山羊さん、紙食べちゃダメ!

紙のお話です。

 紙は長さ数mm程度のセルロース繊維が集まって形成されており、水に漬けると繊維がバラバラとなり解けてしまい、水性ペンで書くと滲(にじ)んでしまいます。これが紙本来の性質で、トイレットペーパーがその代表格です。

しかし現在の紙にはこれらの性質(欠点)を変えるために、以下に示すような薬品が添加されています。

填料、顔料

クレー、タルク、炭酸カルシウム等の無機系の充填剤です。セルロース繊維より小さく、紙の表面を滑らかにします。

 カラープリンター用紙は表面に光沢がありますよね。これは上記の充填剤(顔料)が紙の表面に塗ってあるためです(コート紙と言います)。表面を滑らかにすると印刷がきれいになります。 ノート用紙、印刷用紙、新聞紙等に使用されています。 

サイズ剤 ペンで書いても滲まないようにするにじみ防止剤です。セルロース繊維の表面を疎水化して水に濡れにくくします。松脂(ロジン)や疎水性の有機系化合物がサイズ剤として使用されています。ノート用紙、印刷用紙、新聞紙等、大部分の紙に使用されています。
湿潤紙力剤 濡れても紙が破れないようにする薬品です。セルロース繊維間を強固に結合させ、水に濡れても繊維同士がバラバラとなることを防ぎます。有機系の化合物で、ティッシュペーパー、紙タオル等に使用されています。
硫酸アルミニウム
(バンド)

上記サイズ剤の紙への定着を助ける役割を持っています。大部分の紙に使用されています。酸性物質なので多量に使うと紙面のpHが下がってしまいます。

 酸性紙、中性紙という名前を聞いたことがあると思います。硫酸アルミニウムを多く含む紙が酸性紙(本当は色々定義がある)で、長期保存すると紙がボロボロになることが図書館等で問題となっています。硫酸成分がセルロース繊維を分解し、紙をボロボロにするのです。

その他、紙には色を着ける染料、紙の強さを高める紙力剤等が使用されています。

また、最近では古紙のリサイクルの割合が増えており、印刷インク、接着剤(ホットメルト)等も紙に含まれてきます。

 このように紙にはセルロースだけではく、色々な薬品が使われています。
決して山羊さんに紙を食べさせないで下さい。お腹を壊してしまいます。