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0021 - 0030ざ・ねば〜えんでぃんぐ・みすてり〜 縮小版
■ ミステリコラムス0021 『忍者でGO!』
「フハハハハ、遂に追いつめたぞ!」
「キ、キサマは風魔忍群の統領、四十八代目・山田風魔小太郎!」
「その通り。ちなみに『山田風』が苗で、『魔小太郎』が名だぞ」
「まさか、キサマのような大物が出てくるとはな……」
「残念だったな、破堂大(※島本和彦・著『炎のニンジャマン』参照)。我が風魔忍群の刺客を何十人も切り伏せてきた、おまえの忍術には心の底から賞賛を送ろう。だが、それもここまでだ。観念して辞世の句でも詠むんだな」
「辞世の句か……400字詰め原稿用紙に換算したら2000枚超えると思うけど、いいか?」
「駄目だ」
「ちっ、冗談じゃねぇぜ! こんなところで死んでたまるか、キサマを倒して逃げ切ってやる!」
「強がりはよせ、破堂大。キサマはもう何も武器を持っていないだろう。手裏剣も、小太刀も、煙玉も、発破も、これまでの闘いですべて使い果たしているはずだ」
「うっ……」
「そのボロボロの身体では、お得意の『忍法・カラダ手裏剣』も遣えまいて! ま、あんな不格好な忍術、遣われたところでどうということもないが」
「不格好とはなんだ! 俺の芸術作品を馬鹿にする気か!?」
「芸術作品なのかよ。まあいい、とにかくこれで最後だ。地獄に落ちるがいい」
「……フッ」
「どうした、急にニヤニヤと笑いおって。恐怖のあまり気がふれたか?」
「違うな。俺が笑っているのは、キサマがあまりにもマヌケだからだ」
「……?」
「キサマはもう罠に嵌まっているんだよ。この俺が何故、こんな山梨県K市という辺鄙な田舎町を潜伏先に選んだのか、気がつかなかったようだな」
「何だと? どういうことだ!?」
「武器はあるんだよ。キサマのような古典的な忍者には想像もつかないような究極の秘密兵器がな。キサマは俺を追いつめたと思っていたようだが、実は俺がキサマをこの場所におびき寄せていたのさ! さあ、この屋敷を見てみろ!」
「こ、この屋敷がおまえたちのアジトだったとでも言うのか? いやしかし、事前に下調べしたところによると、この屋敷はごくごく健全な一般人、ワイン醸造を営む資産家・安東一族の持ち家だったはず。裏社会との繋がりがないことはハッキリしている。武器になるようなものがあるはずは……」
「そう思うだろう? ところがぎっちょん、ここにはとんでもない秘密兵器があるのさ」
「そ、そうか! さてはワイン貯蔵庫の樽の中に、こっそり武器を隠しているんだな?」
「いや、違うな。屋敷の中じゃない」
「屋敷の中じゃない? それでは外か? 庭に不発弾でも埋まっているのか?」
「面白いアイデアだがそれもハズレだ。中でも外でもない、この屋敷そのものが武器なんだ!」
「え?」
「いくぞっ! 『卍の殺人』(今邑彩)の卍屋敷を大胆に使用した超必殺技、忍法・ヤカタ手裏剣!」
「な、なんだとぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!?」
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
「しまったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
「ふんぬぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」
「くそおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」
「でいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……ぁぁ……ぁぁぁ………」
「…………」
「…………ハァハァ…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「持ち上がるわけ、ないよね」
「うん、無理」
今回のネタ本:
『卍の殺人』 (今邑彩/創元推理文庫) (bk1)
■ ミステリコラムス0022 『真説・浦島太郎』
えー、大抵の皆さんは既にご存知のことと思いますが、昔話というやつは本当に厄介な代物でして。そりぁもう、えらい昔から語り継がれているもんですから、人から人へと伝わっていくうちに、内容の方も微妙に変化してしまうものでございます。『桃太郎』、『金太郎』と並ぶ昔話の「三大太郎」のひとつ『浦島太郎』もまた、そういう捻じ曲げられた側面を持つ物語。
