劇の感想にある出演者情報はPLAY BILLという座席案内人が渡してくれる小冊子を元にして書いています。
私の英語力がちと怪しいので「〜らしい」という表現が多々出てきますが、ご勘弁のほどを。
朝5時おきで出発。京都駅から空港バスで6時45分に伊丹の空港に着く。
「本日は大変混雑して、搭乗手続が遅れております」というアナウンスが耳に入る。
にもかかわらず、ツアー受付係員は一人しかいない。
無情に過ぎていく時間。ひっきりなしに空港職員が切羽詰まった便の乗客を優先検査口に連れていく。結局私たちが成田行きの飛行機に乗り込めたのは離陸予定時刻ぴったりだった。まあ、よくあることである。
成田では連れの「これおいしかったで。試飲してみ」の一言とおまけの時計につられてウィスキーを一本購入。バランタインのピュアモルトだが、ボトルが三角錘型でかわいい。この形はどうやら空港の免税店でしか売ってないらしい。値打ちをこいて、行きから重い思いをする羽目になる。
ニューヨーク行きの便は途中揺れて、最初の機内食の配膳が中断しまくった。お腹を空かして最良のスパイスを用意し、まあまあ食べられる。
全日空では、今はエコノミーでも液晶テレビをつけていて、ゲームもできるようになってるし暇つぶしには事欠かなかった。
2年前はなかったぞ。
とりあえず、「ホワイト アウト」を見てみた。イヤホンをつけるのがめんどくさいので、英語の字幕を見て内容把握を試みる。状況は十分わかるが、目が疲れてきたので結局イヤホンをつけた。最後は笑わせてもらいました。死ぬって死ぬって。あんな雪崩が上から来たら。でも、アクション映画って皆そういうものか。それでも、ピンチの場面からいきなり助かった場面に飛ぶと手に汗も握れなくて笑うしかないような。
だが、「しまった。俺しかいない」っていうコピーはかわいそうだな。もうちょっとかっこよかったよ、織田裕二。
無事ニューヨークに着いたあたりでお連れさんの機嫌が悪くなってくる。
彼女はヘビースモーカーなので、空港が全面禁煙だとわかって「喫煙所もないのか」と怒りだしたのである。場所が悪い、とあきらめてもらうしかあるまい。私はタバコを吸わないのでニコチン切れの苦しみはわからない。
これからの6日間は喫煙場所を探しつつの観光になりそうだ。いいけど。
後はバスで半日市内観光。ブルックリンブリッジのたもとで小田和正の「君にMerry
X'mas」を歌いながら写真を撮ったり(昔、彼がブルックリンブリッジの上を一生懸命走るCMがあったのである)、国連本部の地下でそこの郵便局でしか使えない切手を買ったり。ピア17という海沿いのショッピングモールでえげつない形のゼリーを見て、お土産にすることを心に決めるが、ここでは買わず。
3時にパークセントラルホテルにチェックインする。セントラルパークの南側カーネギーホールのすぐ近く、7番街沿いだ。ロケーションは最高である。タイムズスクエア周辺の劇場街に歩いていけるし、地下鉄の駅がすぐ横にあった。
しかし、フロントのねーちゃんはやる気のなさそうな応対をするし、部屋の暗証番号式セーフティーボックスが最初から閉まっていて、使えないのでフロント横のボックスを確保したはいいが、そこの兄ちゃんもなんか投げやりだ。
ああ、英語習わなきゃダメね。言いたい文句は言えるようにしとこう。
荷物を置いてブロードウェイをタイムズスクエアまで散歩して、旨いという噂のNYのすしを食べた。日本では食べたことがなかったが、アボカド巻きって旨い。ガイドブックに載っている日本人の店だが、白身系のネタより脂ののった赤身のネタがよいようだった。帰りはニューヨークにおけるコンビニ、デリカテッセン(通称デリ)で酒とつまみを買ってホテルに帰ったが、さすがに疲れているらしくビールを一缶空けただけで就寝。
朝は8時頃タイムズスクエアのマクドナルドで食事。
途中にディズニーの新作ミュージカル「アイーダ」の劇場があるのだが、熱心なファンが当日券待ちに並んでいた。徹夜しているのかもしれない。
マクドナルドの朝メニューは日本とそんなに変わらないが、ベーグルセットがあるのと飲み物のサイズがMでも500mlぐらいの量が出てくる。
足りなかったので、またしてもデリのお世話になる。いろいろなおかずを好きなだけとって、1ポンドいくら、でお金を払うのだが、この時間まだ大半のメニューはできていない。唯一出てた揚げたてのフライドチキンを持って帰って食う。大きくて立派な鶏の足だ。とても旨い。
