし当該スキャナーでも先に述べた補正対策を施せば見違えるような画像になるかも‥‥。

ただし、この補正方法も欠点がある。フレアーは明るい部分から暗い部分向かって発生する訳でその逆はない。だが、アンシャープマスクは明暗両方を補正する。その結果、明るい側はフレアー(電子的表現ではスミア)がないので過補償(レベルが上がる)となる。画像上では、ハイライト付近の調子がクリップ気味になり、滑らか差が失われる場合がある。

それにしても、雑誌等で「M 社のフイルムスキャナーは画像があまい」と評価されているのに、それを疑問と感じないで後続機を開発する技術者の映像に対する「感性」の低さを感じる。「感性」があったなら、製品にフレアー補償回路が組込まれていた筈だ。

フレアーの問題以外に
色再現に重要なファクターの一つになる、シャドー付近の色再現がまるでデタラメなのだ。
原因はRGBトラッキングの不揃いとトーンのつぶれだ。画像信号の処理は専門メーカーのチップを採用してると思うのだが、余程、周辺処理の設計がへたくそなのだろう。さらに、このシャドーの荒れ方から、取込み 12 Bit カラーという仕様もウソであることが解る。事実とんでもないほどの階調飛びで補正もできないのである。

平坦な絵柄が、むら (斑) になる。これは最悪だ! 背景など均一で平坦に撮影された部分がむらになるのだ。原因はブローニフィルムのスキャンに使用されているガラスだ。このガラスは平面性を保つために使用され、表面はニュートンリンク防止のためノングレア加工されている。このノングレア加工が不均一でもろにそのむらが現れてしまう。

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