「継続的なレクリエーション援助へ向けて!」 2006年12月号 最終回
これまで、『「利用者」の「生活」を「豊か」にするレクリエーション』というテーマで、レクリエーション援助のヒントを私の経験を踏まえてお話してきました。先月号ではエビデンスの重要性についても触れました。レクリエーションも他の介護と同様に、エビデンスや理論に基づいて行われるべきです。しかし、レクリエーション活動は、利用者のニーズ、気持ちに寄り添って行われるものであり、一人ひとりを大切に考えれば考えるほど、エビデンスや理論という型にはめて考えることに無理が生じてきます。皆さんもこんな経験があるのではないでしょか?“今までほとんど何にも関心を示さなかった方が、音楽を聴いたら歌いだした”、“なんのために生きているのだろうというのが口癖の方が、ようかんを一口食べたら「生きていて良かった」と言った”。また逆に、“昨日は喜んで行っていたことに今日は見向きもしなくなった”、“あれだけ楽しみにしていた外出レクに、当日行かないと言われた”。レクリエーション活動における、その日、その時、その瞬間に生まれる、その場にいたものしか味わえない雰囲気は、理論だけでは語りつくせないことばかりです。このような中で、私たちはプロの援助者として、理論やエビデンスを理解している「頭」と、利用者のその時、その瞬間の気持ちや感情に寄り添うことができる「心」の両方をバランスよく持つことが求められます。
そう考えると、ここまでするのはたいへんだと思う方もいるかもしれません。しかし、この原稿を読んでくださっている多くの方は、今でもこの仕事を続けている何らかの理由があると思います。それは、レクリエーション活動によって生まれる、利用者のなんとも言えない笑顔、普段のからは考えられない熱中ぶりや満足した瞬間、生きた瞬間を一緒に共有できた経験があるからこそではないでしょうか?
レクリエーションにおける理論やエビデンスは、皆さんの援助における喜びや成功体験、良かったなぁと思う経験1つひとつです。これまではそれを共有できていなかっただけではないでしょうか?これからは、皆さんの経験を、ミーティングや会議でどんどん話し合い、喜びを共有し、皆さんの利用者のエビデンスを構築していきましょう。それが、利用者の生活を豊かにすることにつながるレクリエーションとなるでしょう。
さぁ、この皆さんの経験をエビデンスとして、また、この仕事にかかわるものの醍醐味、喜びとして皆で共有し、利用者の生活を豊かにするレクリエーション活動を援助していきましょう!
これまで連載を読んでいただきまして、ありがとうございました。 これからも現場に少しでも力になる発信をしていきたいと思っております。 本当にありがとうございました。
「私たちにしかできない評価!」 2006年11月号
レクリエーション活動(以下、レク活動)は、誰のための活動だと思われますか?それは利用者!と思われるでしょう。正解です。
しかし、皆さんにもう一歩、本当に利用者のためのレク活動となるために、現場にいる私たちにしかできないことを今回はお話したいと思います。そのためにまず、私たちに足りない点を2つ知っていただきたいと思います。
1つ目は、「レク活動にエビデンスがない」であり、2つ目は「評価が行われていない」です。エビデンスがないのは、仕方がない部分もあります。エビデンスとは、極端に言えば、科学者や研究者と言われる方々が『ある課題に対して、何らかの行動を起こしたときの結果』の積み重ねです。しかし、レク活動においては、この積み重ねがほとんどありません。ですが、仕方がないで済ませてしまって良いかと言えばNOです。なぜか?私たちにもできることがあるからです。それは結論から言うと『利用者に対して、レク活動を援助したときの結果』を積み重ねることです。そして、この積み重ねされたものを整理し、検討することが、2つ目の「評価が行われていない」という課題もクリアさせてしまいます。
そのために行うことは、“行うレク活動の目的を利用者と共にイメージする”ことです。「転倒予防のためのレク」「頭を呆けさせないためのレク」「ストレス解消のレク」「他の利用者とのコミュニケーションの促進を図るためのレク」、どのレク活動においても、利用者と援助者が共に目的を持ちます。そして次に、レク活動を行って、どうだったのかを共に評価します。
1つの案として、評価を[Dとても良くできた]、[C良くできた]、[Bふつうにできた]、[Aあまりできなかった]、[@まったくできなかった]という5段階で行い、その理由を聞きます。もう少し具体的に言うと、「コミュニケーションの促進」を目的にある“A”というレク活動を行ったときの結果を先ほどの5段階で利用者、援助者共に評価します。質問内容としては、「援助者とのコミュニケーションはどの程度でしたか?」とか、「他の利用者とのコミュニケーションはどの程度でしたか?」といったことを伺います。この結果により、このAというレク活動は「コミュニケーションの促進」に対して、どの程度達成できるレク活動なのか、また、どういう理由でできたのか、できなかったのかがわかってきます。この積み重ね1つひとつが、私たちにしかできない評価であり、エビデンスの構築につながります。そしてこの目的から評価までの過程があってはじめて、利用者が自己実現することにつながるのではないでしょうか?