浦島太郎は漁師だった。ある日、浦島太郎は子どもたちが亀をいじめているところに出くわした。浦島太郎が亀を助けると、亀はお礼に竜宮城に連れて行ってくれるという。浦島太郎は、亀に跨(またが)り、竜宮城に連れて行ってもらった。竜宮城には乙姫(おとひめ)様がいて、浦島太郎を歓待してくれた。しばらくして浦島太郎は帰りたいと乙姫様に申し出た。乙姫様は引き止めたが、無理だと悟ると、観音菩薩像を渡し、また、玉手箱を「決してあけてはならない」として、渡してくれた。浦島太郎が亀に跨り浜に帰ると、浦島太郎が知っている人は誰もいなかった。おかしいと思いつつ浦島太郎が玉手箱を開けると、中から煙が出てきた。そして、その煙を浴びた浦島太郎は老人になっていた。竜宮城で浦島太郎が過ごした日々は数日だったが、地上では数百年が経っていたのだ。 ・・・ フリー百科事典『ウィキペディア (Wikipedia) 』、浦島太郎より抜粋
――というのが、現代に伝わっている『浦島太郎』というお話のあらすじですが、よくよく考えてみますと、これがちょいとばっかり妙で塩梅でして。
そもそも龍宮城というのは、その名のとおり龍王様の宮殿でございます。龍王様といえばこの地球の実に七割を占める広大な世界を統べる、海の王様です。ある意味、世界で一番偉い人です。そんな偉いお方の宮殿に出入りするとなるば、当然のことながらそれなりの家柄、身分が求められるもの。地上の、それも一介の漁師が出入りするなど言語道断。それはもう、龍宮城でも然るべき地位のある人物から正式に招待を受けたとかでなければ、絶対にありえないことなのです。
然るに、巨大化して炎の球を吐きながら空を飛べるというのであればいざ知らず、浦島太郎が助けたのはのはごく普通の海亀でございます。人間の子供に苛められても反撃する術を持たぬ弱弱しい存在であります。いくら「助けてもらったお礼」とはいえ、龍王様に仕える家来の一匹にすぎない海亀が、素性も知れぬ漁村の漁師を、誰の許しもなく龍宮城に招き入れることなど、できるはずがないではありませんか。そのような権限を与えられているわけがないのです!
嗚呼、それなのにそれなのに。実際問題として、海亀の甲羅に乗って龍宮城を訪れた浦島太郎は、何の身元調査もなしにすんなり門の中に通されている。これはおかしい。あまりにも不自然すぎます。何やら陰謀の臭いがします。そうです、これは陰謀なのです。助けてもらったお礼云々というのは単なる口実でしかなかった。海亀は最初から、龍宮城でも高い地位にある人物によって、浦島太郎を龍宮城に連れていく役目を与えられていたのです。海亀を虐めていた子供たちは、海亀から卵3つで雇われて浦島太郎の意識を海亀に向けるよう演戯をしていたのです。
それでは、基本的に地上との交流を持たない龍宮城が、何故、地上の人間を龍宮城へ招き入れるような真似をしたのか。考えるまでもありません。自分たちの力では解決できない不測の事態が生じたため、でしょう。ここで注目していただきたいのが、浦島太郎を歓迎した龍宮城の面々です。乙姫様を筆頭に、タイ、ヒラメ、タコ、イカ、マグロ、アジ、サメ、イソギンチャク、タカアシガニ、アメフラシ、タコノマクラ――おや、おかしいですね。肝心な方が抜けていやいませんか? そうです、ここには何故か、龍宮城の主である龍王様の姿がないのです。理由はどうあれ、わざわざ地上より招いた客人。これをもてなすのは城の主である龍王様の仕事のはずなのです。それを自分は姿すらも見せず、娘の乙姫に一任してしまうなど、誇り高き海の王がすることとは到底思えません。何故龍王は姿を現さなかったのか?
――勘の鋭い読者の方は、もうお気づきでしょう。そうです、龍王様は姿を見せたくても見せられなかった。つまり、この時点で龍王様は既に亡くなられていたのです。それも自然死や事故死ではなく、明らかな他殺体で発見されたのです。いやいや、決して世迷言ではありませんよ。何故ならこれこそが、浦島太郎という地上の人間を、龍宮城に招き入れた理由なのですから。
つまり、龍王様は明らかに何者かの手によって殺されたのですが、残された乙姫様をはじめ、海の住人たちにはその犯人が誰であるかまではわからなかったのです。そう、可能犯罪です。龍王様は不可能犯罪によって殺されたのです。不可能犯罪といえば今も昔も密室であるというのが、俗にいう「みすてりぃ」の常でございまして。つまり、龍王様は密室で殺された。密室殺人の謎を解決するには名探偵の存在が必須。しかし残念なことに、海の世界には名探偵はいなかった。海の中では本が濡れてしまい、推理小説が読めません。そのため、地上から名探偵という概念だけは輸入できていたものの、名探偵そのものを産み出すことまではできなかったのです。
