〜通勤通学のお供に〜乗り過ごすこと請け合い!?

 タイトル通り私が活字中毒になったモト。少しまえから、ペーパーに『面白かった本』のコーナーを設けておりまして、それに書いたものと重複するのも多くありますが、改めて是非読んでもらいたいと思う本の紹介をします。乱読ぶりというか無節操ぶりをご披露することになってしまいます。でも、ジャンルに関係なく面白いもんは面白いです。

というように、好きな小説を語ったら何時間あっても足りないので、控えめに、ゆっくり更新していきたいと思っています。

*出版社名は記憶に頼ったものもあります。間違いを発見されたかたは、ご一報くださると大変有り難いです。

*(作家さんの敬称略)色分けはなんとなく。読んだかたには、それなりにわかっていただけるかも、です。

 

『腐食の街』我孫子武丸(双葉文庫)『死蝋の街』我孫子武丸(双葉社)

 とにかく、今年最高のヒットがこの二冊。読み終えるまで、眠れません。本当に、こんなに頭がずっぽりストーリーに入り込んで現実見えなくなったのなんて、久しぶりでした。くどいようですが、もともとSF好きなんですよ。そのうえ、このノンストップな疾走感とか、未来都市の鮮やかさとか、格好いいキャラクターとか、もう、どこをとってもツボにはまりまくりです。上記二冊同シリーズで、まだ続きが出るそうなので、今から、心待ちです。

 

『パワーオフ』井上夢人(集英社文庫)

 これもすごい勢いで夢中で読みました。特にコンピューターに詳しいひとは楽しいんじゃないかな。詳しくないひとは、解りやすく説明してくれているので、勉強になるって感じで。コンピューターウイルスをウイルス撃退ソフトを製作している会社が流す、という筋の映画は、何年かまえに見た記憶がありまして、それとこっちと、どっちが先だったのかな? なんて、最初は思いながら読んだのですが、この小説はそんな事件の発端などはたいした問題ではなくって、もっと見せ場というか読みどころはいっぱいあるんですね。それをここで詳細に語ってしまうとネタばらしになってしまうのでしませんが。読んでみてほしいです。

 

『クラインの壺』岡嶋二人(新潮文庫)

 一冊気に入るとその作家さんの小説を全部読みたくなる病の私としては、とりあえずこの頁お一人一作品のみの紹介にとどめようと思っていたのですが、岡嶋さんの片方は井上夢人さんなんですよねぇ。でも、やはりこの作品は外せません。現実と虚構が交じり合い、主人公とともに翻弄されてしまいます。それがまた、快感だったりして。ジャンルで言ったら、やっぱりSFかも。

 

『幻想運河』有栖川有栖(講談社ノベルズ)

 ここを読んでいるかたならきっととっくに読み終わっているはず。とは、思いつつ、ノベルズではまだ出たばかりですし、たまに、火村シリーズと江神シリーズのみしか読んでいないとおっしゃるかたもいらしゃるので。そういうかたのために。不思議な雰囲気のある物語です。遊園地のシーンとかとても綺麗です。本格モノではないのでしょうけど、こういうミステリも大好きです。

 

『日本殺人事件』山口雅也(角川文庫)

 続編も出ているのですが、文庫待ち。外国人が見た日本というのはこんなもんか、と納得してしまうような不思議な国のミステリ。ひねもすのたりの、のたりは美味しいか? とかね。思わず笑ってしまうエピソードを満載しつつ、ちゃんと推理モノでもある。ちゃんと、ってのも変か。でも、そういうお話です。

 

『ST 警視庁科学特捜班』『ST 警視庁科学特捜班 毒物殺人』今野敏(講談社ノベルズ)

これは、posiさんのお勧めで読みました。この警視庁科学特捜班のメンバーが、まるで船隊モノのような設定で楽しい。みんなそれぞれに色の名前がついてる。それぞれの得意技(?)を生かしつつ凶悪犯罪に立ち向かうのだ! なんてね。そういう熱血な話とは違いますが、遊んでるようなキャラ設定がいちいち楽しくて、これだけいたら、たいてい誰でも一人くらいはお気に入りが見つかるのでは? ちなみに三咲のお気に入りは百合根キャップ。可愛いのだ、とっても

詳しくはくづposiさんのサイトを見てください。http://www.softwave.co.jp/~posi

 

『恋愛依存症』金丸マキ(クリスタル文庫)

 他にも『神様も降りてこない森』とか『ベイビィ・ラブ』とか好きな本はいっぱいあるんですが、多分これが一番手に入れやすいんじゃないか、ということで。ほのぼの可愛いお話です。学校の先生と生徒のバカップル。二人とも、お互いを好きになって、少しづつ成長していくのですね。

 