この介護現場においてレク活動が質、量の両面から重要であるにもかかわらず、介護保険の点数への影響が少ないのは、レク活動のエビデンスを形として蓄積してこなかったことの影響もあると考えられます。それは研究者ではエビデンスを蓄積しにくい理由がレク活動にはあるとからだと私は思っています。その理由は次回述べますが、この取り組みこそが、皆さんが利用者にとってより活躍できる確実な手立てになります。私たち現場の取り組みで、重要なレクリエーションをもっともっと充実させていきましょう!
「アレンジのこころ」 2006年10月号
今月は『アレンジのこころ』と題して、利用者1人ひとりに合ったレクリエーション(以下、レク)援助で重要なアレンジのポイントをお話したいと思います。
最大のポイントは“レク活動は利用者のニーズが原点”という考えが基本にあります。アレンジをする、しないにかかわらずレク活動は、利用者の欲する活動、楽しみ、いきがいを基本に考えます。今月紹介している「花のレクリエーション」もこの考え方から生まれてきたものであり、ある利用者との出会いがきっかけでした。その方は、レク活動において、こちらが何か提案すると、できることは行いましたが、主体的に参加するという感じではありませんでした。その方がきらきらとした良い表情をされるのが、花を眺めているときでした。そして私は、その方が誕生日のときに、デイの職員からプレゼントされた花をずっとずっと眺めている様子を見て、“この方のレクは花だ!”と思いました。
私は花の本や雑誌を持って話かけてみました。すると、その方は雑誌に集中し、会話どころではなくなってしまいました。あまりにも集中しているのでのぞいてみると、誕生花のページを見ていました。そこで私は、これをグループレクにしてみてはどうかと考えました。366日分の誕生花の書いたプリントを利用者の人数分作成し、自分の誕生花を探してもらったり、「菊は何月何日の誕生花でしょう」というようなゲームやクイズを行いました。みなさんプリントに集中して、私の話などほとんど耳に届かないような状況でした。“花”という1つの素材を多様に捉え、1人の人の関心事からのアレンジ(演出)により、参加者全体の“楽しみ”が溢れ出した瞬間でした。
レク援助では、マンネリ化してくると、どうにかレク財をアレンジできないかと考えます。もちろんこの方法も大切ですが、最初にも書きましたように、重要なポイントは利用者がレク活動を通して、“何を楽しみたいか”、“何を味わいたいか”、というニーズを基本に考えるという点です。援助者はこの点を意識し、利用者の「楽しみ心」、「遊び心」を引き出すアレンジを行う必要があり、このことをこころにおくことによって、利用者の可能性は無限に広がることでしょう!
最後に、過去に私はアレンジに懲りすぎてレク援助に失敗した経験があります。それは、利用者の顔を思い浮かべずに、アレンジだけに走ってしまった結果の失敗でした。皆さんの中で過去に失敗したことある方も、そうでない方も、今回の「アレンジのこころ」をもう一度こころして、これからも利用者1人ひとりにあったレク援助を行っていきましょう!