浦島太郎が龍宮城へ招かれた理由。それは龍王様に代わって龍宮城の主となった乙姫様が、浦島太郎を名探偵と信じたからに違いありません。浦島太郎は龍王様の密室殺人を解決するために龍宮城へやって来たのです。何故乙姫様が、一介の漁師である浦島太郎を名探偵と判断したのかはわかりませんが、そこはすぐ側に海亀がいることですから、きっと亀甲占いでもしたのでしょう。浦島太郎を連れてくる特命を帯びた海亀は、亀甲占いのために犠牲となった亀の兄弟だったかもしれません。そういう裏話があったかもしれません。初対面の海亀と浦島太郎の間には、こんなやり取りがあったかもしれません
海亀: 「危ないところを助けていただきまして、本当にありがとうございます」
浦島: 「なになに、礼には及びません。これからは気をつけるのですよ」
海亀: 「――そんな貴方にはズバリ名探偵の素質があります。是非とも龍宮城へお越しください」
浦島: 「えっ? 何の話?」
まあそんなこんなで、龍宮城へやってきた浦島太郎は、タイやヒラメと共に舞い踊るような現場調査を行うわけですが――この事件の顛末は、残念ながら微塵ほども現代に伝わっておりません。ただ、地上へ帰ろうとする浦島太郎に、乙姫様が手渡した玉手箱、その中に人間を老化させるガス兵器が仕込まれていたことを考えるに、答えは自然と決まってくるのではないでしょうか。海の世界の新たな主となった乙姫様は、龍宮城で起こったとんでもない不始末を、部外者であり、しかも地上の人間である浦島太郎に、いつまでも憶えていられては都合が悪かった。つまり、浦島太郎に事件のことを忘れさせるには――
以上、『真説・浦島太郎』。長々とご拝聴いただきまして、誠にありがとうございました。
あ、いつものオチがないですな。すっかり忘れておりました。
そうですね、こんなのはどうでしょう。龍宮城へ向かう浦島太郎、海亀の甲羅にしがみつきながら、深く、深く、ひたすら深く潜って――着いたところは、密室だった。そう、密室は海底にあったのです。これがホントの『海底密室』(三雲岳斗)。おあとがよろしいようで。
今回のネタ本:
『海底密室』 (三雲岳斗/徳間デュアル文庫) (bk1)
■ ミステリコラムス0023 『半落ち・街頭インタビュー』
『半落ち』(横山秀夫)というタイトルを初めて聞いた、日本国民の95%以上は「“半落ち”ってなんじゃらホイ?」と思ったことでしょう。そもそもが警察内部で使われている隠語であり、辞書を引けばわかるといった類の言葉ではありません。当然のことながら僕も知りませんでした。「俺は知ってたよ」なんて言っちゃう奴の95%はウソ吐きウソップです。残り3%は警察官で、残り1%は実際に半落ちした容疑者です。おや? それでもまだ1%残りますね。この1%は「その他」に分類されるもので、つまり、本来の意味を穿き違えている勘違いさんなのです。今回はそんな愛すべき勘違いさんたちに、“半落ち”という言葉を知っていますか?とインタビューしてみることにしました。
この時点で既に「半端なオチ」というオチが透けて見えるようではありますが、気にしません。
◆某社受付嬢(28)・Sさんの場合
「私も昨日、“半落ち”しちゃったのよね。学生時代から大切にしてた、真珠のイヤリングなんだけど……」
見ると、彼女は左耳にだけ真珠のイヤリングをしています。どうやら、コンタクトレンズの右眼用だけを落としてしまったとか、お昼に食べようと思っていたツナとタマゴのサンドイッチのうちツナの方をうっかり落としてしまったとか、『彩文家事件』(清涼院流水)上下巻のうち下巻だけを落としてしまったというように、二つで一組になるもののうち一方を落としてしまった状態が「半落ち」だと思っているようですね。半分落としてしまったから、半落ち。当たらずも遠からずっぽい。週刊少年チャンピオンと週刊少年マガジンという二大少年誌で同時に連載を抱える板垣恵介先生が、どちらかの原稿を落としてしまった状態もこれに合致しそうです。
◆国立O大学生(20)・Y君の場合
「こういうことじゃないの? えーと、オレがバナナを持って、『この葉巻は随分と大きいね。尻に挿むのも苦労するよ』という感じにボケたら、君が『それは葉巻じゃなくてバナナだよ!』とだけツッコむ、みたいな」
なるほどなるほど、ボケに対して半分だけオチている状態ですか。この場合、「バナナを葉巻と間違えている」と「葉巻を尻に挿むものと間違えている」というふたつのボケがあって、それに対するツッコミは前者に対するものしかない。ツッコミがなければ当然オチません。つまり、半オチというわけです。これはなかなか説得力がありますね。全然ないような気もしますがきっと気のせいです。相方が連発する極めてハイレベルなボケを、ツッコミ力不足で半分程度しか落とすことのできない芸人の苦悩と悲哀を描いた吉本興業推薦の芸人小説か?
