2002年2月の修行日記


2002/02/28
 蹉跌
 なにを隠そう、うちのプロジェクト、なんですよ。目標の利益率を下回っているという意味ではなく、損益分岐点を下回っている正真正銘の赤字です。
 年間3000時間の懸命の働きが、会社に損失を与え、プロジェクトに引きずり込まれた多くの人々を不幸にしただけだったとは……自分の仕事に意義を見出せなくなりました。
 他のメンバーはどうやってモティベーションを保っているのかというと、どうやらプロジェクトの成功ではなく、自己の成長を拠り所としているようです。この逆境の中で知恵と体力を振り絞って頑張ることが、自分自身にとっていい経験になり、大きな成長につながると信じているのです。
 こういうポジティブ思考は、たしかに個人の成長の原動力になりますし、結果的にはプロジェクト全体にもよりよい利益をもたらすことでしょう。
 しかし私はこの考え方にどこかひっかかりを感じます。自分の成長だけが目標だなんて、どこか虚しさを感じます。自分の枠を超えた何かを成し遂げたいのです。まあ、古くさい会社人間の考え方なのかもしれませんが。


2002/02/27
 このところひどく疲れやすいです。夜になると目がしょぼしょぼして、顔を洗ってもなおりません。

2002/02/24
宮部みゆき『火車』を読了。
 経済小説としてもミステリとしても中途半端で、期待はずれでした……
 現代のクレジット社会が(個人的には非のない)多くの市民を多重債務に追いやるということについても、また多重債務者がやむにやまれず殺人を犯すということについても、十分な説得力を感じません。
 2人の登場人物−−関根彰子と新城喬子−−の理不尽な身勝手さだけが読後感です。
 OLの給料では大した贅沢ができないからといって、生活に困っているわけでもないのにクレジットに走る必然性がどこにあるのでしょうか?
 取り立て屋に追われているからといって、次から次へと男を利用し、女を殺してゆく必然性がどこにあるのでしょうか?
 そこに必然性があるというなら、私も含め多くの男性サラリーマンも、多重債務者になって人殺しをしなくてはなりません。フィクションとはいえ腹が立ちます。
 しかしこの本を執筆したのが女性であること、そして一般的には好評を集めていることを考えると、どうやら間違っているのは私かもしれません。
 つまりひょっとしたら世の若い女性の多くは、私が想像しているのよりも身勝手なのかもしれない、ということです。

 ……そうそう、『キノの旅』T巻、U巻を買いました。東急文化会館の三省堂コミックステーションにも、センター街入り口の大盛堂文庫タワーにも在庫がないので、結局Book1stにまで足を伸ばしました。
 何か日記だけ見ると一日中遊んでいたような感がありますが、実は朝から夕方まで会社だったんですよ。トホホ……


2002/02/23
 休日。渋谷のBook1stにてエリヤフ・ゴールドラット『ザ・ゴール2 思考プロセス』(原題:"It's not luck")、岡本龍明・太田和夫『暗号・ゼロ知識証明・数論』を購入
 この他に電撃文庫から出ている『キノの旅』が気になったけど、なんとなく恥ずかしくて買わずじまい。帰って後悔する。


2002/02/22
 堀江由衣「Love Destiny」より
 アイタイ Love Love Love Love (アイアイアイアイ)のに
 アエナイ Love Love Love (アイアイアイ)今夜は
 窓を打つ雨より激しい嵐に揺れてる
 アエナイ Love Love Love Love (アイアイアイアイ)から
 もっと愛 Love Love (アイアイアイ)つのるよ
 燃え尽きてもいい これが最後の真実
 すごい歌詞だがいい曲。


2002/02/19
 ここのところほんとに休日がなくて。土日両方働くことが多いです。しかしそれでもあまり報われません。
 そして重要なことはですね、私がこれほど心血を注いで悩んでいる仕事も、一歩外から見れば(このプロジェクト、このシステム開発から離れたところから見れば)、まったくたいしたことがない、ということです。
 たとえば私が過労死したとすると、私の友人とか家族は、なぜこんな仕事に命を掛ける必要があったのか、理解できないと思うんですよ。
 ちょうどいま冬季オリンピック期間中ですが、たとえば選手が競技中に命を落としたとしても、彼または彼女の挑戦がそもそも馬鹿げたことだったとは誰もみなさないでしょう。
 いや、別に私はオリンピック選手ほど周囲に認められたいと欲しているわけではないんです。もっとささやかなものでいいんです。
 身近なところでも、毎日定時退社、完全週休二日でありながらその仕事の意義を高く評価されている幸福な人物がいます。
 それにひきかえ私はどうでしょう。外部の人々からはその意義を理解されない仕事に必死になり、悩み、恐れ、焦り、憤って、非難され、言い争って、傷つけ、傷つけられています。


2002/02/14
バレンタインデーという慣習
 皆さんご存知のように、日本のサラリーマン社会には「義理チョコ」の慣習があります。若い中小企業である私の勤務先では、上司に御歳暮・御中元の類を送る慣習はありませんが、さすがに「義理チョコ」の慣習からは逃れられないようです。
 今日私はいつもよりリラクタントな足取りで会社に向かいました。というのも、昨夜電車の中でふと耳にはさんだ女性会社員たちの会話が頭から離れなかったのです。
 義理チョコを誰に渡して誰には渡さないか、適当な対象範囲をどうやって定めるかが会話のテーマでした。意外と結論は早くまとまり、なるべく広い範囲の人々に渡すのがよいということになりました。まあここまでは女性心理に疎い私にとっても予想の範囲内です。
 ところが、なぜ「なるべく広い範囲の人々に渡すのがよい」のか、その理由はまったく予想外のものでした。私の考えでは、それは「漏れた人がひがむといけないから」です。
 ですが正解は、「受け取った人が変に誤解するといけないから」というものでした……
 なんというか、女性の心の機微だけでなく現代社会についても何もわかっちゃいない自分の愚かさを呪うと同時に、女性の心も現代社会もどこか屈折したところがあるのではないかと訝しく思いました。
 そういうわけで、チームの新人の女の子からスターバックスのブルーベリーチョコをもらってお礼を言ったときも、(変に誤解してはダメだ、ダメだ……)と心中で自分に言い聞かせていました。まったく「変に誤解」する人よりもこじれています。


