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Exquisite Goodwife >>Cognition of SURGING SHARK すごいよ。ホントにね。 あの手際の良さには誰も敵わない。 当番とかで組む時はいっつも邪険にされるし。 そうそう… いつだったかなー…確か冬。 ガオズロックの中に誰もいなくてさ。 はらへったーはらへったーって言ってたら、目の前にどんっ!って茶色い小さな鍋が出てきて。 蓋を開けたら…何だったと思う? わかんないって? しょーがないなぁー…♪ ポテト・チャウダー。 そうそう。クラム・チャウダーとかで有名な、あのチャウダー。 あいつはポテトで作っちゃったんだ。 それがまた、おいしいの。 こってりしてて…あつあつで…思わず頬張ってたら、 『やっぱおこちゃまにはポテトだな』って。 テーブルに肘をついて、人の悪そうな笑みが返ってきたよ。 >>Cognition of BELLE TIGER ご飯とかだけじゃなく、お菓子もとっても美味しいの。 バレンタインデー前には随分お世話になったっけ。 一緒にオーブンの前に並んで、一緒に摘まみ食いしちゃったりして。 マロンケーキの切れ端とか、ナッツクッキーの欠片とか…アーモンドタフィの端っことか。 色々食べたけど…あー…もうもうもう!その先は聞かないで! はぁ…女の子としての自信失っちゃうわよー… …一番ショックだったのはね、あれ。 レモン・サブレ。 ふんわりレモンの良い香りがして、薄くってさくさくしてて。 何よりびっくりしたのは、サブレの色。 真っ白なの。 すっごく上品で、綺麗に焼きあがってて。 こんなにさくさくしてるのに、焼き色がついてないんだもん。 なんでこんなの出来るの!?教えて!って言ったら、 『焼き色を付けずに作れるようになるには…あと五年くらいかかるんじゃねぇ?』って。 満足そうに笑いながら、頭をぽんぽんってされた。 >>Cognition of BLAZING LION... 聖なる泉の間にあるテーブルの上には、うず高く積み上げられたビール缶の山。 下に転がっているのは、一升瓶三本とワインボトル五本。 其処ら辺の岩にぞんざいに掛けられているのは、赤と黄色と、黒の色違いのジャケット。 黒いジャケットの持ち主はいち早くダウンし、その大きな身体をテーブルの上にあずけていた。 「う…うぅ…」 そのブラックと同じ様に、テーブルの上に突っ伏して浅い眠りに落ちていたレッドは、頭に鈍い痛みを感じてその目を開けた。 二日酔い、と言うほど酷い痛みではないが、身体を動かすのが億劫になるのには十分だ。 初めてではないが、こんな頭痛に襲われるといつも、『なんであんなに飲んだんだ』と、後悔する。 今日の戦いの最中に助けた人間が、実は酒屋の店長で。 『やっぱヒーローへの御礼は現物支給だよな★』と分けのわからぬ理屈をつけて渡された数々の酒。 『がきんちょユニットには教育上良くないから』という理由をつけて一度は断ったのだが、岩の中での様々な禁欲生活に根負けして、赤黄黒のアダルトチームは、夜になって酒を頂きに戻ったのだった(それもどうか) ガオレンジャーになって二ヶ月。 その身体に似合わず大人しい気質のブラックと、自分を見る目つきがやたら鋭い(と感じる)イエローと。 この二人とまだまだそこまでの関係にはなっていないが、如何せん、大人の話し合いと言うものは、酒が入った途端様子が変わる。 若きは大学の新勧コンパから、老いは会社の忘年会まで。 そしてそれは、ガオズロックの三人においても例外ではなく… ガオレンジャーになる前の仕事のこととか、昔付き合った女のことから、ゴムはどこのメーカーがいいとか、婦人警官のバストは身長の半分以上なくてはいけないらしいとか、下世話な話まで。 どこまで喋ったかは覚えていないが、この様子ではイエローとブラックの記憶も自分と似たようなものだろう。 「あったまいたー…」 こめかみの辺りに手を当ててぼそりと呟くと、自分の向かいがわにあった金色の頭がぴくりと動いた。 頭の下に敷いていた腕がゆっくりと持ちあがり金髪を掻く。 『ん〜…』と眠そうな声と共にイエローが顔を上げた。 