「Exhibition and Fair」 2006年9月号
今回は、カナダのレクリエーション援助の展開方法から、皆さんの施設で実行すれば、利用者の満足度200%のヒントをみなさんにお伝えしたいと思います。それはタイトルに書いた「Exhibition and Fair」という考え方です。
Exhibition(エキシビション)とは、展示会、展覧会です。Fair(フェアー)とは、バザーのことです。つまり、レクリエーション活動の中で生まれた利用者の作品を展覧会に出展したり、バザーを行って売るということです。レクリエーション活動で利用者が作った作品は、部屋や施設内で展示するだけでなく、公共の場で展覧会を行ったり、展示します。また、作品は年に2回程度行われる施設のバザーで売られ、次のレクリエーション活動の材料費に使われたりします。この展開により、利用者は自分の作った作品が人の役に立つということを実感できたり、自分が社会とのかかわりをまだまだ持っているということを認識できます。ただし、これには施設としての取り組みが必要になってきます。それはなぜか?この展開にはいろいろな役割が必要になるからです。
まず、この文章を読んで、「この企画をやろう!」と言い出す人、次に、その人にのって「よし!やろう!」と賛同してくれる人、そして「じゃあ、どこに展示してもらおう!」とアイデアを展開していく人です。3人を中心とし、施設の上司には、「地域への宣伝になるから」と話を持ちかけ、学校、銀行、スーパーなどの人が集まる場所に連絡してもらいます。そして、現場のスタッフには、これからの作品作りは、展示してもらうという目的を持った内容になるので、利用者に(利用者でもそういった展示に興味があるか、それが良い事かどうかは冷静な判断のもと)、そういった話をしながら、作品作りを行ってもらいます。これでOKです!
では、この展開をうまく実践したデイサービスを1つ紹介しましょう。そのデイサービスでは、利用者の作った作品を地域の学区の小学校の作品展に、「社会参加を目標に出品をしよう!」と、初めて利用者全員での合同作品を作りました。作品は、折り紙を8分の1、12分の1に切って鉛筆で巻き、切り絵のように貼り付けて作るというものでした。この作品の制作中、利用者はいつも以上に会話がはずみ、片麻痺のある方もリハビリになるからとできる部分で参加してくれました。また、今まで他の人とあまり交流を持たず、一人で過ごしていた方もこの作品作りをきっかけに、他の利用者と交流することができました。地域への社会参加という目標を持って行ったことが、利用者みんなの集中力を途中で切らすことなく、一体感を持ってこの作品作りに臨むことができたと思います。
利用者は、自分たちの地域で、再び輝くことができたのではないでしょうか。これは、地域で生きてきたという歴史を持つ利用者にとってこれ以上ない喜びになったと思います。小規模多機能、地域密着型といわれはじめたデイサービスだからこそ、こういった取り組みが今後ますます重要になってくるのではないでしょうか。
「生きる自信、それはレクでかける魔法」 2006年8月号
2年前、私がカナダに行ったときに、日本で注目されつつあった東北福祉大学の川島隆太先生の“大人の計算ドリル”のことがカナダのテレビで紹介されていました。その時、カナダの施設で、義理のおかあさん(認知症がある方)に大人の計算ドリルを実践している日本人の女性に出会いました。その目的を聞くと、「私たちのような健常な人からすればなんでこんなことと思うようなことでも、実際にやってもらった後に『すごい全部正解だね』というと、義母はとても喜び、笑顔になり、自分はまだまだできると自信を取り戻すことができるのよ」というのでした。私は、“大人の計算ドリル”という脳の活性化に効果があることを、ただ効果があるということで実践するだけでなく、利用者の自信につながるようにフィードバックすることの大切さに気づきました。
また、今回の実践で紹介している『歌タイトル』を現場で実践したときのことです。利用者の1人(軽度の認知症がある)方が、「私はもう呆けて何にもわからんから何もしたくない」と言われました。私は、『歌タイトル』の紙をお見せして、「この歌のタイトルの抜けたところに何か言葉をうめて、タイトルを完成させてくださいませんか?」とお願いすると、「東京音頭」とか「名月赤城山」と、すぐに答えが出てきたのです。「よく知ってらっしゃいますね」と返すと、「そんなもん題だけじゃなくて歌えるさ」と言って、歌い始めました。すると隣に座っていた方も急に歌いだして、そして最後にはそのテーブルを囲んでいた6人の人がみんなで歌い始めたのです。そして皆さんなんだかとても気持ち良さそうでした。1週間後、私が施設に行くと、その認知症の方は、やる気満々の表情で「もっと難しい問題を持って来たんだろうね!」と私に声をかけてこられました。
私は「やった!」と思いました。この方は、レクによって今の自分に自信を持てたのです。おそらくこのようなことは、みなさんもすでに体験されたことが多々あると思います。レクは利用者が自信を持つきっかけになる素敵な魔法です。
これからも一緒に素敵な魔法をかけていきましょう!
