31世紀に戻ったユウリ、アヤセ、ドモン、シオン。そこは、もといた30世紀とは別の未来だった。
自分たちの力で変えたはずの未来は、実は、リュウヤ隊長の思惑により変えさせられた未来なのだった。
しかし、新しい31世紀ではユウリの家族の暗殺は未遂に終わっており、ドモンはグラップの永久追放ではなく1年間の出場停止にすぎず、不治の病と思っていたアヤセの病気の治療法も発見されているという。異星人であるシオンだけが地球の歴史に左右されずに変わらぬ状況。
リュウヤ隊長は、20世紀での、そして生まれてからの彼らの記憶を消去して、新しい記憶に挿げ替えることまでも宣告する。それまでは外に出せないし、この時代の人間には会わせられない、と。
はかりにかけることが出来るだろうか? 今まで生きてきた自分の記憶と、家族の命、自分の余命、夢をかけた選手生命。
作られた有り得ない未来。嘘っぱちの幸せ。まがい物の記憶。
記憶消去に連れていかれそうになったシオンを止めたのはアヤセだった。それに同調したのが、ドモンと、ユウリで。
恐らく、個人的には誰よりもなんの迷いもなくひたすら21世紀に帰りたかったのはシオンだったでしょう。だけど、この新しい未来に、なにひとつメリットのないシオンだからこそ、それを言い出せなかった。優しい彼には、ユウリの家族が生きてることも、アヤセの病気が治るということも、憧れていたドモンがまたグラップで活躍出来るということも、とても嬉しい現実であるはずだから。
「おまえは残れ」とユウリに言ったドモンのやさしさも、またとてもよく解る。
夢のような幸せを交換条件につきつけられても、それでもNOと言う彼らの気持ちに、共感する。共感というより、感動、なのかも知れない。いざとなったら、自分がユウリの立場だったら、本当にNOと叫べただろうか? 家族に会いたいと思わなかっただろうか? と、シリアスに悩んでみると、あんまり自信ないです。自分だったら、千年昔に戻ろうと思わないかも知れない。両親と妹が生きてるその時代が、どれだけ魅力的かと思うと、嘘でもいいから会いたいと、思ってしまいそうです。
だからこそ、彼らが4人そろって竜也のところへ戻ることにしてくれたのが、涙が出るほど嬉しかった。それでこそヒーローだよね。恰好いいよ、4人とも、ものすごく。彼らはこんどこそ、自分たちの意志で、自分たちの未来を手に入れるために、戦うんですね。
帰ると決めた彼らのバックに流れる♪会いたいよ〜、ってユウリの歌が、また胸にしみるったら、まいりましたね。
タイムレンジャーのCDに入ってるのかなぁ、欲しいな、と思いながら聴きました。探してみようっと。
そして、カナリアを取り戻そうとして、ゼニットなんかに撃たれて死んじゃう直人。急ぎすぎたと言った浅見パパには、こうなることが解ってたのかなぁ。あれだけ欲しかった力。いろんなものを振り捨ててなりふり構わず走り続けて手に入れたと思った力は、ボイスキーの解除ひとつで、消し飛んでしまうくらい危うく脆いものだった。いや、そのまえに取り入った政治家(だっけ?)の失脚ってのもあったけど。
直人本人よりも、死んでく直人を抱えて名前を呼んで泣き叫んだ竜也の気持ちにシンクロして、涙が止まらないのでした。
仲間を未来に帰してしまって、淋しくて、心細くて、辛いのに、直人にまでこんな死なれかたしちゃって、それでも独りで立ち向かっていく竜也。直人の遺言通り、明日を変えてみせてね。
とうとう最終回です。ああ、タイムレンジャーまで終わってしまうのか。淋しいなぁ。ここ数週間、泣かされっぱなしです。最後もやっぱり、泣くかなぁ。毎週書いてる気がしますが、本当にこうなってくると、この状況では、どうなることがハッピーエンドなのか、すっかり見失ってます。なにがどうなれば、みんなが幸せな状態と呼べるのか、さっぱり解らない。解らないけど、頼むから、みんな幸せになって欲しい。みんなが駄目ならアヤセだけでも・・・。←おい。
「未来への帰還」「無限の明日へ」