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「カレッジ・オブ・ザ・ウィンド」を終えて

第3回「高伸さんに聞きました」

July 18,1997

「街を遊ぶ」と題して、
FM放送番組「ミッドナイトウィンド」を4月から放送し、
6月、文教会館にて「カレッジオブザウィンド」を公演
常に意欲的でチャレンジングな活動を続ける110SHOW
その若き集団を、まとめ、ひっぱり、支える高田伸一さん、
今回は「カレッジ・・・」を終えてということで、伺いまいた。


お疲れ様でした!
再演でしたが
フレッシュな顔ぶれ!!
窓の奥にさらに階段が!!
今度のあやめは、ヘッドセットで登場!!
たまごっち託児所!?
たかしんさんが「泣いた」!?
FM自主番組でさらに一回り成長!!

6月21日、22日の「カレッジ・オブ・ザ・ウィンド」お疲れ様でした。前の
公演から半年後の公演でしたが、ラジオ放送もあったりでかなり大変だったと思い
ます。終わってみての今の心境は?

    いつもそうなんですけど、「あっという間だったなぁ」というのが
    正直なところですね。あと結構、成果も上がったなぁと・・・
    役者も成長したし、お客さんも増えたし、後なんといってもお客さんが
    楽しんでくださったという高い評価が嬉しいですね。
    今回は文教会館さんが主催してくれて、110SHOWとすればお
    招きに預かるといった形でしたから、なんだかいつもより力が入っ
    ちゃって・・・やっただけのことはあったなと思います。


今回は再演ということでしたが、再演にあたって演出に工夫したことや今回独自
の色を出そうとしたことなどありましたか?

    必ずしもそうではないと思うのですが、この舞台の中には「幽霊の
    時空」と「現実の時空」の「二つの時空」が封入されているんだと
    思うんです。
    その時空のすれ違いを表現したかったですね。これって手法とする
    と「ジプシー(扉座)」でやっていたアイディアなんですが、それ
    をこの芝居の中に放り込むとどうなるか?というのがとても気にな
    るところでした。


劇を見ていて、ほしみの「家族」は、ほしみだけには見えて、他の患者さんや看
護婦さんには見えない「幽霊」なんだ。そう気づいた時には、「そういや、患者さん
や看護婦さんの反応がおかしかったな!」って、それまでの微妙な演技に感心してい
ました。


再演ではあったものの、初舞台の人も含めて演じる人はほとんど顔ぶれがかわっ
たフレッシュな印象を受けました。これからの流れを作る公演になるのでしょうね。

    これからはまさに「彼らと彼女らの時代が来る!」そう祈念してお
    ります。


ラストシーンで、幽霊たちが、ほしみを見送ったあの舞台装置は、立派でした
ねぇ。ホントにあの世に行く時にありそうでした!

  ラストシーンの舞台装置
    この最初のアイディアは田向君と舞台装置を考えているときに「窓
    の奥にさらに階段があり、そこに昇っていったら凄いだろうな」な
    んていうことをいって一旦まとめたんです。その後金沢舞台の西谷
    さんにご相談したところ、さらにそのアイディアを深める方向で初
    期スケッチが返ってきまして・・・。それは110SHOWの「カ
    レッジ・オブ・ザ・ウィンド」はこれで行くんだ!という確信が持
    てるものでした。一も二もなく「これで行きましょう」って・・・。

    でも現実にあの舞台が完成したときは鳥肌ものでしたね。

まさに「荘厳」という言葉がピッタリの舞台でした。110SHOW名舞台装
置ナンバー1!!


前回は、椅子に腰をおろしていたDJあやめは、今回はヘッドセットをして登
場!このアクティブな感じのあやめを考案したのは、どんな理由で、誰が?