「気づきが生むチカラ」 2006年7月号
今回は、援助者として、とてもとても大切な“気づき”が生むチカラについて書きたいと思います。
そのポイントは、利用者の動きを見逃さないことです。例えば、体操のときに、援助者が考える流れとは違う動きを利用者がしたら、それを見逃さずに「その動きいいですね!」と、体操の中に組み込んだり、1人の利用者が隣の方に話かけ始めたら、すかさず「では隣の人の方を揉んでみましょうか?」というふうに、その場の空気を読んで、動作をうまく援助にかえていきます。
みなさんの多くは当然のこととして、実施しているかもしれませんが、これはとても大切で、“当然ではなく”、“とてつもなく”効果のあることであり、意識して援助できてこそプロなのです。
こういった意識を持って援助するとどういうことが起きるでしょうか?みなさんイメージしてください。利用者は自分の自然に出てくる動き、気持ち良い動きが取り入れられることにより、言われたことをやるのではなく、自分からやりたいことができて、自分のことが受け入れられたと感じられるでしょう。そして、その利用者は満足感が得られ、体操に対してこれまでよりも前向きになれるでしょう。また、1人の利用者のこの満足は、他の利用者にもつながっていきます。1人の利用者の充実した笑顔に、笑顔をもらったり、自然と出る気持ち良さそうな声に、場が和みリラックスできるでしょう。次へ、また次へとバトンを渡すように、他の利用者も自然に出てくる動き、気持ち良い動きが生まれ、つながっていきます。
利用者が満足できるということは、私たち援助者にとってこれほどの喜びはありません。そして、この効果は、レクリエーションの本質である、自らが再び自分をクリエイトする。また、レクリエーションだけでなく、介護全体、さらには、利用者は自らの生活をより良いものへとクリエイトすることにつながるでしょう。
さぁこれで、みなさんの施設でのレクリエーションは、利用者が受動的に行う活動から、利用者が主体的に行う活動へと一歩を踏み出すでしょう!
(先月号の原稿の中で紹介している施設で、歩くときに使っている音楽(曲)は「三百六十五歩のマーチ」でした!)
「鍵はアイスブレーキング」 2006年6月号
今回は、レクリエーション活動が良い雰囲気で展開するかどうかに重要なアイスブレーキングについて書きたいと思います。まずこの言葉を初めて聞く方もいるかもしれませんので、言葉を説明したいと思います。
アイスブレーキングとは、レクリエーション活動(以下、レク活動)の最初に導入され、“参加者間の緊張をほぐし、援助者や利用者がお互いに親しみを持ち、自発的にプログラムに参加できる雰囲気を作る”ことを狙いとして用いられるプログラムのことを言います。
内容としては、健康に関するお話や新聞からの時事ネタをお話したり、簡単なゲームをしたりします。これは利用者が、レク活動に対して心と身体の準備をするために重要であり、また、利用者が援助者に集中するためにも大切にもなります。
このアイスブレーキングの考えをうまく使っている施設があります。その施設では、午後2時半になるとある音楽をかけます。そうすると利用者の皆さんは、「おっ!もうそんな時間か」というような感じで、デイルームを歩き始めます。車椅子の方に対しては職員がサポートしたりします。そして適度に動いた後は、体操という流れで展開していきます。この施設では、音楽をアイスブレーキングとして用い、利用者が自ら歩こうという気分になっています。この状況に至るまでの過程ですが、最初、歩くことの重要性や転倒予防に必要な体操のお話をアイスブレーキングとして取り入れ、実際に歩いたり、体操するときに、その音楽をかけて、そして自然に、“その音楽がかかる”と“歩く時間”という雰囲気を作りだしました。
また、別の施設では、午後からの集団レク活動で使う道具を午前の個別レクとして作ってもらったり、入浴介助や会話の中で、その日に行うレク活動の話を入れることにより、利用者にその活動への心の準備をしていただいたり、その活動に対して、その日は、どう思っているかをさりげなく聞いています。その日、その時、その瞬間で、利用者の考えは変化することもありますので、午前に、レクの話をさりげなくいれてモチベーションをあげていただくというのは、まさにアイスブレーキングをうまく使っている例ではないでしょうか?
