2001年8月の修行日記


2001/8/26
 どうやら今年いっぱいで、トレバー・ワイの初級用教本が終わりそうだ。中級に進んだら、贅沢をしてフルートを買い換えようか、と夢想する。
 村松楽器のホームページを覗いてみて、やはりかなり値が張ることを知る。管部シルバー+キー部洋銀ならば、350,000円。全部シルバーならば、550,000円くらい。7,400,000円のプラチナ製に比べればまだまだリーズナブルか。しかもすべてハンドメイド、注文生産なので、受注から納品まで半年から1年くらいかかるらしい……そんな事実を知ると、なにやら無性に手に入れたくなってしまう。
 洋銀→シルバー→ゴールド→プラチナ、と材質がグレードアップするにしたがって、実質的なメリットもそれなりについてくるらしい。単なる金持ちの酔狂の対象というわけではないのだ。音質がよかったり、音程移動がなめらかだったりするとのこと。ただし高級材質の楽器は奏者を選ぶらしく、初心者には洋銀製が最も音が出しやすいそうだ。
 それにしても、シルバー→ゴールド→プラチナ、とか、E-メカニズムとかいったタームを聞くと、妙に反応してしまう。SEの悲しい性か?

 休日出勤すると仕事はそれなりに進むが、ストレスの蓄積が並大抵ではない。こればっかりは何度やっても慣れない。わけもなくイライラしたり、突然悲しくなって涙がこみ上げてきたりするのだ。精神の深いところが労働を拒否してやまないのだろう。

2001/8/24
 最近わが社の上層部が、ホストのリプレースプロジェクトに関する警句として、
 「プロジェクトの滑り出しの段階で、まず現行システムの調査をしっかり行え」
 「現行システムの調査においては、顧客の情報システム部に責任を負わせよ」
 「全てを一度に置き換えるのではなく、段階を踏んで、まず情報系からはじめよ」
 とのこと。彼らがあたかも自分たちがとっくの昔から知っていたかのように説いているこれらの教訓は、実は我々のプロジェクトメンバーの血をもって購われた貴重な財産なのである。
 我らのプロジェクトの草創期において、当時入社間もない3名の中途の人たちのみを配属し、「これでこと足れリ」と放置していたお偉方が、今ではさも賢そうに我々のプロジェクトを格好の失敗例としてケーススタディに引用し、そして一部の軽薄な輩が彼らに阿諛追従し、我々を嘲笑あるいは罵倒している。なんともやりきれない。
 しかしそれにもかかわらず、わがプロジェクトメンバーたちは、悲憤慷慨するどころか文句一つ言わずに日々真摯に仕事に取り組んでいる。

 新幹線車中にて、「完全失業率5%突破」、「日経平均バブル後最安値」のニュースを知る。仕事があるだけまだ私は幸福ということか。

2001/8/19
 狼男を倒すには、銀の弾丸が必要だ。現に鉛の弾丸では倒せなかったではないか。「既に相手は手傷を負っている」という理由で、再び鉛の弾丸をもってあたるのでは、返り討ちに会うのがおちだ。ある程度時間と費用を掛けてでも、銀の弾丸を作るべきだ。
 しかし時間を掛けるほど、相手の傷も回復する……!
 巧遅にも拙速にも偏らず、うまく機を捕らえて一挙に敵を粉砕スベシ。

2001/8/8
 刀折れ、矢尽き、無様な有様をさらしつつも、それでもまだ生き続けたいと思っている。なんという……生き汚さ。
 この職場でやっていくには、もともと素養が足りなかった。そして自らの素養を高めるスピードより、仕事が苛烈になってゆくスピードの方が速い。この点については認識が甘かった。
 だんだん鉱山奴隷のような生活になる。体力がある方ではないので弱る。するとさらに進捗が遅れる。
 学生の頃に比べ、頭は悪くなったし、感受性も鈍くなった。
 この業界がスピードと体力に頼りがちであることは、なんとなく認識していた。ところが実際にこれほどのスピードとは予想していなかったし、これほど体力を要求する会社・プロジェクトで働くとは思っていなかった。
 辛いからといって今辞めても転職はむりだと分かっている。しかしいくら頑張っても能力が低下し続け、やがては廃人になって職を追われるのならば、いさぎよく退職して首でも吊る方がまだ醜くないかもしれない。
 だが、理屈ではそう思っても、やはり生きてゆきたい。苦痛と恥辱でまみれた生にしがみついているのだ。

2001/8/5
 ERDの変更管理のため、AccessVBAでツールを作る。8割方できたところで力尽き、帰宅。

2001/8/4
 ようやく『モンテ・クリスト伯』第4巻了。
 司馬遼太郎の『坂の上の雲』を読んで元気を出す。


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