10時頃、ゴスペルツアーに行くのに集合場所のヒルトンホテルへ。
ハーレムにつく前にコロンビア大学見学をするが、私たちは特に見たいと思わないのでバスの中で待機していた。ゴスペルを聴く教会の名はセントジョージチャーチ、前回行った所よりこぢんまりしている。200人ぐらいが入る。見学者参加型。
お祈りとかも全部聞かないといけなかったので、結構大変だった。だが、生活に根ざした信仰、コミュニティーのあり方は一度見学する価値はあると思う。前回より音楽的にはそんなにたいしたことがなく、文化見学の色合いの方が強かったが、歌い込んでるらしい「Oh,Happy
Day」はさすがに迫力があった。感謝の気持ちを外へ出していく歌い方は、本場で聞くと胸に迫る。
帰りは5番街でヒスパニックパレードがあって、バスが渋滞に巻き込まれる。1時間半かかってホテルに帰ったのは3時だった。セントラルパークに行く予定を変更してちょっと休息。虫養いして(お腹なだめの間食)、それから劇場へ。
Disney's Beauty and the Beast
6時半から美女と野獣開演。インターネットでチケットを確保した分である。
ディズニーの舞台作品は役者の演技解釈がかなり制限されているらしい。異様に細かく注文がつくのだ。(ここはこんな表情、こんな動き、という風に)
いつ見ても、誰が演じても同じ水準の舞台が確保できるようにして、キャラクターのイメージが崩れることのないようにしたいのだろう。
とは言っても、上手い役者なら声のちょっとした調子や仕草で役に奥行きを出すことができる。
演技の上手い人は舞台上の動きすべてに説得力があるというか、台詞がないときでも手持ちぶさたな感じが一切しない。かつ、他の役の邪魔をしない。自然な演技でいつの間にかその舞台の世界に引っぱりこんでくれる。
ブロードウェイはダンスで有名な感があるが、今回アンサンブルは大したことがなかった。
そのかわり、主役がよい。Belle役のANDREA
McADLEは歌がよいうえにすごい美人。アニーのオリジナルキャストらしい。(Annie
Get Your Gun、私たちが行った時期は大変派手な宣伝を打っていた。人気があったのかな)(補足:彼女はあのファミリーミュージカル「アニー」のオリジナルキャストだったらしい。そのときはもちろん、子役。その彼女がAnnie
Get Your Gunで”アニー”役をやるので、それに引っかけた宣伝をしていたようだ)
かなり積極的なベルで、ディナーの後の庭のシーンでは目をつぶってキスを待っている。その後のシーンも「なんでキスしないのかしら」という様子がありありと。家に帰るときは「手ぇ出してくれなかったわね!」という風に見える。
前に見たときも確か、ベルが積極的だなーと思ったので、これがアメリカのスタンダードなのかもしれない。
日本ではこのシーン、目はふっと伏せるけれども待ってるというほどのタイミングでもないような、微妙な雰囲気を出していた。
ビーストは身が軽い軽い。あの重い(30s近いらしい)衣装を付けて普通の身のこなしをする。ベランダもガシガシ上っていく。
歌も上手いが、あっさり系だ。ソロでも陶酔しない。2幕以降はベルと話をするときなど、初々しい感じが出ていてかわいい。せりふ回しはささやくところと興奮するところのメリハリがよく利いていて、聞きやすい。
王子に戻ったとき「うわガストンよりでかい」と思ったら、やっぱり元々ガストン役で出ていたらしい。グランドオープンから。代役だったのか?Annie
Get Your Gun でアンドレアの相手役をつとめていた。ケン・ヒル版のファントム役もやって、けっこう売れっ子である。(あたりまえか)
ルミエールがフランス男と言うよりはまるきりコメディアン。
ここまで笑いを取るのは初めて観た。
アンコールはなし。総じては可もなく不可もなく、無難な舞台だったので、こんなものか。
舞台がはねたらポクポク歩いて帰る。タイムズスクエア近辺はすごく安全そうな街になった。夜の11時でも早足で帰ろうという気にはならない。ご飯でも食べてから、と思う。
しかし私たちはまたデリでご飯を買ってホテルで食べ、墜落するように寝た。
