雇用援護制度のいろいろ
●法定雇用率(「障害者の雇用の促進等に関する法律」で定義された雇用義務)
- 従業員数に応じて、一定の割合の障害者を企業が雇うことを法律で定めたもの。
- 障害者数
/ (全従業員−除外労働者数) ≧ 1.8%(民間企業)
- 従業員56名以上の企業が対象で、身体障害者及び精神薄弱者のみをカウントする。
- 重度障害者(1.2級)はダブルカウントする(1人で2人分と計算)。
- 現状は、1.47%(1996現在) 5割が雇用率未達成(大企業ほど未達成率高い)
- 特定の職場を障害者が働きやすい環境に整え、そこに障害者を集中的に雇用する「特例子会社」という方式も雇用率に認められる。しかし、このような方法では障害者だけの職場になりがちなので、ノーマライゼーションの理念に反するという批判もある。
●身体障害者雇用納付金制度
- 雇用率を達成していない企業から、雇用すべき身体障害者の人数に応じた金額(一人当たり月5万円、年60万円)を徴収する。(従業員300人以下の企業は除外)
- 身体障害者の雇用にあたっては、トイレ等の環境整備や特別の指導・援助が必要となる。
- 雇用主の経済的負担のアンバランスを是正する為に、納付金制度がある。罰金ではない。
- 集められた雇用納付金は、雇用率を越えて障害者を雇用する事業主に対する「雇用調整金」や身体障害者を雇う事業主に対して支給する各種の助成金の財源となる。
●特定求職者雇用開発助成金(障害者を雇い入れた事業主に給付金が出る)
- 身体障害者、精神薄弱者及び精神障害回復者等を公共職業安定所の紹介により、継続して雇用する労働者として雇い入れた事業主に対し、賃金の一部を助成するもの
- 重度障害者…雇入れ後1年6か月間に支払った賃金の1/3(中小企業事業主1/2)
- それ以外の者…1/4(中小企業事業主1/3)
●障害者作業施設設置等助成金
- 車いす使用者のための「作業施設」の新築や、トイレ、スロープなどの「付帯施設」の 整備、盲人用ワードプロセッサーなどの「作業設備」の設置などの費用の一部を、助成するもの。
- 支給額…施設や設備の設置、整備に要する費用の2/3
- 限度額は、雇入れ身体障害者1人について450万円。
●重度障害者職場適応助成金
- 雇入れに係わる職場適応措置を実施する事業主に対して、
- 重度障害者等1人当たり月3万円を支給する。
- 支給期間 3年間
●職場適応訓練
- 身体障害者、精神薄弱者、精神障害回復者等の能力に適した作業について6ヶ月以内(重度障害者は1年以内)の実施訓練を行うもの。職場の環境に適応することを容易にし、訓練終了後は事業所に引き続き雇用してもらおうという制度である。
- 訓練期間中は、委託した事業主に対し訓練生1人につき1か月22,800円(重度障害者の場合23,800円)の委託費が支給され、訓練生に対しては1か月平均、約134,720円の訓練手当が支給される。
●短期職場適応訓練
- 前期に準ずる形で行う職場実習。
- 2週間以内(重度障害者は4W以内)
- 事業主に対し訓練生1人につき日額910円(950円)、1回の職場実習につき限度額 22,800円(23,800円)の訓練費を支給。
- 訓練生に対しては1日平均4,600円の訓練手当が支給される。