◆隅の老人(73)・M氏の場合
「おお、そうなんじゃよ。ワシの御先祖様は“半落ち”なんじゃ。戦に破れて近くの村に匿ってもらったんじゃが、そこの村人たちが本当に善人揃いで、誰も密告をしたり隠し財宝を狙ってきたりすることがなかったんじゃ。そのまま村の娘と結婚して村に住み着き、平和な家庭を築いたというわけじゃ」
これはちょっと難しいんですが、要するに“半端な落ち武者”ということのようです。このお爺さんの中では、落ち武者=落ち延びた先で村人たちに裏切られて呪詛を吐きながら死ななければならないのでしょう。生き延びて平和に暮らしちゃった落ち武者は半端もんだってことで。平家伝説か横溝正史か。
◆小学校教諭(35)・T氏の場合
「子供の頃によくやりましたよ。妹が大好きだったんです。友達を集めて、ぐるっと円状に座るんですよね。それからオニ役以外の子供はみんな目を瞑って、オニ役の子供は円の外側をグルグルと回りながら……」
あ、これはなかなか綺麗ですね。「半落ち」=「ハンオチ」=「ハンカチ落とし」というわけですな。「オ」と「チ」の順番が入れ替わっていますが、大した問題じゃありません。語感が似てれば万事OKです。幸せの黄色い半落ち。なんちて。
◆ピッカピカの小学1年生(6)・Kちゃんの場合
「あのね、あのね、この間、隣りのクラスのケンちゃんが、体育の時間に“半おち”してたよ」
うわー、これは困りました。最後の最後で下ネタです。「半おち」=「半分お○ん○んを出すこと」みたいです。体育の時間ということは半ズボンで体操座りでもしていたのでしょう。ていうか、これはちっとも「落ち」じゃないじゃないか。そりゃあ「落」は小学校1年生で習う漢字じゃないから仕方ないといえば仕方ないのでしょうが、横山先生が聞いたら激怒しますよ、直○賞辞退しますよ。――いやすいません。今回、どうしてもいいオチが思い浮かばなかったので、ついつい下ネタに頼ってしまいました。全然ミステリじゃないよ。半ズボン穿いてすいません。半端なオチですいません。予定調和ですいません。
今回のネタ本:
『半落ち』 (横山秀夫/講談社) (bk1)
■ ミステリコラムス0024 『探偵で映画』
高校時代、映画研究会に所属していた旧友テットが、『探偵映画』(我孫子武丸・著)を撮りたいので力を貸してくれないか、と打診してきた。
テットというのは、彼がスイスはジュラ・ブルノワ地方で造られるテット・ド・モワンヌというチーズが大好物であることから取られた渾名だ。ミステリに何の興味も持っていなかったはずの旧友テットが、何故突然「探偵」映画なのか?と懸念に思いはしたが、彼は私にとって、ヤンバルクイナよりも稀少な友人のひとりである。快く承諾した。何をすればいいのかと訊ねると、事件を起こして欲しいと言う。えっ、脚本とかないの? ひょっとしてノンフィクション? そんなことをしたら私は直ちに犯罪者の仲間入りだ。仲間が大勢できるのは嬉しいことなので、快く承諾した。
手頃なところでコンビニエンス・ストアを襲撃してみる。現金狙いは気が引けたので、うまい棒のサラミ味を18本ほど強奪してみた。コンビニを出て逃走する最中、ふと後方に目をやると、8mmカメラを持った旧友テットの姿があった。そういえば事件を起こしたはいいが、そこから先の指示を受けていない。私は逃げるのをやめて、旧友テットに近づこうとした。ところが旧友テットは、私が近づけば近づくほどに遠ざかる遠ざかっていく。これはひょっとして嵌められたのかもと、遅蒔きながらに気がついた。
復讐の鬼と化した私は、うまい棒のサラミ味で餓えを凌ぎながら警察の包囲網を掻い潜り、コビトカバよりも稀少な友人のひとりである親友Oが経営するブティックへと逃げ込んだ。Oというのは大阪のOで、千葉県は安房鴨川の出身のくせに、主に似非関西弁を喋る大阪フリークだ。大阪フリークだけあって、ブティックには派手な服ばかりが並んでいる。親友Oは「とりあえず変装やな」と言って、店にある派手な衣類を次々と着せていった。あっという間にひとりの伊達男の出来上がる。伊達男になった私のことを、警官たちは見向きもしなかった。気がつかないのも無理はない、今の私は、私である以前に伊達男なのだ。大手を振って旧友テットの追跡を開始する。それから紆余曲折いろいろあって、旧友テットを発見した。