コロンバスデイで祝日。今日はプレイステーションのゲーム「パラサイト・イブ」の舞台を巡る予定で、最初は自然史博物館だ。
朝、バスで使う小銭を作るためにスターバックスでコーヒーを飲むが、またしてもスモールなのに飲みきれない。
メトロカードというプリペイドカードかトークンか小銭がないとバスに乗れない。二人で3ドルの小銭を用意せねばならなかったのだ。もちろん1ドル札は使えない。両手にいっぱいの小銭を持って(レトリックじゃないのよ)バスへ。かっちょわるー。トークン買っときゃよかった。
バスはコロンバスサークル(ロータリーみたいになってる)にパレードのための交通規制がかかっていて少し遠回りになったが、博物館に無事着いた。
ここでは「人類の進化」の展示と恐竜の化石、世界一のスターサファイアと宝石類を見る。入場料を払うときにドネーションがどうとかこうとか言われて、意味が分からず苦しむが、寄付か。そうか。
ジオラマが相変わらず綺麗でふと振り返ると今にも動き始めそうなものがあったりする。
私はガーネットが好きで、よく宝石屋の前で立ち止まることがある。そしてここの宝石類の展示室に置いてあるガーネットは特に色あいが好みなのだ。誰か持って帰っていいよと言ってくれないか。買うとなると、良い石はやっぱり5万とか10万とかするんだ!自分ではなかなか。
一通り見た後はセントラルパークをちょっと散歩してエンパイアステートビル方面へ。地下鉄に乗る。
ヘラルドスクエアで下車、目に付いたピザ屋で昼御飯。安くてうまい。半径25センチぐらいのピザ一切れ200円しない。
エンパイアステートビルは行列を見ただけでうんざりして帰ってきてしまった。私たちは人だらけの状況は嫌いなのである。全く観光向けでない。
さすがにこちらは寒いので、上着を持ってきていなかった連れがメイシーズで皮のコートを買う。ニューヨークは税金が9%近く、物価も好景気で高くなっているのでこういうデパートで買うと全然お得感がない。が、背に腹は代えられない。安い店に行ってる時間がないのだ。
いったんホテルに戻って、7時半からヘリツアー。
このツアーの参加者は7人で、係員さんの運転するバンでヘリポートへ。
一度に6人ぐらいの客が乗れるヘリなのだが、前の組に空きがあったので私たち二人はそこに入れてもらって、すぐ出発だった。救命胴衣の付け方のビデオを見て、ヘリの前でデジカメで記念撮影をした。気に入ったら後で買える。
空から見るニューヨークの夜景は素晴らしい、の一言につきる。光る砂をぶちまけたような感じだが、マンハッタンは道路が整然としていて街並みがよく見える。高層ビルは宝石で飾られたおもちゃ箱のようで、対岸のニュージャージーの街はまるで、一面光る絨毯だ。すべて基調はオレンジ色だ。同じく世界一といわれた返還前の香港に行ったときは飛行機の乗り換えのためだったから夜景は見られなかったし、東京の夜景は高いところから見たことがないので比べることはできないが、たぶん蛍光灯の白い色が基本に見えるんじゃないかな。どうだろう。
パイロットは自由の女神の上空で急旋回をして横Gをかけ、サービスサービス!みたいなことを言っていた。
しかし、エンパイアステートビルのライトアップはなんだか安っぽい。色分けはしない方がいい。記念日ごとに色が変わるそうだ。ゲイパレードの日は紫だったとか。あれ、ストーンウォール(ゲイに対する警察の差別で衝突が起こった事件)の日だったかな?
ヘリの一番前の席に座れて、お得な良い経験だった。
帰ったらまたしても墜落就寝。
朝はマクドナルド。
今日はまず、連邦準備銀行の見学に行く。
これも、Eメールで見学の予約を取ったものだ。英和訳ソフトを使ったところが軟弱者との謗りを免れ得ないが、いいのだ!通ればそれで!
しかし、ツケは実際の見学の時に回ってきたのだが・・・
10分前には来るようにとチケットに書かれているのに、その通りの時間に行ったら「もうちょっと後で来い」と言われた。
NYはもう、とても寒いので近くのバーガーキングに入り、コーヒーを飲む。
ところで、どこのファストフードでもそうなのだが、砂糖とミルクを一人につき3個ずつくれる。
たしかにコーヒーの量も日本の倍ぐらいで出てくるのだが、アメリカ人はこれを全部入れて飲むのだろうか。
あ。地元らしき人が入ってきた。コーヒーも頼んでる。・・・ああ、やっぱり全部入れるんだ!あああ、砂糖も3袋全部!
