安物モニターの使いこなしテクニック (M 2)

最近はモニター(CRT)が安く出回り、17インチにおいては3万円以下の製品もある。このような製品でも、CRT の品質やビデオ回路の設計がそこそこであれば、画像処理用に使えないこともない。

一般に廉価版製品は、経年変化の大きいものが多い。細かいパーツのグレードが影響しているのであろうか。管理人の使用しているうちの1台も、購入から一年半ほどで、ホワイトポイント、ブラックポイントともに狂ってしまっている。この狂いをモニター自体で調整するのに、ホワイトポイントはRGB 独立したレベル調整、ブラックポイントはRGB 独立したカットオフ調整(黒の基点)が必要である。

しかし廉価版製品には、色再現をコントロール機能が少ない。これは先に説明した「経年変化」が激しい事と合わせて、画像処理用として使用する場合、最大のネックとなる。廉価版製品では色温度設定はあっても、RGB 独立したレベル調整のないものがあり、さらには RGB 独立したカットオフ調整が付いていることなど絶対にあり得ない。しかし、最近はそこそこ高級機でも RGB 独立したカットオフ調整はない。この理由はコスト低減というより、品質向上により安定してきたので不要としているかも知れない。しかし実際はかなり狂うことがあり、これを知らないユーザーはガンマを調整して色調整したつもりになっている場合がある。

そのような訳で、安物モニターのブラックポイントを如何に調整するかというのをテーマにしてみた。

その調整は Mac の場合、コントロールパネルから行うのが一般的だ。そのコントロールパネルとしては、Mac 純正の「モニタ調整アシスタント」があり、Adobe からは「Adobe ガンマ」が提供されている。



左の図は古くにフォトショップに付録していた「ガンマ」コントロールパネルである。これを主力にして、安物モニターを最高のコンディションで使おうと言う訳である。

KNOLL のガンマについて一言
このチャートのガンマ用基準グレーゾーン(視覚的構造側)はピッチが細かく、適正なスキャンサイズでないと正しいガンマを表示してくれない。例えば17インチのモニターの場合、831×624サイズ以下ではよいが、1024×768サイズ以上ではダメなのである。
理由は簡単。基準グレーゾーンの1グリッドピッチがモニターの1ピクセルピッチより小さくなるからである。いずれにしても、このガンマ調整グレーゾーンは信頼性が低いので使用しないほうがよい。

カットオフポイントとブラックポイントの違い

A B

A 図はモニター(CRT)の動作を示したものである。ご覧のように黒点(カットオフ)を可変すると、同じ量だけ白点も動く。
B 図はKNOLLガンマの動作を示したものである。黒点(B Pt)を可変しても白点(W Pt)は一定である。

さあ!調整を開始しよう for Mac

KNOLLガンマ以外のAdobeガンマ(コントロールパネル)、モニタ調整アシスタント(機能拡張)など、全てOFFにする。
フォトショップ等でディスクトップ背景用のファイルを作る。
 ファイル1 (8×8ピクセル72dpi RGB各 0/255 階調)
 ファイル2 (8×8ピクセル72dpi RGB各 51/255 階調)
上記2種類をピクトファイルで作り、アピアランスのディスクトップに登録する。
ファイル1 を背景に設定し、黒が浮いていないか確認する。浮いていたら、モニターのブライトで沈める。(注意、沈めすぎないように)
KNOLLガンマを起動し、所定のガンマ値に設定。(各ポジションがノーマルであることを確認)
SimpleTextを開き、10cm角程度の白スペースをモニターの中心に作る。(白調整用)
室内照明を作業時と同条件にし、白スペースの色みが中性な白と感じるように調整。
この調整はモニターのコントラストで行なう。RGBを独立して調整できるタイプは3色の内2色を可変する。
色温度を可変設定するタイプでジャストに設定できない場合は、KNOLLガンマのWhite Ptで微調整する。
ディスクトップ背景色を ファイル2 に変更。室内を暗くし、背景のダークグレーが中性なグレーになるようにKNOLLガンマのBlack Ptを調整。3色の内2色で調整。
「モニター管理用チャートあれこれ」でご紹介した、「モニター管理用チャート」を起動して、中点(グレーゾーン)の中性が崩れていないか確認する。問題があったら、KNOLLガンマのBalanceで調整する。だが、殆どの場合、調整は必要ない。
Balanceを変更した場合、再度Black Ptを調整する必要がある。この調整は中点もBlackもGチャンネルを基準にする。つまり、Gチャンネルを可変してはいけない。
「モニター管理用チャート」のカットオフを表示して、モニターの黒基点を調整(ブライトを可変)。
10
「モニター管理用チャート」でガンマアジャストを確認する。狂いがあれば、KNOLLガンマのGamma Adjustmentで調整する。最後にKNOLLガンマを保存して終わり。
11
システムの起動項目フォルダにKNOLLガンマを収納する。これでMacを起動した時、設定した内容が自動的にセットされる。
一 言 カットオフ調整が出来ないモニターで、Blackが狂っていてると、中点に色付きが見られることから、ガンマカーブで補正する方を見かけるが、暗部で色を見誤る危険があるので注意。

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