口頭作文から日記へ

文字が全て読めて書けるようになってから文章・作文を指導するのではなく、少しでも文字が書けるようになったら、何かを表現したい、訴えたいという気持ちが育ってくるので、それを手がかりに文をつづる指導へと入っています。

子どもが日常発する言葉をメモして、代筆法(口頭作文)で指導し、それを学級通信にして、家へ持ち帰ってもらいます。


1.口頭作文の方法
・子どもの話を書きとめておく。
・それを黒板または個人ノートに教師が代筆する。
・子供と一緒に読んで、内容について話し合う。
・視写させる(方法は子どもによって様々。
           薄い紙を上にのせてなぞらせる。
           赤ペンで1行おきに書いて右側に視写させる。
           手本を見ながら別の紙に視写させる。)
作   品

表現意欲を高める
       先生に話したい、言いたいという気持ちを大切に

作品 コ  メ  ン  ト
     4年 A
ばななを たべた。
ぐうだった。
教室でおやつのバナナを食べた日に、
T「今日、教室で、おいしぃー物食べたね。」
A「うん!バナナをたべた。」
T「お味はどうでしたか?」
A「ぐうだった!」
そんな会話をした後に書きました。
           3年 B
先生、ぼく Xちゃんを ぶったの。
だから、がっきゅうかいをひらこう。
そして、はんせい しよう。
この後、要求にこたえて学級会を開きました。
T「はい、それではBくんにぶたれた人は
  手をあげてください!」
C「はーい!」
B「僕はぶたないよ!」
T「おや?C君は誰にぶたれたんですか?」
C「Dくん!」
B「こら!D!反省しよう!」

こんなやりとりが楽しく続きました。
           4年C
ずうっと まってたの。
せんせいの くるのを。
せんせいの ねぼう。
せんせいが、
「にどと ねぼう しないから ゆるして ください」
といったの。
ゆるしてあげる。
ねぼうだめ。
教師が、寝坊をして、朝、遅刻をして出勤。
あちゃー!です。
謝りました。







 


    
過去の体験を時間の順序に従って話させる、書かせる
   家に帰ってからのことを思い出す、場面を切り取って会話する。

      3年 D
ぴかぴかの じてんしゃを
かって もらいました。
じてんしゃで こけました。
ころんでも なきませんでした。
おんなは なきます。
ぼくは おとこです。
「男だから」というのは、男女平等に反しますが、彼のぐっとこらえた
気持ちがたまらなく素敵です。
      2年 E
きゅうりを たべました。
しょうゆを つけて たべました。
うまかった。
きゅうり、ながかった。
学級園で栽培したキュウリをみんなで食べました。
大きくて、へちまのようになってしまうこともありますが、
新鮮でおいしい。

 
その他、題名や記述の指導、鑑賞指導もしますが、この段階では、誤字脱字は全然指導しません。とにかく、書く楽しさを味わってもらいました。一文字ずつの文字指導は、別の時間にていねいに指導をしていきます。
先生に話したいという気持ちを大事に大事にしていきたいと思っています。

       4年  F
せんせい、ずるいぞ。
2かいも えんそく いって 
ずるいぞ。
あそんで いたんでしょう。
ぼくなんか えんそく 
いっかいだよ。
障害児学級の担任は該当する子どもたちの学年の遠足やら、キャンプやら、
修学旅行やらと付き添います。
別に好きで行ってるわけじゃないんだけど・・・
なんて言いたくなるけど、ぐっとこらえて、
「いいだろう!」とうらやましがらせていますが・・・
        5年  G
およげなかったのに、きょう 
およげたの。
せんせいが、
「およげ」っていったの。
そしたら およげたの。
Aちゃんと、Bちゃんと、
Cくんと せんせいが 
はくしゅ してくれた。
おもしろかった。
たのしかった。

子どもたちの変化のなかなか見えにくい学級ですが、
ひとつのことができるようになったときの喜びは
障害児学級担任、最大の醍醐味です。
こんな日は祝杯です!明日は国民の祝日にしてお休み
しちゃいたいよぅ。
      4年  H
ぼくが 「くつ」といったら、せんせいが まるを してくれた。
「く」が よめる。
「つ」がよめる。
「あ」も よめる。
「い」も おぼえた。
文字指導にはいると、教室にその子用の50音表をはり、
読めるようになった文字に○をつけていきます。
「くつ」という単語カードを見せたら、
この子は「くつ!」と言ってくれました。
そこで、「く」のところに○をつけると、
H「先生!『つ』も読める。」
T「そうだね。」
H「『あ』も読める。」
T「うん、うん。」
H「『い』も覚えた。」
うれしそうな笑顔でお話ししてくれました。

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