『スメル男』原田宗典(講談社文庫)

 原田宗典さんの、エッセイはとても面白い。そして、たくさん出版されている。どれもこれも、電車で読むと腹筋が痛くなるくらい笑える。けど、この『スメル男』はエッセイではなく小説です。臭覚をなくした男性のお話。ジャンル分けは難しいな。ミステリでもSFでも私小説でもない。なんだろう? 読んだかた、なんだと思ったか、教えてください。

 

『新解さんの謎』赤瀬川原平(文春文庫)

 タイトルを見て、ミステリだと思ったかたもいらっしゃるかしら? 違います。これは、『新明解国語辞典』の楽しい(というかとても辞書とは思えないような偏りかたをした)内容へのツッコミが半分。後半は、エッセイという構成になっています。エッセイはさておき、この新解さんがすごい。とくに普通の辞書なら避けて通るような性的なあれやこれにも果敢に直接話法で挑んでいるところがかっちょいい。

 

『過ぎる十七の春』小野不由美(講談社ホワイトハート文庫)

 十二国記とか悪霊シリーズなら皆さんよくご存知かと思いまして、敢えてこの本について書きます。

 小野さんの小説はどれも文章が美しい。ふう。と、つい溜め息をついてしまうような表現が多くて、すごいと思うのですが、とくにこの本ではその格調高い文章が際立っているように思うんです。パロディの書きようもない話だからか、あまり話題にのぼらないようですが、未読のかたにはお勧めしたいです。

 

『今夜は眠れない』『夢にも思わない』宮部みゆき(中公文庫)

 文庫版にはパラパラマンガ付き。そら、いらんやろ、って気がするんだけど、そんなことはさておき、中学生が主人公の可愛いお話。二つ並べて書いたのは、主人公とその友達が両方に出てくるから。三作目心待ち。私の腐った目には、この二人が中学時代の火村とアリスに見えてしょうがない。主人公は、標準語だけどね。でも、この二人のお友達関係は、なんとなく近いものを感じる。

 

『レダT〜V』栗本薫(ハヤカワ文庫)

 栗本薫さんの小説は、ほとんど読んでいる。グインサーガだって、魔界水滸伝だって面白い。伊集院大介も、ぼくらの話も好きだ。ルビー文庫だって、読んだ。でも、今、敢えてここで紹介するなら、これだな、って思う。やっぱり私、SFが好きなんだな。そう、これはSFです。ほかにもSF出てますがとにかくまずは、これ読んでもらいたい。300冊くらいあるらしい著作からまずはこれ、と言うのは私くらいかも知れないけど。

 

『封殺鬼シリーズ』霜島ケイ(小学館キャンバス文庫)

 今更ですか? 読む前に、友人から「千年生きてる鬼の話」と聞かされたときには、なんだそりゃあ、って思ってしまったものでしたが、読んでみるとこれがはまるはまる。キャラクターが元気良くて、格好良くて、テンポのいい文章が気持ちよくて、大好きです。んで、大好きっていやぁ、やっぱり聖。関西弁がいいよね。と、どうしても関西弁贔屓な私です。三吾も好きなんだけど、私のまわりはユミちゃんファンがすごく多い。

 

『盗まれて』今邑彩(中公文庫)

 ミステリ短編集。コンパクトななかにも、精緻な謎があって、どんでん返しもあって、しっかり心理描写もある。今邑さんの作品のなかでは、貴島刑事の出てくる光文社文庫もお勧めですが、「今邑さんのお話は長編もいいけど、短編のがより面白いね」という友人の意見を入れて、まずはこれを推したいと思います。

 

『産霊山秘録(むずびのやまひろく)』半村良(ハルキ文庫)

 伝奇SFかな? 読んだのは実は高校生の頃で、細部は忘れてしまったのですが、半村作品はその当時出ていたものはほとんど読み尽くしておりまして、なかでもこれが一番インパクトがあったので、忘れられません。アリスの言葉ではないですが、あっと驚く結末が待っています。私が読んだときは角川文庫だったんですけど、最近ハルキ文庫で復刊されたようです。名作が続々と復刊されて嬉しいです。

 

『まぼろしのペンフレンド』眉村卓(角川文庫)

 もしかしたら、スニーカー文庫になってる? ハルキ文庫? 私が読んだときは、角川文庫でした。

 私がSF好きになったのは、眉村作品のおかげです。食事する時間さえ惜しんで読みました。有名なのは『謎の転校生』とか『ねらわれた学園』あたりでしょうね。でも、これが一番好きです。ジュブナイルですが、いまどき文通なんかしないのか? ペンフレンドじゃなくてメール友達とかいうのかな? でも、そうした状況は変わっても、色褪せない面白さがあると思います。

 

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