上演にあたって

復古趣味を志向するあやうげなまつりごと。
起きたことをただ書き飛ばすだけの芯のない報道。

戦後の果実は、もうほとんど三丁目あたりにおいてきてしまったようだ。

考えたり、思ったりする時間を奪われ、
ただ機嫌の悪い沈黙がのしかかっている、かの地の人々。
彼らにこそ立ち止まり考える時間が必要。

ゲームを止め、テレビを消し、街へでてみると・・・
・・・あれれれ「大人がいない」。

街はうつろに、らしかった頃の幻を見せよこたわる。
急ぎ足で駆け込んだ芝居小屋で、耳を澄まし、目をこらし、風にあたれば香りに気づく。

この芝居にはそれがすこし滴っている。

Jun 2007
Shinichi TAKATA