皆さんも利用者への声かけの中で自然に行っていることかもしれませんが、意識してこのアイスブレーキングが活用できると、もっとレク活動の援助をうまく展開できると思いますよ。
(今回の原稿の中で紹介している施設が、歩くときに使っている音楽(曲)は何でしょうか?答えは次号!)
「援助のコツ」 2006年5月号
利用者が自発的に施設での体操やレク活動を行ったり、毎日を楽しく送るための援助のコツをご紹介したいと思います。
それは利用者さんのワクワク感を刺激するように援助することです。例えば、外出レクやイベントは、毎日の体操やリハビリの動機付けになります。
私のかかわっているデイでは、外出レクを行うにあたっては、前もって(1月くらい前から)お知らせし、その企画を利用者が楽しみにできるように演出しています。お花見レクを企画すると、まず私たちは、できるだけ桜や春の花々を利用者が具体的にイメージできるようにチラシをつくります。そして、利用者や家族に配布したり、デイルームの壁に貼ったりします。それから、昨年も同じ企画をしていたならばそのときの様子が分かる写真などをアルバムにして、テーブルの上に置いて見ていただいたり、さりげなく利用者との会話の中に花見の話を入れていきます。そうすると利用者は花見が待ち遠しくなり、「元気に歩いていきたい」、「風邪をひかないようにしよう」というように自己管理を行うようになるでしょう。また、花見のときはお酒が飲みたいとか、昼食は何が食べたいとか、花見ならば、○○公園がきれいだからそこにいきたいという利用者の本音が出てきます。こういった雰囲気になれば、さらにこの企画さえも利用者と一緒に考え、企画していくことができます。私のかかわっている利用者のお一人は昔行った花見の写真を持ってきて、「△△の桜は最高だ!今年はここに行こう」という意見をいただきました。実際にはそこは施設から遠すぎて行くことはできませんでしたが、この方は、家でもご家族と昔話に花を咲かせたと思いますし、そこには行けなかったですが、施設で行った花見の際には、「△△の桜も良かったが、ここもきれいだ。またこんなに綺麗な桜が見えて良かった。来年もまた来たい。」とおっしゃってくださいました。ここに生きる意味があるのではないかでしょうか。
「今年はここに花見に行きますよ」という企画ありきではなく、「そろそろ花見の準備をしたいですが、今年はどこに花見に行きたいですか」からはじめる援助を行ってみてはいかがでしょうか?
「プロとしてのスキル」 2006年4月号
プロという言葉は、プロフェッショナルを略した言葉ですが、このプロの動詞形のプロフェスという言葉の意味の中に、「明言できる」、「説明できる」という意味があります。私たち援助者はレクリエーション活動(以下、レク活動)や介護サービスを利用者に援助する事を仕事としているプロであり、介護という仕事の意味、目的、効果を説明できることは、プロの持つべきスキルの1つとして重要です。レク活動で言えば、“転倒予防の体操ではどの筋肉を運動する必要があるのか?”、“風船バレーはどのような効果があるのか?”、“クラフトの援助で大切なポイントは何か?”などを、プロの援助者として、その効果や行う目的を理解して援助する必要があるということです。そして、プロとしてこれらの効果や目的を理解し、説明ができるととても良い効果が現れます。
説明ができるということで、援助に自信を持つことができます。例えば、利用者やその家族に“このレク活動は何のために行っているの?”とか、“この体操はどういう効果があるの?”と聞かれたときに、プロとしての説明ができれば、利用者や家族はレク活動の重要性を理解してくれ、利用者にとって施設を利用する目的が明確になり、家族からも施設を利用するサポートを得られるでしょう。
また、利用者がレク活動の効果や目的を理解することができれば、その活動の効果が高まったり、積極的な行動につながるでしょう。例えば、何かを作ったりするときに、自分のためだけに作るのではなく、何かの展示会に出展するとか、誰かにプレゼントするという目的があれば、より意欲が高まったり、社会性の向上につながるでしょう。そうしたプロとしてのレク活動の援助が、利用者の生活をより豊かにすることにもつながることでしょう。