私の伊達男を瞬く間に見破った旧友テットは、白い兎が逃げるようにしてその場から駆け出した。私は猟犬のように追う。逃げる。追う。逃げる。追う。逃げる逃げる。追う追う。逃げる逃げる逃げる。追う追う。逃げる逃げる。追う追う追う。逃げる。精一杯伸ばした左手が、あと少しのところで旧友テットの襟首を掴み損ねる。拙い、このままでは逃げられてしまう。どうにかしなければ。どうにかしなければ。
そのとき、私はハッキリと天啓を得た。今の私は私である以前に、ひとりの伊達男なのである。旧友テットを追い駆けながら、恐る恐る頭部の右斜め上方に手を伸ばしてみると、思ったとおりのものがそこにあった。そいつをムンズと掴みやって、えいやとばかりに気合いを込めて、旧友テットに投げつける。それを計4回。最後の4つ目がヒットした次の瞬間、旧友テットが緩やかに崩れ落ちた。それは恰も映画の一場面のようで、確かにスローモーションだった。
そのとき私は、既に伊達男ではなくなっていた。いつの間にやってきたのか、私の背後に立っていた親友Oが、私に訊ねる。
「どうなったんや? 今のオマエ、伊達男にはちょっと見えへんぞ?」
「そうだ、今の私は探偵だ」
「探偵やて?」
「そうだ。伊達男といえばダンディだろう?、つまりダンディの濁点を掴んで投げつけたんだ。ダンディの濁点がなくなって、タンティ、たんてぃ、たんてい、つまり探偵さ」
「そんなアホな!」
「信じられないかもしれないがそうなんだ。その証拠に、旧友テットが死んでいる」
「どういうことや? ちゃんと説明しろやー」
「テットに、私が投げた濁点がくっついたんだ。テットに濁点がついてデッド、つまり、死んだ(dead)」
親友Oが大袈裟にこける。
「……そんなアホなオチ、ホンマに許されると思ってるんか?」
「許されるも許されないも、これは現実だ」
「それにしたかて、ダンディの濁点取っ払ったら探偵って……探偵…………まあ、たんてい、ええか」
それにしてもこの作者、最近、駄洒落オチが多すぎやしないか。
今回のネタ本:
『探偵映画』 (我孫子武丸/講談社文庫) (bk1)
■ ミステリコラムス0025 『人狼城は恐ろしい』
人狼城って知ってるかい? 世界最長の本格ミステリ小説『人狼城の恐怖』(二階堂黎人・著)に登場する、それはそれは恐ろしい城だ。独逸・仏蘭西の国境付近に位置する伝説の古城で、その名の通り、人狼伝説が残っている。説明するまでもないが、人狼とは狼人間のこと。普段は人間の恰好をしているが、満月の夜になると身体中にモコモコとした毛が栄えて、終いには巨大な狼と化す。血に餓えた狼は、夜な夜な獲物を求めては城内を徘徊し、憐れな犠牲者の喉笛を喰いちぎるのだ。
斯様に恐ろしい狼人間だが、「人間」の部分については当然のことながら、その年齢・性別・国籍にバラつきがある。そしてこの「人間」の部分と「狼」の部分は、本質的に同一だ。「狼男」の「男」の部分が30代前半の屈強な格闘家(しかも男色家)であれば、「狼男」の「狼」の部分も相当に凶暴な、北欧神話のフェンリル狼にも匹敵するほどの恐ろしい化物(しかも男色家)になるだろう。だが、これが「狼寝たきり老人」であれば大して恐ろしくもないだろうし、「狼赤ちゃん」であれば寧ろ愛らしい。「狼相撲取り」は通算807勝で31回の優勝を誇る偉大な横綱(現親方)だし、「狼巨人軍右翼手」はその甘いマスクで若い女性に大人気だ。逆に「狼」の部分が「ニホンオオカミ」だった場合は、特別天然記念物に指定される危険性があってオチオチ夜も寝ていられない。気をつけろっ、ムツ○ロウが来るぞっ! 大体において、男はみんな狼なのさ。娘さんたちは気をつけな。
本題に戻ろう。それじゃあ人狼城に住む狼人間の、「人間」の部分は一体何なのか? そりゃ決まっている。「大変だ、狼が出たぞーっ!」 「やれやれ、またやってるよ。毎度毎度ご苦労なことだね」 そう、人狼城に住む狼人間は、世にも恐ろしい「狼少年」なのだ。この城に在住した人間は、喉笛を喰いちぎられる心配こそないが、気がつくと誰にも信じてもらえなくなる。ある意味、こちらの方が余程に恐ろしいとは思わないかい?
おまけ: 犬族最強の座をかけた三大ミステリ決戦!
