カルピスウォーターの秘密

10年位前、カルピスウォーターが新発売された当時のことです。

  ・いったいカルピスウォーターはカルピスを何倍に薄めて売り出したのか?
   多分、ボロ儲けだろうな?

との疑問を持ち、希釈倍率を推定する実験を行ってみました。
昔からくだらない実験をやっていた私でした。

  

 写真を撮るため、カルピスウォーターとカルピスを買いました。カルピスウォーターは近所の自動販売機ですぐにゲット。

 しかしカルピスはスーパーマーケットへ行きましたが、なかなか見つかりませんでした。それもそのはず、いつの間にか容器がビンから紙容器に変わっていました。

知っていました?

    

実験1 濃度と濁度との相関

 カルピスは白く濁っていますので、その濁りの程度で希釈倍率を推定することが出来るはずです。

(1)まず、カルピスウォーターの濁度(光透過率)を測定
  しました(分光光度計を使用)。

(2)次にカルピスを2倍、5倍、10倍・・・と水で
     希釈していき、同様に濁度(光透過率)を測定しました。
  [カルピスウォーターの濁度]=[カルピス希釈液の濁度] 
   となるところを探すことにより、カルピスの希釈倍率が
   推測できます。結果は図のように32倍希釈と出ました。

(3)そしてカルピスを実際に32倍に希釈して飲んでみま
    した。しかし
「薄い!」・・・どうも実験がうまく
    行かなかったようです。

 

実験2 粒子径の測定

 カルピスや牛乳が白く見えるのは水の中に脂肪分などの粒子が浮遊しているためです(化学用語でエマルションとか、サスペンジョンといいます)。
 濁度は濃度と相関しますが、粒子の大きさが違うと、濁り度合いも違ってきます。

 そこでカルピスとカルピスウォーターの粒子の大きさ(粒子径)をレーザードップラー式粒度分布計で測定してみました。

  カルピスウォーター:0.25ミクロン
  カルピス     :2.07ミクロン
と出ました(1ミクロンは1ミリの1/1000)。

カルピスウォーターは単にカルピスを薄めただけではなく、

粒子を細かくして製品化されたものでした。

 

微粒子化の目的

 粒子径が大きいと粒子同士が凝集し、さらに大きな塊となって沈殿します。薄めたカルピスを長く放置しておくとコップの底に沈殿物が生成するのもそのためです。カルピスウォーターは粒子径を細かくすることによって、安定性を向上させていたのです。

結論

 カルピスの希釈倍率を推測するという当初の目的は達成できませんでしたが、カルピスウォーター開発の秘密が解った気がしました。カルピスの技術者は微粒子化に苦労したことでしょう。
 ちなみに、カルピスには「5倍に薄めてお飲みください」との記載があります。これが正解?