これは他の介護援助でも同じであると思います。介護援助を含め、レク活動の効果や、意味の理解も深まれば、より良い介護を援助することができ、利用者も積極的に様々な活動に取り組めることでしょう。
「レクリエーションもチームケア」 2006年3月号
実は、私はレクリエーション(以下、レク)の援助において、盛り上げるということがとても苦手です。自分の性格からレクを援助する時には、“利用者と一緒に楽しむ”というより、“冷静に状況を見ながら進行”したり、“何か困っていることはないかと個別に利用者に対応”するという部分を担当しています。援助者にもそれぞれ性格があります。個別に対応することが得意な人、盛り上げることが得意な人、司会が得意な人などなど。
ですから私が司会役(進行役)をする際は、盛り上げる役割は、サポートしてくれるスタッフ(以下、サポーター)と利用者に任せています。今回は、このサポーターの役割の重要性について書きたいと思います。
1つ目は、司会役は全体をみながら、進行していきますから、サポーターが一人ひとりを見て援助する必要があります。例えば利用者の方の中で、気分が悪くなった方には、周りのサポーターが対応したり、何らかの障害を持った方、例えば耳が聞こえにくという人がいる場合には、聞こえる方の側についてサポーターがリーダーの発言を補助します。利用者一人ひとりが気持ちよくレクを行える環境を安全面を含めて提供できるかは、サポーターの支援にかかっている部分が大きくあります。
2つ目は「合の手」をうまくいれるということです。例えば体操で数を数える際には、サポーターが率先して声を出したり、また、動きのある場合、見本などは大きくアクションを見せたりすることで盛り上がるかどうかが決まる場合もあります。さらに、司会の説明が、利用者にとってわかりにくいと思ったら、「今の説明は○○ということでいいですか?」というように聞きなおすということも重要です。聞きなおすことは、説明を聞いていた利用者にとっても理解を深めるために重要です。そのためにはサポーターもしっかりリーダーの発言を聞くと同時に、利用者の様子もよく見ていないとできない大切な役割です。
3つ目は、みんなで評価するという点です(評価については別の号でお話しします)。よく司会役を行う人が計画を立て、行ったレクについて反省点などを書いたりしますが、サポーターも含め、みんなでその日のレクに対して利用者の様子や反応、効果などの評価を行うことが大切です。また、評価を行うためには、目的が重要です(これも別の号でお話しします)。
司会役1人だけでレクを行うのでは、利用者の一人ひとりの満足の面でも、安全の面でも、雰囲気や演出的な部分でも、良いレクは展開できません。これは、皆さんも現場でレクを提供していて感じている点だと思います。チームで協力して、より充実したレクを援助しましょう。
「レクリエーション援助で大切なこと」 2006年2月号
今月は、“レクリエーション(以下、レク)援助を行う上での姿勢”について大切なことを皆さんと考えたいと思います。大切なこと、、、といってもたくさんあると思いますが、皆さんは何を想い浮かべますか?「レク活動を通して、利用者に楽しい時間を過ごして普段の嫌なことを忘れてもらいたい。」「達成感を得て欲しい。」「自分の存在を感じてもらいたい。」「生きがいを感じて欲しい。」など様々であると思います。それらはどれもすばらしい想いです。しかし時に、その想いが強すぎて行き詰まることがあります。その原因の1つは、“考えてきたレクを一生懸命やることに追われてしまい、自分が主体となってしまう”ということです。利用者に満足してもらおうと想うほど、がんばらなくてはいけないという想いで、この方向に進んでします。ですから、もう一度、肩の力を抜いて、主体は利用者であり、どういう援助を行うことが大切かを考えていきましょう。
利用者がレクを通して満たすことのできる本質の中に、“自己実現”、“自分の存在確認”、“自分の役割”があります。これらが満たされた時に、“笑い”がでたり、“楽しい”と感じたり、“達成感”を得られます。私がレク援助で司会をする際には、その考えを頭に置き、自分の考えてきたレクを進行しながらも、利用者がどこかで自分に代わって、主体となって進行していくことに気を配ります。利用者から声がでたり、利用者が自ら動きたくなるような“きっかけ”を援助していきます。レク活動では、安全や人間関係に配慮しながら利用者が主体性を存分に発揮できるように援助できれば良いと思います。そうなることが、利用者にとってのレクだからです。
