初夏企画 蕎麦屋で一杯


 2001年7月1日、東京地方の空は前日の雨雲が抜け、初夏というよりは真夏日の日差しの下、記念すべき本サイト初のオフ会が開催された。
 大宮からO氏、川崎からL氏、横浜からG氏の3名が、この企画のために集まってくれた。ささやかな人数ではあるが、「ひょっとしたら誰一人参加者がいないのでは」と恐れていた小生にとっては嬉しい驚きである。O氏、L氏、G氏にはこの場を借りてお礼申し上げる。

 午後2時に渋谷のハチ公口に集合し、まずはビリヤードをすることに決定。
 店が混んでいることを心配したが、特に並ぶこともなくスムーズに入場する。
 2台借りて2時間くらい一心不乱にゲームに興じる。L氏がいちばんうまい。次の次まで先を読み、かつそれを実現してしまうキュー捌きを見せる。

 午後4時、まだ時間があるから、とゲーセンを物色するがガンダムがふさがっており、他によいゲームも見当たらないので、結局皆1ゲームもしないまま終わる。

 その後小生がメモリを買いたいと言い出し、HMV上のT-ZONEへ。ちょっと勝手で悪いが、なにしろメモリを買わないことにはこのオフ会レポートも書けないので仕方がない。(と自分に言い聞かせる。)

 午後4時40分ごろ、そろそろ本日のメインイベントである『そば屋で一杯』といくかということで東横線に乗り、学芸大前駅へ。目的地は目黒区碑文谷にある『吉法師』。(『pen No.62』TBSブリタニカ、を参照。) 5時に着くということで予約していたのだったが、慣れない町並みでかなり大回りの道のりを歩んでしまい、5時を余裕でオーバー。途中でお店から催促の電話が携帯にかかってきたほどだ。店の盛況ぶりが窺われる。

 結局お店に到着したのは5時30分。居並ぶ先客の脇を抜けて、二階の座敷に上がらせてもらう。他の客には申し訳ないが、あらかじめ席を予約していて正解であった。「暑い中これだけ歩いたあげく、行列に加わるとなったら、あきらめてそこのダイエーで弁当を買って公園で食べたかもしれない」とはO氏の言。
 案内された座敷は障子脇の落ち着いたところで、通り向かいに盗人宿こそ見えないが、鬼平犯科帳の雰囲気を存分にたたえている。

 注文はまず、お決まりのせいろを人数分。そして肴はG氏が塩辛、O氏が隠元の湯葉巻、小生が鴨焼を頼む。
 お楽しみの日本酒については、じっくりと品書きを吟味した上、『会津娘』、『開運』、『綿屋』、そして不覚ながら銘柄を失念してしまったがあと1品に決定した。

 最初に運ばれてきたのは鴨焼。唐辛子をふりかけたおろしをそえ、特製のタレにつけて食べる。脂がのって香ばしく、辛口の開運によくマッチする。
 飲みやすくすっきりとした後口の『会津娘』は、薄口のダシ汁で味わい深く煮しめた隠元の湯葉巻を引き立てる。
 塩辛は案外薄味。ゆずが涼しい香りを添える。ややくせのある『綿屋』に不思議となじむ。

 うまい酒、肴に舌鼓をうち、いい按配にほろ酔ってきた頃、満を持してせいろが登場。新そばの香りが高く、清涼感あるのど越しがたまらない。

 各人満足して屈託なく語り合い、ついつい長居をしてしまう。次の予約が入っているので、と店員から声を掛けられてふと気がつくともう7時。いましばらく心地よさに耽っては粋ではないと、席をたつ。

 勘定は締めて12,000でおつりが来た。ひとりあたり3,000円にも満たない。割安である。

 酔いを覚ますためにスターバックスへ。蕎麦屋の跡にカフェというのも、融通無碍な当世風のたしなみか。

 目黒の通りに出た頃には、すっかり日も暮れ、厳しい暑気もやわらいでおり、微かな涼風が快い。

 駅に着いた後、4人の粋人はまたの会合を期して別れたのであった。


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