2003年7月の修行日記


2003/07/29
 頭痛と吐気がして早め(20時ごろ)に帰る。
 家族もいなければ酒もタバコもやらない。車にも乗らない。世間的に見れば実にシンプルで気楽な生活なのだが、こんなに辛いのはなぜだろう。
 やはり精神力が甚だしく弱ってきている。
 ここ数日、自分で「ダメ人間になって首になればいいんだ。」という恐ろしい誘惑に駆られている。
 でも自分自信を守る努力を放棄してどうするのだろう。精神的な辛さの一番の原因は、自分で自分を酷評していることではないだろうか。そしてそれが癖になっているから厄介だ。
 悩みを話せる人が周りにいない。それは当面は仕方がない。
 となると自分が自分にとってのよきアドバイザーになるしかない。当然他人のアドバイザーには劣るが、悩んでいる自己に愛想が尽きて他人側に立って自分に石を投げていると、本当に今度こそ再起不能になってしまうよ!


2003/07/28
 上司やお客さんは、丸い四角をほしがるもの。
 「そんな無茶な……」と思いつつも、部下はなんとか要求に沿うようあれこれ思案する。
 この現代サラリーマン社会によく見られる構図は、ちょうど昔話に出てくる領主と貧しい農民の構図に似ている。
 ただし現代社会では、無茶な要求に応えようとする努力が、産業の進歩を促すことがある。これはこれでよい側面だ。
 しかし、話を私自身に限定すると、私には賢い娘も、システムの神もいないのだ。


2003/07/27
 土日とも出社せず済んだものの、先週に引き続き在宅ワークにかなり時間が取られて疲れる。
 仕事内容は、データベースのディスク容量見積もりなど。
 高価な『MS Office XP Professional』を購入して自宅パソコンにインストールしておいた甲斐があった。(当初はSunの『Star Office』も検討したが、VBAとAccessの必要性が高いのでMSを選ばざるを得なかった。)

 息抜きにキューブリックの『フルメタルジャケット』を観る。
 ハートマン軍曹は噂に違わぬ強烈なキャラクターで観る者を惹きつけるが、前半部分で殺されてしまうとは……


2003/07/22
 仕事が遅れてきた……
 14h/dくらい働けばなんとかなるかもしれないが、身体も弱っているし、もう労働時間に頼りたくない。
 近い未来に破綻することがわかりきっているならば、早めに白旗をあげて、私がそれほど使えないヤツだと皆に認識してもらったほうがいい。なまじっか仕事ができるようなイメージは早めに消えてしまったほうが楽だ。
 でもそうなると退職に追い込まれるのだろうか。
 他の多くのサラリーマンにとっても、人生は辛い道のりで、楽しいことなどほとんどないのだろうか?
 私の視点からは、結構楽しそうにしているが……


2003/07/21
 この3連休は一度も出社しなかったものの、在宅ワークにかなりの時間を取られてしまった。
 とは言うものの、以前に比べたら楽になった。特に夕方公園にフルートを吹きに出かけるのは最高だ。
 この件に関して、「公園ってどんなところ?」という声をいただいたので写真を掲載しましょう。
[Photo.1] [Photo.2] [Photo.3]
 Photo.1:逆光。ゼビウスのアンドアジェネシスのように見えるのは体育館だったりする。
 Photo.2:スタジアム前の広場。
 Photo.3:木陰の譜面台。
 ご覧のように本当に人がまばらなので音を出しても迷惑にならないわけですね。
 いつ崩れるかわからないから、なるべく今を楽しみたい……
 Chick Corea の "light as a feather"を聞いたり、「GUNSLINGER GIRL Vol.2」を読んだり。


2003/07/13
時には、ブルーになる日もあるけど
後ろ向かない。夢が叶う日まで
ナージャ、君の微笑みは、ナージャ、勇気になる。
本田美奈子『ナージャ!!』
 朝食をとりながらフラメンコを踊るナージャを見て(足が細いな…)とか思っているようではサラリーマン失格だろうか?


