MOドライブを修理する <レンズの汚れ編>  (C 10)

レンズの汚れはクリーニングキットで落とせない

MOドライブの動作不良の原因は、レンズの汚れによる感度低下が多い。喫煙環境だと確実にレンズは汚れる。

レンズの汚れ落としに、MOメディアにクリーニングブラシを装着した製品があるが、これで回復するのは極く稀である。

同じ光学式のCDドライブは、読み取り対物レンズとセンサーが一体になって可動しており、汚れるのはCD表面に向いた対物レンズのみである。

しかし、MOドライブは可動する対物レンズ(ヘッドアクチュエーター)とセンサー部(レーザーユニット)が独立しており、センサー部はシャーシに固定されている。対物レンズで拾った信号はリレーレンズを経由してセンサーに届けられる。書込みのレーザー光も同様の経路を伝う。つまり、可動部と固定部との間で光通信している訳だ。

MOドライブの光学系には、対物レンズとリレーレンズの送り部、受け部のレンズ窓が存在し、むき出しであるから、汚れるのも3個のレンズであり、対物レンズのみをクリーニングしても改善されないのだ。


MOドライブを分解修理する 参考機種:M2513A68(富士通)

初心者でも成功するように‘クソ’丁寧に解説しました。

違う機種でも構造はさほど変わらないと思います。

機構部の動作を理解しながら分解するのが成功の秘訣だ。

  さあ、チャレンジしてみよう。


分解したときのパーツ群 (ビス、ワッシャは含まず)

本体シャーシ フロントカバー 取り付けフレーム
シャーシカバー モジュール 保護フイルム
ハウジングカバーには、バネ・ストッパー・ピン受け等、外れて紛失し易いパーツがあるので注意しよう。
ハウジングカバー

修理の工程 (レンズの汚れ落とし)
フロントカバーを外す。(上面・側面、各2ヶ所の爪をずらす)
取り付けフレームを外す。(シャーシカバー側にある固定ビス4個を取る)
シャーシカバーを外す。(取り付けフレームを外すと同時に外れる)
裏返しにして、モジュールにあるコネクタ(3ヶ所)のフレシキブルを抜く。
抜く前に、コネクタのストッパー(白い部分)を起こすこと。
モジュールを外す。(5ヶ所のビスを取る)
モジュールと本体シャーシはコネクタでダイレクトに勘合されているので、やや力を入れて離す。
保護フイルムを外す。(モジュールを外すと同時に外れる)
ハウジングカバーを外す。(4ヶ所のビスを取る)
レンズをクリーニングする前に下図のとおり組立ての準備をして置く。
スピンドルモーターのシフト可動ピン(A)を押し上げ、裏側のバネに連動した部分に、長さ31mmに切断した爪楊枝(B)を挟んで下がらないように固定する。

対物レンズ(上面1ヶ所)、リレーレンズ(側面2ヶ所)をクリーニングする。
クリーニングの方法
 爪楊枝を心にして、レンズ用ティッシュを紙撚り状に巻き、穂先を少し切る。穂先に少量のレンズクリーナ液を染みさせ軽く円を描くように拭く。クリーナ液が乾いたら同様に乾拭きする。レンズクリーナ液は薄めた中性洗剤液で代用できる。
10 ハウジングカバーにある、メディア押し出しレバーの軸受けを本体シャーシ側に付け替える。(本体シャーシ側にある場合はそのままでよい)

11 ハウジングカバーを取り付ける。
前もって、対物レンズ部はレーザーユニット側に寄せる。
ハウジングカバーに付いているレンズストッパーが対物レンズ部にぶつかる場合は、爪楊枝等でストッパーを外側に押し上げるとスムーズにアジャストできる。
12 保護フイルム、モジュールの順で取り付ける。
13 フレシキブルケーブルを取り付ける。(ストッパーを起こすのを忘れずに)
14 裏返しにして、仮止めしていた爪楊枝を外す。
15 シャーシーカバー、取り付けフレーム、フロントカバーの順で取り付ける。
完成・・・成功を祈る!
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