
其の26
1998.07.26(日)
エジプトの香り
| 香水、香りの強いものは、苦手なのですが、たまたま気に入ったものが
あり、珍しく買いました。 ベルガモットという、柑橘系の植物の香り、 カクテルのマティーニ、紅茶のアールグレイの香りです。 マティーニも、
アールグレイも好きなので、私には相性の良い香りなのでしょう。 ところで、エジプトと香り、香料の関係は古く、深い。古い記録では、スネフェル王(第4王朝)のピラミッドの壁に『天よ新しき乳香をもちて降らせたまえ、ホルス王スネフルの屋根に香を注ぎたまえ』という記述があり、さらにイセスィ王(第5王朝)がガム樹脂を得るためにプントに遠征隊を送り出しているらしい。また、ハトシェプスト女王のプント、ソマリアとの香料交易は有名です。プントの地からもたらされたのは、乳香(アラビア半島南部やソマリア沿岸地帯にはえるボズウェリア属の数種、あるいはスーダン東部や、エチオピアに生えるコンミフォラ・ペドゥンクラタなどの樹木が、昆虫、動物、あるいは香料を採取しようとする人間によって切り傷を受けるとにじみ出す淡黄褐色の樹液がキャンディ状に固まった樹脂)、ミルラ(没薬:コンフォラ属の別の数種が出す黄赤色の樹脂)といった香料。(ただし、聖書で、幼子イエスに捧げられた乳香、没薬と程芳しいものではなかったらしい) デル・エル・バハリのプント交易の図には、ミルラの木自体をエジプト人達が船積みしている図もあり、デル・エル・バハリの神殿に、木を飢えて穴の跡が残っていることから、こうして持ち込 まれたミルラの木がそこに移植されていたのではないかとも考えられています。 この様に手に入れた香料、神殿に植えられたらしいことからも想像される様に、神々に捧げられたものでありました。 カイロ博物館に『七つの聖なるオイル』のタブレットというものが所蔵されています。1983年4月2日〜6月29日に東京西武美術館で行われた『カイロ博物館秘蔵 古代エジプト展 3000年の世界を行く』のカタログ中の説明によれば、この第6王朝時代のものとされるタブレットは、 いわゆる「七つの聖なるオイル」と呼ばれる、オイルを入れるために、ちいさな丸い七つの窪みのあるアラバスター製のタブレットである。それぞれの窪みの上には、次に示すオイルの名前が、ヒエログリフで刻まれている。 ※タブレットの大きさは、1.5×21×11.5の長方形で下方に7つの丸い窪みが並び、その上にヒエログリフで説明があります。 また、ミイラ作りにも香料が用いられたのはヘロドトスの『歴史』内でもミイラ作りについて言及された部分から知られているところと思います。 こうして、神々に捧げられることの多かった香料ですが、新王国以降、より日常、現世の人間世界でも多用される様になっていったそうです。 |
INDEX
![]() |
||
BACK
![]() |
GO |
| 『Chaos Panic』のホームページ | 『エジプトのこと』のホームページ |
| このページについての、ご意見、ご感想は下記まで (mizuchi@roy.hi-ho.ne.jp) |