『人狼城の恐怖』 vs 『バスカヴィル家の犬』(コナン・ドイル 著) vs 『犬神家の一族』(横溝正史・著)
近日公開(しません)
今回のネタ本:
『人狼城の恐怖 第1部 ドイツ編』 (二階堂黎人/講談社文庫) (bk1)
『人狼城の恐怖 第2部 フランス編』 (二階堂黎人/講談社文庫) (bk1)
『人狼城の恐怖 第3部 探偵編』 (二階堂黎人/講談社文庫) (bk1)
『人狼城の恐怖 第4部 完結編』 (二階堂黎人/講談社文庫) (bk1)
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■ ミステリコラムス0026 『殺しのはなれわざ』
『はなれわざ』(クリスチアナ・ブランド)という小説があります。ネットで検索をかけてみると、多くの書評サイトで「ミステリ史上に輝く傑作トリック」といった賛辞の言葉が数多く見られる作品ですが、海外古典ということもあって、僕はまだ未読です。しかし、わざわざタイトルで“はなれわざ”と謳っているくらいですから、きっと余程の“はなれわざ”をしているのでしょう。普通の殺し方であるはずがない。そう、例えば――その場から一歩も動かずに凄い勢いで前方宙返りを繰り返し、巻き起こした旋風の風力で被害者をプラットホームから線路に吹き飛ばして殺害するとか。被害者の部屋の窓側に立っているポールに飛びつき、身体を真横の姿勢に保ちながら両腕の力だけで上昇していき、自由な両脚で窓から被害者を蹴り殺すとか。双子の兄弟が互いの足首を持ち合ったまま地獄車のように坂道を転がり降り、途中にいた被害者を轢き殺すとか。巨大な山が揺れ動いているように見せかけて、実は高校生の組体操ピラミッドが軽快に跳び跳ねながら被害者を圧殺するとか。
「博士、僕は狂っているんでしょうか……母親が子供を、両足を使って恰も独楽みたいに回転させていたり、犬を散歩させている中年男性が片手だけで逆立ちをしながらピョンピョン前に進んでいたり、結婚式場では胴上げをされている花婿が中空をヒラヒラと枯葉のように舞っていたり、そんな幻覚ばかりが視えるんです」
「落ち着いてください近田さん、さあ、このドリンクを飲んで」
「ゴクゴクゴク……おっ、これはなんだか美味しいですね。胸の奥につっかえていたイライラが解消されていく気分です。博士、このドリンクは何という名前ですか?」
「…………」
「博士?」
燃焼系〜♪ 燃焼系〜♪ こんなトリックしたくても〜♪ (無理!)
「うっ、ドリンクの中に毒が……」
今回のネタ本:
『はなれわざ』 (クリスチアナ・ブランド/ハヤカワ・ミステリ文庫) (bk1)
■ ミステリコラムス0027 『名探偵の掟とは?』
『名探偵の掟』(東野圭吾)がもしも本当にあったとしたなら、それは一体如何なるものだろうか?
掟と聞いてまず思いつくのは「忍の掟」である。闇に生まれ闇に生きる忍の者は、決して陽の当たる場所に立つことを許されない。灰になって消滅してしまうからだ。抜け忍は死をもって償わなければならないという過酷な掟である。ならば名探偵も、事件を解決できなかったら死をもって償うくらいの掟があって然るべきではないだろうか。誤った推理で無実の第三者を犯罪者呼ばわりしておいて、「ごめんなさい」で済むなら警察はいらないのである。
事件の舞台が吹雪の山荘や絶海の孤島であれば、ミスを犯した名探偵は真犯人の逆襲にあって殺されるので概ね問題ない。自己責任というやつだ。現場に姿を見せることがない安楽椅子探偵の場合はちょっと厄介だが、おそらく安楽椅子探偵の安楽椅子は実は電気椅子も兼ねていて、推理を誤った瞬間に100万ボルトの電流が走るようになっている。名探偵を名乗った瞬間から、彼または彼女は己の死すら覚悟しているのである。なんと悲壮な覚悟であろう。普段は弱電流で全身マッサージも可能。名探偵といえど健康には気を使うべきである。
しかしまあ、想像ばかりではお話にならない。私は実際に名探偵の助手となり、名探偵に密着することで、彼らの間にどのような掟があるのかをこの目で確かめてみることにした。名探偵の助手になるということは、イコール名探偵と一緒に住むということだ。ひょっとしたら恋愛関係に発展してしまうかもしれないが、困ったことに私が従事することになった名探偵は男性だった。名探偵の掟に「ワトソン役と懇ろになること」とでもあったら即アウトという危機的状況である。しかし、しばらく行動を共にすることで、彼がまったくのノーマルだということがわかった。少しだけ残念な気がするのは何故だろう。
ともあれ仕事をこなしつつ、しかし名探偵の掟は少しもわからないままに時間ばかりを重ねた、ある日の朝。
「近田君、近田君」
気がつくと、名探偵が私の寝室に勝手に入り込んで、枕元で何事か囁いている。
「近田君、朝だよ、起きたまえ」
「……ううん、ムニャムニャ」
