TOPIC #34
ホームシアターへの誘い
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永松は、最近、DVDドライブを購入した。現在、DVDドライブの値段は下がっており、1万円ちょっと出せば、買えてしまうのだ。 さらに、DVDビデオが再生可能なSONYのゲーム機の爆発的な売り上げも手伝ったこともあり、ついに、DVDがブレイクしたと言ってもよいだろう。 永松が購入したDVDドライブは、秋葉原の某ショップで\11,800だった。DVDなら10倍速、CD-ROMなら40倍速で読み込みが可能である。これまで使っていたCD-ROMが12倍速だったから、CD-ROMとしての性能だけでも3倍以上向上したことになる。 これに、DVD再生ソフトウェアを約\5,000で購入した。これだけの出費でDVDビデオの再生が可能だ。 永松は、とりあえず、ビデオ・レンタルのショップに行き、DVDビデオのタイトルを借りてきた。最近は、DVDビデオもレンタルできるのだ。 まず、映像の美しさに感動した。これまで、Video-CD(これは、通常のCD-ROMとVideo-CD対応の再生ソフトウェアで再生が可能である)なら見たことがあったが、それよりも映像は格段にきれいだ。 しかし...何かが変だ。 いかんせんパソコンのディスプレイに表示される映像。しかも、永松のパソコンのある部屋には、32インチの大型ワイドテレビが置いてあるのだ。何が悲しくて、大型テレビの横にある、たかだか17インチのパソコンのディスプレイで映画を鑑賞しなければならないのだ。 だんだん、永松の中で、この映像を何とかして、この大型テレビに映したい、という欲望が大きくなってきた。 パソコンで再生したDVDの映像をテレビに出力するには、DVDのハードウェア・デコーダ・ボードを購入すればよい。そうすれば、デコーダー・ボードとテレビとを、通常、ビデオデッキとテレビとをつなげているケーブルで接続すれば、OKだ。 ただし、本来、DVDのハードウェア・デコーダ・ボードというのは、Pentium 166MHzくらいの非力なCPUが搭載されたパソコンでDVDを再生するのが目的なのである。DVDの再生というのは、大量の演算を行うため、かなりのCPUパワーが必要なのだ。したがって、非力なCPUにかわって、DVDの再生をハードウェア・デコーダ・ボードが替わりに行ってくれるのだ。したがって、DVDの映像をテレビに出力する機能というのは、ハードウェア・デコーダ・ボードの付加的な機能に過ぎない。 しかし、現在のように、500MHz以上のCPUが当たり前、という時代になると、何もそんなハードウェア・デコーダ・ボードなんかに頼らなくても、DVDの再生なんか、CPUだけで余裕でやれまっせ、ということになる。したがって、最近、パソコンショップで\5,000〜\6,000程度で売られている、いわゆるDVD再生ソフトウェアというのは、こちらのタイプなのだ。 しかし、これでは、テレビに映像を出力することができない。確かに、テレビに映像の出力が可能なビデオ・カードというのも存在するが、高価な上、DVDの出力に特化しているわけでもないので、映像面での性能は高いとはいえないのだ。 永松のパソコンのCPUは、現在、夏場ということもあって、少し押さえ気味ではあるが、575MHzくらいの動作をしている。つまり、CPUだけで、充分、DVDを再生することが可能なのだ。しかし、永松は、DVDを大型テレビで見たいのである。 というわけで、高性能なCPUがあるのにもかかわらず、非力なマシン用のハードウェア・デコーダ・ボードを購入するという変なことになってしまった。 デコーダ・ボードは、定価\39,800のところ、\14,800。高性能なCPUが普及している現在では需要が少ないパーツなのである。 かくして、パソコンで再生した(正しくは、パソコンに取り付けたハードウェア・デコーダ・ボードが再生しているのだが)DVDの映像が、永松の部屋の大型テレビに映し出された。 パソコンのディスプレイにDVDの映像が映し出されたときよりも、さらに感激した。とにかく映像がきれいなのである。この映像を見てしまったら、レンタルビデオの映像なんか、もう見れないだろう。これからは、映画はすべてDVDで見てやろう、と心に誓った。 DVDで映画を見るためには、パソコンを起動するのだ。パソコンを起動して、Windowsの旗がパタパタする画面を見ている時は、東映映画の岩に波が打ちつけられているあの映像を見ている気持ちに似ている。 早送りや巻き戻しは、使い慣れたマウス操作で行う。なんて便利なことだろう! 映画での静寂なシーン。緊張感の漂うスリリングなシーンである。そんなときに聞こえてくる、ブーンというCPUファンの音。夏場だし、CPUは冷やさなければならないのだ。なんて素晴らしいことだ。 そして、次の日の新聞広告に書かれたこの言葉。 「DVDプレーヤー。特価\19,800」
補足というか予告: DVD の素晴らしさは、映像の美しさだけでなく、その音響効果にもあります。いわゆるドルビーデジタル5.1chというやつです。 これは、フロントだけでなく、後ろにもサラウンド効果用のスピーカを配置し、更に重低音用のウーハースピーカを使用することによって、ジェット機が前後左右に飛び回ったり、といった臨場感を小さなお部屋で再現できるという画期的なシステムなのです。 もちろん、永松君が、これに興味を持たないわけがありません。密かに永松君は、DVDの音響面でのパワーアップを考えているようです。 実現できるのは、次のボーナスの時期くらいでしょうか...。先の長い話ではありますが、その辺のレポートは、また、いずれお伝えしたいと思っています。
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