    まず、物理的に机やマイクスタンドを出すのが大変だったというこ
    とがあります。
    さらに、それが出たとしても舞台の中で「浮いて」しまう危険性が
    あったので出し方を含めかなり神経を使う必要があったのです。
    ところが110SHOWはこの芝居をやるための裏方はほとんどい
    ません。人数的にはもういっぱいいっぱいでやっていたので、何か
    別の手段を考える必要性があったのです。
    そこでそれならいっそ出さないであやめにヘッドセットを付けPA
    で返した方がどうだろうか?それならば、転換の間を役者の呼吸の
    感覚にまで引き寄せられるんじゃないかと・・・結果としてこれが
    イメージを損なわないぎりぎりの選択だったと思います。

    それを指示したのは高田です。

いつもながら細かい演出にも、じっくりと検討、計算がなされているんですね
ぇ。(やっぱり単にテイクアウトショップのまねをしたわけじゃなかったんだ(笑))


前説でたかしんさんが「たまごっち託児所もありまーす」と言われたので好奇
心旺盛な私は、受付けに行ってみました。すると、しっかりそのためのカゴが
あって、ちゃんと(その時点で)2匹のたまごっちがおとなしくしているではあ
りませんか! おまけに専用の整理券まで作ってあって!! こんな気のきいたこと
はいったい誰の発想なのですか?

  たまごっち託児所
    これは、キャラメルさんがすでにやっていて、110SHOWはそ
    れをそのまま受け売りをしました。ただし、これも含めて、各種サ
    ービスをやると決断し、計画し、遂行したのは110SHOW制作
    担当、道下かおりさん、安嶋智恵さん、戸谷ゆかりさん、中谷綾さ
    ん、桶田奈美子さん、増田吉美さん、宮岸大輔さん。それからお手
    伝いのみなさんです。本当にありがとう。

話しだけじゃなくって「実践すること」に価値がありますよね。
ところであのたまごっちたちは無事良い子に育ったのかな...110SHOWに育てられ
たのだから、ちゃめっけのある、好奇心旺盛な性格になるんじゃないかな?


カレッジ関係で最後の質問になりますが、最終日の日曜日の公演では、たかし
んさん、「泣いた」という情報があるのですが! これは真実でしょうか?

    役者「なれる」「なれない」は天分もありますが、ほとんどは自分
    の意志です。この若い彼らは自分の意志で「役者」になろうという
    決断をしました。ということは、こちらからはまだ見えないお客様
    に対して一方的に約束をしたのです。

       「お芝居をします」って。

    そして、それに向かって毎日努力を積み重ねます。こりゃ当然です。
    とはいってもコツも分からず、ただがむしゃらにやっても結果は出
    ません。途方に暮れている彼ら。そんな彼らとともにどうやったら
    お客様から愛される役者になれるのか?と、もがき苦しむ。

    自分のプライベートとどうやって折り合いをつけるのか?

    生活をどうやって折り合いをつけるのか?

    何より「いい役者」になれるのか?

    当然バラバラな方を向いてしまうこともあるんです。
    しかし、なんだかんだいっても、そんな彼らが一丸となって表現し
    にかかる姿はやはり感動的です。それは舞台袖からも感じることが
    できます。それは彼らだからという思い入れをさっ引いてもやはり
    心を動かされます。さらにはその「よくかき込まれた脚本」をして
    彼らの日常が解放された瞬間、図らずも涙していたのかもしれません。

あの公演の日は、劇団の方、おひとりおひとりが「役者」になった。その記念日
でもあるわけですね。それにしても「それは彼らだからという思い入れをさっ引い
ても」という言葉に、たかしんさんの、劇団員に対するあたたかい思いが感じられ
ます。


4月から「カレッジ」のプレ企画ということで、FMN1で自主放送を続けてき
ました。「休み時間でねぇげんぞ」もの、コミカルもの、シリアスもの、青春もの、
時代劇もの、・・・。劇団として、大変だったと同時に、得るものも多かったので
はないでしょうか?
  ディスクジョッキー

    まさにおっしゃるとおりです。
    主にシナリオを担当してくださった道下かおりさん、中谷綾さんの
    力の入れ方は大変なもので、三日完徹もいとわぬものでした。
    山下亮児君や桶田奈美子さん中谷綾さんはその後の編集作業も担当
    してくれて、初期の立ち上げをやった私としては安心して後を任せ
    られたので本当に大助かりでした。
    でも結果として楽しく録音作業ができてよかったなぁとしみじみ思
    います。

    こんなところから、意外と金沢オリジナルのテレビドラマが生まれ
    て来るんではないかと今思いを馳せています。


これからもオリジナルな文化を発信しつづけることを望みます。がんばってくだ
さい。

なお、「ミッドナイトウィンド」は7月15日から再放送が始まっています。

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isam@roy.hi-ho.ne.jp