2002年1月7日  ハスキーなクフ王(秋の覚え方)





正月オルグとの一件もあり、つい深い眠りに落ちてしまったようだった。
時計を見ると七時過ぎ。そういえば今朝の食事当番は俺だ!

「っだぁぁ!寝坊したぁー!」
軽やかなスライディングで台所へ飛びこむと、そこには既に火の気があって、ぽかぽかと暖かかった。
「シ…シルバー!?」
「イエロー…見つかってしまったか。おはよう」
台所で調理をしていたのは、何とシルバーだった。

「お前、何作ってるんだ…?」
まな板の上は緑一色、野草か何かだろうか。見覚えのある草もある。
「えっと…かぶに大根…せり…」
「せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ」
「え?」
「平安の世では、四辻の左大臣が歌にしている。正しくは…
『せりなづな 御形はこべら 仏の座
          すずなすずしろ これぞ七草』
だな」
「七草…春の七草か!!」
そういえば今日は一月七日。七草粥の日だ。
「でも…何でシルバーが?」
「この間の朝食の礼…だ。あの時は、現代式の色鮮やかな朝食で楽しませてもらったからな」
「それで、平安式七草粥ってわけか」
「ああ」
「ありがとな」
「か…勘違いするなっ///」


    ※    ※    ※


「ん〜…んまいっ♪ブラック、おかわりよそって」
「うっし!」
「ねぇねぇ。ところでさぁ、秋の七草は何?」
陳皮、山椒、胡麻、麻の実、赤唐辛子、青紫蘇、生姜…じゃなかったっけ?」
「リーダー…それは七味唐辛子だろ」
「秋の七草も、平安時代に良く詠まれてたわよね。シルバー?」
「ああ。
『秋の野に 咲きたる花を 指折りおよびおり
かき数うれば 七草ななくさの花
萩の花 尾花葛花 撫子の花
女郎花 また藤袴 朝顔の花』
だな。
奈良に京があった頃、山上憶良が詠んだ歌だ」
「おお〜!じゃぁ秋も七草粥だなっ♪」
「あ…ああ…(秋の七草は花ばっかりだから食べられないんじゃぁ…)」

    ※    ※    ※

「考えてみるとさ、『世界の七不思議』とか『虹の七色』とか、七つで一組一揃いの物って多いよな。1週間も七日だし」
「俺『世界の七洋』全部言えるよ!太平洋、大西洋、インド洋、地中海、東シナ海、北海、アラビア海…」
「さっすがブルー♪」


「そう…俺達も七人だしな。牙吠の戦士六人と、一人の巫女で」