「あれ…眠っちまった…?」 焦点の定まらない眼をごしごしと乱暴に擦って、辺りを見回すイエロー。 普段よりさらに声が低いのは、二日酔いの頭に響くのを避けてのことであろうか。 「そうみたい…だね……ッあてて…」 少し声を出しただけで頭に響く。 再びこめかみに手を当てて、レッドは顔をしかめた。 「二日酔いか?」 一方、レッドより酒の量を控えていたイエローは、内臓は荒れているが頭痛は軽いといった具合。 「ん…ちょっと飲みすぎたー…」 テーブルと友達になって、テーブルと同じ位平たく突っ伏した態勢のまま、レッドは答える。 「ああ。いっぱい飲んでたもんなお前…」 「あんなに呑んだの久しぶりだって…やっぱ老体には堪えるなぁ」 「ったく…しょーがねーリーダーだな…ちょっと待ってろよ」 「えっ?」 イエローの今の言葉。 酒で頭がはっきりしていないレッドは、彼の声音がいつも自分に向けられるそれより、幾分柔らかくなっている事には気付かなかった。 ※ ※ ※ レッドは、イエローの背中を見送った後、することもなく眼も冴えてしまい、ぼーっと彼が消えていった台所の入り口を見つめていた。 自分が入る前、約一年もの間リーダー約を勤めてきたイエロー。 そんな彼が、新参者の自分をすんなり受け入れてくれないのは仕様がないこと。 最近は、そう思えるようになった。 だからこそ、イエローのことをもっと良く知りたい。 イエローと色々な話がしたい。 ガオズロック内で二人っきりになった時などは、コミュニケーションを図ろうと、レッドの方から話を持ちかけてみたりもするのだが、いつも面倒くさそうに逃げられてしまう。 ――『まぁ…気長にいくさ』 持久戦になったら短気な相手より自分の方に分があるだろうな。 などとぼんやり考えていると、目の前に湯気の立っているお椀が置かれた。 その湯気は、出汁のとても良い香り。 香り立つ湯気の中を良く見ると、白く光るサイコロ状の豆腐が浮いている。 「味噌汁…?」 「そ」 もう一度、台所に何かを取りに戻ったイエローが、レッドの味噌汁の横にほうれん草のお浸しが乗った小皿を置いて、短く頷いた。 「呑んだ後胃が荒れてる時は、味噌汁がいいんだぜ……コーヒーよりいいだろ?」 「ん…」 こくりと。 まだ熱いそれを一口すすると、口の中に優しい味が広がる。 濃すぎず、薄すぎず。 豆腐だけの茶色い素朴な液体が、自分の胃を撫でていく。 「具がたりねぇと思ったら、このほうれん草入れろよな。その為にちょっと熱めに作ったから」 「うん…」 好みの個人差が一番激しいと言われているレシピだが、不思議とイエローの作った味噌汁は口に合う。 それに、あれだけ飲んだ後にこれだけのものを作れる手際の良さ。 自炊の経験がそれなりにあるレッドは、シンプルなものを美味しく作ること程難しいということを知っている。 テーブルの上に置かれた二人分のお椀。 それを見て自然に顔がほころぶのは、味噌汁の美味しさ故か… …はたまた、イエローの新しい一面を見つける事が出来て嬉しいのか… …すべては、あとでわかること。 「イエロー」 「何だ?」 「『毎朝、俺の味噌汁を作ってくれ!』」 「ふっるいプロポーズだなー…それ」 END? 2002.04.18. 脱稿 るい様からの5000キリリクで、 お題は『鷲が料理が上手いという事を、獅子が初めて知った時の話』でした♪ こちらの話では本編終了後の友達夫婦状態の前の前の前位の段階ですが、 夫婦の基本はやはり味噌汁でしょう★(ホントかよ) 海にゃんと冴っちが最初に語るという形は前々から考えていたもので、 今回の話にぴったりかなぁと思って登場させてみました。 でもそのせいか獅子鷲度は下がってしまった感じで……すみません… …タイトルにこっそり小ネタ仕込んでます。 音楽出来る人はすぐ気付くと思うんですが……ヒントは大文字(笑) 獅子鷲〜久しぶりに本編中の彼等を書きましたよ! るい様、リクエストありがとうございました! 5000キリリクもう一本は、どうか気長にお待ち下さいませ〜(こっそり) ⇒戻る
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