「ほら、近田君、早く起きて仕度をするんだ。依頼人との約束に遅れてしまうだろう」
「……私は低血圧だから、朝は苦手なんだよ。頼むからもう少し寝かせてくれ……」
「駄目だよ近田君、二度寝しちゃ駄目だ。起きろ、起きたまえ、いやホント、お願いだから、起きてー」
今回のネタ本:
『名探偵の掟』 (東野圭吾/講談社文庫) (bk1)
■ ミステリコラムス0028 『バルーン・タウンに住もう』
『バルーン・タウンの殺人』(松尾由美・著)というタイトルを聞いて、それが「妊婦さんだけが暮らす街で起こった殺人事件を、妊婦さんの名探偵が解き明かす、妊婦さんだらけの本格ミステリ」と看破できる人間はまずいないだろう。私の予測では、昭和45年〜昭和55年産まれの20代後半〜30代前半男性、その凡そ95%が「なるほど、これはあの任天堂が産んだ名作ファミコンゲーム『バルーンファイト』(1985年)を題材にしたゲームミステリなんだな」と思うはずである。少なくとも私はそう思った。私の見解は全人類の総意であると思っていただいて間違いない。
『バルーンファイト』の世界では、登場人物は皆一様にバルーンを背負っており、その浮力で中空に浮きながら移動する。バルーン・タウンの住人たちもこれに倣い、色とりどりのバルーンで空を彩る。住居はタンジール蜜柑共和国を彷彿させる巨大な樹木の上。推進力は両手に握った団扇だけなので、住人となるにはそれなりの腕力が必要だ。尚、バルーンの数はひとり2個までと制限されている。バルーン1個の浮力などたかが知れているので、2個分の浮力で浮くことのができない体重550トンのコンバトラーV氏や体重4万5千トンのウルトラマンA氏は住人になることができない。自力で飛べる彼らにバルーンは必要ないが。
斯様に過酷な環境ではあるが、不思議と胎教には良いらしい。そのため全国から妊婦さんたちが集まり、当初はバルーン2つで人が飛ぶ街だったのが、今やバルーン3つが飛んでいる街である。胎児が大きくなりすぎると墜落の危険もあるのだが、一方で産まれてきた子供に大きく羽ばたいて欲しいという願いを込め、空中出産を望む人も多いと聞く。仮に空中出産を安全に行う方法が発明されれば、バルーン・タウンに移住する妊婦さんの数は更に増えることだろう。発明者には名誉市民の称号が与えられ、妊婦ならぬ身でもバルーン・タウンに住まうことが許されるのだ。しかし残念ながら、私は何も思い浮かばない。そして私は重い浮かばない。
今回のネタ本:
『バルーン・タウンの殺人』 (松尾由美/創元推理文庫) (bk1)
■ ミステリコラムス0029 『殺しも鯖もMでS』
『殺しも鯖もMで始まる』(浅暮三文)、という作品がある。確かに「殺し」=「Murder」、「鯖」=「Mackerel」であり、どちらも「M」で始まる単語ではある。このタイトルは、土中密室から発見された死体が「サバ」というダイイング・メッセージを残していたことに由来するもので、素晴らしく独創的なタイトルである。そもそも「殺し」と「鯖」を結びつけるところからして尋常な発想でない。著者は殺したいほど鯖を憎んでいるか、殺されたいほど鯖を愛しているか、寧ろ鯖かのいずれかであろう。
著者のことはさて置き、私は鯖を憎んでいる。鯖嫌いの人間には、とてもではないがこんなタイトルの本は読めない。手に取っただけで蕁麻疹が出そうだし、我慢して購入したとしても本棚が鯖臭くなって仕方ない。隣りの本に鯖臭さが移ってしまう危険性すらあって、これが著者別に分類された本棚なら、『左眼を忘れた鯖』(ホラー小説だ)、『石の中の鯖』(化石だ)、『鯖の血を嗣ぐ』(鯖人間だ)、『10センチの鯖』になってしまう。10センチ程度の鯖では釣り仲間に自慢することもできない。
それはそれとして、鯖好きの友人に訊ねてみたところ、「鯖」といえば「味噌煮」というのが世間の一般常識であるらしい。実際本書の中には、「サバ」と一緒に「ミソ」というダイイング・メッセージも登場する。つまり「サバ」と「ミソ」で「煮る」を連想させているわけだ。しかし、これを額面どおりに受け取ってはいけない。賢明なるミステリコラムス読者であれば、ダイイング・メッセージの読解にちょっとしたセンスと確かな茶目っ気が必要不可欠であることは既にお気づきだろう。であればこの「煮る」を「似る」と置き換えても、格別問題はないはずだ。「鯖」に「似る」言葉で「殺し」と同じ「Mで始まる」――つまり、『殺しも産婆(Midwife)もMで始まる』。犯人は産婆の里子である。
里子は、それは酷い女である。産婆は本来、妊婦に安心を与えなければならない立場にあるのに、彼女は妊婦を口汚く罵る。罵詈雑言の限りを尽くして、それで薄ら笑いを浮かべている。間違いない、彼女は「S」(サド)だ。超ウルトラS級のSだ。そんな里子は、家に帰ると唯一人の肉親である私のために晩御飯の用意をしてくれる。しかしそのおかずは常に「鯖」である。私は全身に蕁麻疹を患いながら、その鯖を黙々と食する。いつか里子に殺されてしまうかもしれないと思うと、口元が少しだけ緩む。間違いない、私は「M」(マゾ)だ。超ウルトラM級のMだ。