2002/02/12
 どうも夜8時ごろから急に身体がだるくなり、頭がぼんやりしてきました。病気でしょうか。
 自然と考え方も悲観的になります。
 開発が本格化し、要員が増えるにつれ、自分の役割がだんだん限定されてきました。もう広い範囲に責任感を感じなくても、自然とプロジェクトは進んでいくのではないかという思いがします。そして私自身は、これからは仕事の進め方とかドキュメントの書き方ではなく、純粋にデータベース技術者としての腕を問われるようになってくるのでしょう。期待される役割の急激な転換についてゆけるのかどうか、不安です。


2002/02/11
 フルートのことでここ2ヶ月ほど悩んでいた問題にようやく解決の糸口が見つかりました。
 どうやら右手の薬指のポジションを一定に保つことが非常に重要なのです。Dキーを押下(どうでもいいですが「押下」って言葉はシステム屋の悪い癖です)しないときにも、薬指はDキーの真上に位置していなければいけません。薬指が中指につられてEキーの方にずれてしまうと、運指がスムーズに行かないのです。あくまで薬指を基準点として、人差し指、中指、小指を定位するとうまく行きます。その代わりこのことに気を遣っていると運指スピードはかなり落ちます。基本ができていなかったなあと実感……


2002/02/10
 ラルフ・キンボール『データウェアハウス・ツールキット』読了。
 さまざまなビジネス分析において、比率分析、ブレーク行の算出、ピボット演算は基本的かつ重要な操作です。しかし標準のSQLではこれらの操作を直接行うことは出来ません。「元々のSQLの開発者は、その目的として比較については考慮していなかったのである。比較は、全てのビジネス分析の根本であるため、これは実に残念なことである。」(p.254)
 これに対して、表計算ソフトではこれらの操作を簡単に行えます。Lotus1-2-3の開発者はビジネススクールの学生であったことを思い出しました。


2002/02/09
手持ちのフルート、YAMAHA 211-S2にガタがきました……

 「急速離脱! アルペジオで最低音のCまで一気に下降しろ!」
 「だ、だめです、管長! Dまでは出るのですが、Cがどうしても出ません!」
 「なんだと? 原因は?!」
 S2機関が足部管のトーンホールが完全に閉まりません。共鳴消失をおこしています!」
 「……この管も使い始めてからもう8年目、いよいよガタが来たというのか。ムラマツに発注している新鋭管、SRが来ればこんな状況、ピンチのうちにも入らんのだが……」

 というわけです。はやくSRこないかなあ……


2002/02/08
 新しくプロジェクトに入った方々の歓迎会をやりました。
 最近の日記で触れたあの新人の女性ですけど、おっとりして世間知らずに見えて、実はなかなかのものです。人のあしらいかたがうまいのです。また図太い神経も持ち合わせているようです。
 しかし一方、誠実さや真摯さ、ひたむきさの面で不安があります。
 例えば、データベースのカラム名が規約にそって命名されているかどうかをチェックする仕事を頼んだのです。すると彼女は、特定の文字列を含むカラム名の数を集計した表をつくってきました。これはいい着眼点ですが、その表の数字がぜんぜん事実と違うんですよ。かりにも意思決定の支援をしようというからには、正確なデータを提示することが第一の務めです。厳しいことを言うようですが、不正確なデータによって意思決定を間違った方向に誘導するくらいならば、何もデータを出さないほうがはるかにましです。
 キャラクターと世渡りのうまさだけが売り物じゃないといいんですけど……


2002/02/04
 一人、また一人とメンバーが辞めてゆく、わがプロジェクト。当然ながら、メンバーたちのモラル(責任感)とモラール(士気)が低下しているようです。
 最近このプロジェクトに叩き込まれた人々が被害者意識を抱いていることは、まああたりまえのことでしょう。ですが古参メンバーが擦り切れてきたところに危険を感じます。ネガティブにはなっていないのですが、プロジェクトを成功させるという意気込みが欠けてきて、どこかあきらめているようです。そしてプロジェクトとは関係ないところで、理不尽な苛立ちを見せることがあります。かつては完全無欠に見えた彼(彼女)らにほころびが見えて愕然としました。時間が人を変えるのでしょうか。


2002/02/02
 『ふしぎの海のナディア』、感動の完結!!
 DVDのVOL.10、「第37回 ネオ皇帝」、「第38回 宇宙へ…」、「第39回 星を継ぐ者」を一気に見ました。勇気あり、悲壮感あり、愛あり、涙ありと本当に見せ場が満載でした。ナディアの祈りによってジャンは生き返ったが、ブルーウォーターはただの石になってしまった……
 「愛はJewelよりすべてを輝かす」
 …とはこういうことだったのですね。納得。「いつかナディアを最初から最後まで通しで見るぞ!」という高校生の頃の夢を実現できて、私は満足です。
 辛いことがあっても生きていかなきゃ、という思いを強くしました。
 「いい年して休日の楽しみはアニメか」とか、「コンサルのくせにアニメで感動するな」とか言われそうですが、いいじゃありませんか。スキーやゴルフに行くことと同様に、アニメを見ることも立派なリフレッシュの手段だと思います。


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