レク援助の際は、利用者を一人ひとりをよーく観て、聴いて、感じ、そして行動しましょう。そこにレク援助の姿勢の大切なポイントがありますから。
「利用者の生活を豊かにするレクリエーション」 2006年1月号
[利用者のニーズを把握し、それがかたちになったとき初めて「真のレクリエーション」といえるのではないでしょうか。]
皆さん、デイサービスで行っているレクリエーション活動(以下、レク)を援助する上で困ることっていったい何ですか?『マンネリ化して、何を提供したら良いか分からないことですか?』、『ご利用者様のADLの違いですか?』、『レクに関する知識・技術不足ですか?』、皆さんどれも当てはまる方もいれば『1人で大勢を見なくてはいけない』という、また違う理由を挙げるかもしれませんね。私はレクの援助を行ってきて、マンネリ化したことはありません。また、ADLの違いによって困ったこともありません。レクに関する知識・技術は本を読んだり、研修に参加して得ました。しかし、2度、壁にぶつかったことがあります。
1つ目の壁は、私がまだ介護現場でレクを援助するようになって3ヶ月くらいたった時のことでしょうか。それまでがむしゃらに、このレクは利用者に楽しんでいただけるのではないかと、たくさんの本や研修などで学んだネタを提供してきていた私は、『利用者がしたいこと』をあまり考えずに行っていたことに気づいたことです。利用者の中には「今日は良かった」とか「もっとこういうことがやりたい」という意見を下さる方もいて、その方のご意見は取り入れていました。しかし、私に要望を言われない多くの利用者の意見などには、耳を傾けることもありませんでした。そして今までのレクリエーションは利用者を本当に主体と考え、利用者のやりたいことやニーズに耳を傾けていないことに気づいたのです。それから私は利用者に、どのようなことを昔から楽しまれていたとか、仕事歴、趣味や特技は何か、普段はどんな生活を送っていて、デイではどういうことを楽しみにしているとかについてアセスメントを行いました。そしてその中からレクを提供していくようにしました。すると利用者から「今日は昔を思い出すことができたよ」、「楽しかったよ。家に帰ってうちの人とやってみるよ」と、いただける言葉が今までと全く違うことに驚きと喜びを感じました。これまではその場だけで終わっていたレクが、レクを終わった後も会話に花が咲いたり、家に帰ってもレクのことをご家族と楽しまれたりと、利用者が本当に楽しめる時間を援助できたと感じました。
2つ目の壁は、どうやったら全員の方が満足するレクを援助できるかということです。私は自分がレクを担当した日の帰りのミーティングでは、今日のレクはどうだったかを必ずかかわった援助者に聞いていました。そこで「Aさんは今日の内容だと、できないから、無理にやってもらわずに雰囲気だけ楽しんでもらうように援助すればいいと思うよ」とか、「全員の満足を一度に得ることは難しいから、ターゲットを決めてその方々が満足してもらえるように考えてくれよ」というような意見をもらいました。そこで十人十色のご利用者様から一度に満足を得ることが難しいのであれば、今日の内容ならばAさん、次の週はBさんというように1日1人のニーズを満たすという方法でレクを援助しました。しかし、ここで同じく大切なことは、Aさん、Bさん以外の他の方を放っておいて良いのではないということです。レクの内容にあわせて、<Aさんには、Aさん>、<Bさんには、Bさん>がどういうかかわりや楽しみ方ができるかを1人ひとりの目的や趣味、思考などを考慮に入れて考え援助する必要があるということです。
私はこのように考え、行動し、これまでデイでレクを援助してきました。マンネリを解消するヒントやレクを援助する上で大切なこと、ご利用者様から学んだことがまだまだたくさんあります。これからの連載の中で、レクの内容を提供するだけでなく、そういった点もお伝えしていきたいと思います。