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Don't you know what you kiss is doing (side WHITE) ふわふわ、ふわふわと髪が踊る。 イエローの髪は、綺麗な金色。 「触っても、いい?」 優しい彼は膝をかがめて、私の手を受け容れてくれる。 今日の買い出し当番はイエローと私。 ガオズロックの外に出て、二人並んで商店街への道を歩く。 ※ ※ ※ いつだったか、ガオレンジャーがまだイエローと私の二人だけだった頃、こんな風に二人で買い出しに出かけた時のこと。 「イーエーロー、もうちょっとゆっくり歩いてよぉぉっ」 身長差は20センチ、コンパスの差もそれなりにあって。普通に歩いているだけでも、イエローについていくのはちょっと難しい。ちょっと悔しくなって、イエローの背中に言葉を投げつけてみる。 「女のコと一緒に歩く時は、『女の子速度』で歩いてよぉっ」 その、『女の子速度』という言い方がおかしかったのか、イエローはくすりと笑って、 「悪かったな」 と、私の頭に手をおいた。 ※ ※ ※ あれからずっと、イエローは私の歩く速度に合わせてくれる、並んで歩いてくれる。 なんだか、幸せ。 あ、そういえばこのジャケット、ペアルックみたい。 なんだか、くすぐったい。 階段を登る。階段の脇には大きな銀杏の木。 銀杏の葉っぱで、階段が黄色に染まってる。 「黄色の絨毯みたい、綺麗ね」 「葉っぱで滑らないように、気をつけろよ」 銀杏の葉っぱは階段に何層も積もっていて、1歩1歩踏み出す毎に、ふかりとした感触が足に伝わる。見上げると、葉っぱが蝶のようにひらひらと舞っていて。 と、スニーカーのつま先が次の一段を捕らえそこねて… 「っきゃ!?」 身体が宙に浮いた瞬間、イエローが私の腕を掴んで自分の方へ引っ張った。 思考が半秒ほど飛んで…気が付いた時には、私はイエローの腕の中にいた。 「まったく…言ってるそばから…大丈夫だったか?」 「ぅ…うん…ありがと…イエロー…」 すぐ近くでイエローの心臓の音が聞こえて、それがとても恥ずかしくて。 イエローの匂いと体温を間近に感じて、ああ…男の人なんだぁって自覚して。 あたたかくて、心地良い腕のなか。ずっとこのままでもいいかも。 さすがに階段一段分のスペースでは態勢が整えにくいと思ったのか、イエローが私の立っている段より一段下に降りた。目線が合って、普段とは違う雰囲気と、景色にとまどう。目を見つめていられなくなった私は、視線を30度くらい上げてみた。 彼の黄色い髪に、銀杏がふわりと舞い降りて。 「あ、イエロー。葉っぱとってあげるね」 そう言って、背伸びして彼の頭に手を伸ばす。 ふいに、目の前の黄色が動いて。 何かが私の唇に触れたのがわかった。 それが彼の唇だとわかった瞬間。 その瞬間、私は黄色に支配された。 …NEXT? 2001.10.20 脱稿 ふぅ…めっちゃくちゃ乙女にしてみました☆ そして季節柄銀杏を。ぎんなんたべたいなぁぁ… いやぁうちの鷲をかっこよくするためには冴っちの一人称にするしかなかったのよ。 鷲は極力しゃべらせず。 真砂は寡黙な男の方が好きなのです。 どうでしょ…? 階段ちゅーがやりたいだけに階段に。 階段の脇に銀杏っていうのは鎌倉の鶴が岡八幡宮の大銀杏を思い出していただければ(細かい) ⇒戻る
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