公園デビュー
 自宅近くの駒沢公園(東京都世田谷区)に行き、譜面台を立ててフルートを練習。
 特に楽器を禁止してるような立て看板はなく、私の他にもトランペットを吹いている人がいたので多分大丈夫だろう……
 それにしても屋外での演奏は気持ちがいい。


2003/07/12
 巷で話題の相田裕『GUNSLINGER GIRL』を入手。
 集中して読める漫画。自分に合っているのか……

 しかし休日に美少女と銃を題材とした漫画を読んで癒されているようでは、やっぱり私はダメなのだろうか。仕事で接する人たちと文化的な次元で隔たっていると、たとえ仕事上のコミュニケーションに問題はなくとも、やっぱりやりにくい。


2003/07/11
敵わぬ敵にも、ひとまずあたれ
苦しい時こそ、ニヤリと笑え
うなれ、うなれ、滝沢キック!
あたれ、あたれ、国電パンチ!
歌:関俊彦 原作:島本和彦『炎の転校生』
 もう仕事で無理はしない、と心に決め、一日の労働時間を12時間程度に抑えたので、たちまち皆から引き離されて落ちこぼれることを覚悟していたが、なぜか差が開いていかない。頭文字Dのハチロクのようにパワーに頼らない走りができてきたのだろうか……それならばよいのだが。
 かわりに思うのは、周りのメンバーが私に比べて「大人」だということ。食事中に家族(子供)の話題や東京各地の地理の話題があがる際にとりわけそう感じる。裏を返せば私はまだ子供だということだ。
 だから私には友人が増えないのだと思うが、このところアクセス数が増加傾向にある。訪れる方々はこの痛いサイトにどんな魅力を感じているのだろうか?


2003/07/05
 「アルテ 第1巻 ガリボルディ ミニオン・エテュード G dur」
 一人で練習した時の調子がうまく出ず、ところどころミスを重ねる。
 先生は僕の演奏が終った後、しばらくピアノの椅子に腰掛けたまま指を唇のところに寄せて考え込んでいたが(これは物を考えるときの先生のくせだ)、やがて立ち上がり僕の傍に来て譜面のとある箇所を指差して、
「ここが良くないわね。」
 と言った。
 先生の指差した箇所を見て僕は驚いた。
[fig.1]
 最初から4小節目、特に難しくはない、何の変哲もない箇所だ。てっきり最後の16分音符がぎっしり詰まっているところを指摘されると思っていたのだが……
 呆然としている僕に対して先生は言葉を続ける。
「付点8分音符+16分音符+8分音符の組み合わせはね、拍子によって実際に吹くときの長さが違うのよ。」
 彼女は楽譜の余白に4/4拍子の図([fig.2])と6/8拍子の図([fig.3])を描いた。
[fig.2] 4/4拍子
[fig.3] 6/8拍子
「どちらも数学的には各音符の長さの比は変わらないわ。付点8分音符:16分音符=3:1。でも実際に吹くときのやり方は違うの。そしてあなたは、6/8拍子のこの曲を4/4拍子のやり方で吹いているのよ。」
 そう言って彼女は妖しく微笑んだ。
(この人はまたとんでもない難題を出そうとしている。)
 僕の頭の中でアラートランプが点滅する。
「4/4拍子の場合は、付点8分音符と8分音符にアクセントが付くから、間の16分音符は裏拍のさらに裏拍にあたるの。だから16分音符が後続の8分音符に引っ張られて16分音符/付点8分音符は1/3より小さくなるの。あなたの今の吹き方がそうよ。」
「これに対して6/8拍子の場合は、付点8分音符にだけアクセントが付くから、16分音符は普通の裏拍になるわ。そのため16分音符/付点8分音符は正確に1/3、というか3拍子系の独特の雰囲気を出すために心持ち1/3より大きめにとったほうが良いのよ。」
「……??……」
 先生の言うことは十分理解できなかったが、とりあえず16分音符をもっと前に出して吹いてみた。
 なるほど、たしかにこっちのほうがいい感じだ。
「そうそう、良くなったわ。」
「……でもスコアからここまでの情報を読み取るというのは本当に難しいですよ。一人では絶対気づきません。拍子感っていうのかな、それがまだ身についていない……」
「ふふっ、あなたは進歩しているわ。以前のあなたならば、ノート(音符)の文字通りの長さで吹いて、そしてこの曲の場合それでうまくいったでしょう。でもいまのあなたは拍子感を自分なりに演奏に反映させようとしている。結果は間違えてしまったけれど、何も努力しないよりいい傾向よ。私、嬉しいわ。」


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