今回のネタ本:
『殺しも鯖もMで始まる』 (浅暮三文/講談社ノベルス) (bk1)
■ ミステリコラムス0030 『くろけん先生特集』
「それじゃ、パズルを出題するよ」
「うん」
「有名なやつだから知ってるかもしれないけどね。『嘘つきパズル』(黒田研二)のバリエーション」
「ああ、聞いたことあるような、ないような」
「まず最初に、私は嘘つきです」
「お前が嘘つきなのかよっ!」
「名探偵はポーカーフェイスが大事だよね」
「そうだな。犯人に顔色読まれて、証拠隠滅でもされたらたまらんからな」
「だったら最初から仮面を被っていればいいと思うんだ」
「まあ、見た目さえ気にしなければそれもいいかもしれんな。『ペルソナ探偵』(黒田研二)ってところか」
「じゃあ、これ被って」
「オイオイ、俺は探偵じゃないぞ――って、なんだコレ? デカレンジャーのお面じゃねーか!」
「君も今日からペルソナ探偵」
「もうちょっとそれっぽい仮面用意しよろ! それにデカレンジャーは探偵ってわけじゃないぞ!?」
「じゃあ、こっち」
「コナン君かよっ! 探偵かもしれしれんけど大人が被るもんじゃないだろっ!!」
「でも、黒田研二っぽいよね」
「確かに」
「クレーマーって嫌だよね」
「嫌だな。特に狂ったみたいに難癖つけてくるクレーマーは始末に終えない。将に『クレージー・クレーマー』(黒田研二)だ」
「この間、広島県呉市のクレー射撃場に、円盤が粘土でできていることを狂ったように抗議してお詫びの粗品をせしめようとしているクレーマーがいたんだけど、ドイツ代表の控えGKイェンス・レーマンに似てたよ」
「なるほど、クレイジー・クレシ・クレー・クレイ・クレクレ・クレーマー・レーマンか……って、意味わかんねーよ!」
「マトリョーシカってあれだよね、ロシアのおみやげで、大きい人形の中に小さい人形が入ってる」
「そうそう、それで小さい人形の中にはもっと小さい人形が」
「もっと小さい人形の中にはもっともっと小さい人形が」
「もっともっと小さい人形の中にはもっともっともっと小さい人形が」
「そうやって小さい人形が出てくるのを楽しむものだと思うんだけど、そうすると『硝子細工のマトリョーシカ』(黒田研二)って意味がないよね? 最初から中にどれだけの小さい人形が入っているのか、わかっちゃうんだからさ」
「もっともっともっと小さい人形の中にはもっともっともっともっと小さい人形が」
「って、人の話を聞けよ」
「もっともっともっともっと小さい人形の中にはもっともっともっともっともっと小さい人形が」
「やめろってば」
「もっともっともっともっともっと小さい人形の中にはもっともっともっともっともっともっと小さい人形が」
「もしもーし」
「もっともっともっともっともっともっと小さい人形の中にはもっともっともっともっともっともっともっと小さい人形が……」
「……」
「……最終的には硝子を構成する酸化珪素分子が1個だけが出てくる。これは樹木を構成する分子1個よりも小さいから、硝子細工のマトリョーシュカは木製のマトリョーシュカと比べてより小さな人形を入れておくことができるんだ。凄いよね」
「はいはい、すごいすごい」
「“黒田研二の『ウェディング・ドレス』”ってことはつまり、著者が本物のウェディング・ドレスを着たいと思っていることの表れなんだよね?」
「うーん、否定し切れません」
「大変だっ!」
「どうした?」
「俺、昨日までの記憶がさっぱりないんだ。そしたら枕元に日記が置いてあって……」
「ひょっとして、『今日を忘れた明日の僕へ』(黒田研二)か?」
「君に3,000円貸しんだけど、まだ返してもらってない、って書いてあった」
「何書いてんだよっ! もっと重要なこと書けよっ!」
「返して」
「いや、もう返したから」
「いつ?」
「昨日」
「嘘つくなよー」
「じゃあ、このパズルが解けたら返してやるよ」
今回のネタ本:
『嘘つきパズル 〜究極の名探偵☆誕生〜』 (黒田研二/白泉社My文庫) (bk1)
『ペルソナ探偵』 (黒田研二/講談社ノベルス) (bk1)
『クレイジー・クレーマー』 (黒田研二/実業之日本社ジョイ・ノベルス) (bk1)
『硝子細工のマトリョーシカ』 (黒田研二/講談社ノベルス) (bk1)
『ウェディング・ドレス』 (黒田研二/講談社ノベルス) (bk1)
『今日を忘れた明日の僕へ』 (黒田研二/原書房ミステリーリーグ) (bk1)
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