そうだな。日本人とは骨格からして違うものな。体の大きさに合わせているだけなんだな。
でも、ミルク2つも入れるとその味しかしなくなるのだが・・・まあいい。人の嗜好はそれぞれだ。(むりやり)
準備銀行の見学者はまず、金属探知器を通らされて建物の中に入る。
ここは日本でいうと日本銀行に当たる機関で、ドル札の発行の管理などをしているのだが、見学の目玉は地下40メートルの部屋に保管されている世界一の量の金塊だ。金相場などで日々名義を動かされるものだが(当然アメリカだけではなく、他の政府などが所有している金でもある)、実物はずっとここにあって外に出ることはないのだそうだ。
お連れさんは旅行の前にここを襲う強盗が出てくる映画を見たとかで、「このエレベータ見た!」とか、「こんなのはなかった!」などと言っている。
しかし、物事には順序があって、いきなり金保管室を見せてもらえるわけでもなかった。準備銀行の役割とか、世界経済の流れとかのディスプレイ部屋があって、そこで1時間ぐらい説明を聞かねばならなかった。
私たちは英語をほとんど聞き取れない。15人ぐらいのグループで見学するのだが、私たちの他は英語を解する人たちのようだ。
しかも、格好から判断してユダヤ系らしい見学者の一人が質問を案内の人にバンバン浴びせかけ、時間が延びる。
私たちは会話の内容がわからない。ゴスペルの時もそうだったが、意味の分からない旋律もついていない言葉を聞いていても、退屈でしょーがないのだ。自らの不勉強(とちょっとだけ質問者)を呪う一瞬である。やっぱり、英語はしゃべれるようになりたいものだ。
さて、がまんの時間が過ぎて、いよいよ金保管室へ。
専用のエレベータに乗って、金属でできた筒に空いた通路(いざというときには筒がくるっと回って通路がふさがれる)を通って保管室につくと、そこはまるで刑務所のようだった。
鉄格子で仕切られた小部屋がいくつもあって、その中に入っているのが天井まで積み上げられた金塊なのである。見学者によく見えるように、一塊りだけ近くにピラミッド状に積んである。それも鉄格子越しでしか見られない。
歯で噛んで「む。偽物!」とか言えないのである。少し物足りない。
部屋一杯の金塊、というのはなかなか現実感がない。持たせてくれたらいいのだが、ひとつだけでも重くて持ち上がらないだろうな。
帰りは裁断済みの1ドル紙幣の固まりをもらってお終い。
あれ?ガイドブックに書いてあった切り離す前のシートの一ドル札は?買えるんじゃなかったっけ?ないの?
次はNYに来たらやはりこれ、自由の女神を見よう、ということでフェリー乗り場へ地下鉄で。
フェリー乗り場最寄りの駅はプラットフォームが曲がっていて短いので、先頭の5両しか降りられないのを忘れて、直前の駅で急いで前の方に移動する。日本と違って車両間は通り抜けができない。
フェリーはやはりすごい人だったが、ここはぐっと我慢して乗り込む。しかし、前に来たときよりも船の進み方が遅いような気がする。いつまでたってもリバティ島につかない。
やっとついたので、まず土産物を買う。頼まれもののミニチュア自由の女神像と母への土産にスポンジのギザギザのかぶり物とトーチ型懐中電灯。
義理は果たしたところで女神像の足下に行ってみると、そこはやはり行列。少し並んでみたがいっかな動く気配もなし。
5分で女神像に登ることをあきらめ、あおりで女神の写真を撮ってリバティ島を後にした。
私たちは人混みが嫌いなのである。実にまったく観光に向いていない。
昼は中華街で食べることに決めていた。1日目の半日市内観光の時に添乗員氏が言っていたマンダリンコートという店に行くことにする。
予想以上に自由の女神のリバティ島往復に時間をとられたので、中華街に着いたのは2時を過ぎていた。
飲茶のワゴンを持ってきてくれる形式なのだが、時間をはずしたせいで種類が少ないのが難点か。味付けは悪くない。オイスターソースが多いのは広東料理の特徴かな。食べるうちにすべて同じ味に思えてくるが、旨いことは旨い。なかでも蒸したエビの湯葉巻きみたいなのは一線を画しておいしかった。
中華街では道ばたで果物や焼きそば、春巻きを売っているが私たちの目を引いたのは、やはりドリアンだった。
一個そんなに高くないので買ってみようか迷うが、これを買うと大きな刃物も買わねばならない。
そして食えなかったときの始末はどうつけるのか。ああ、コンドミニアム形式のホテルにしておけばよかったかも!
泣く泣くあきらめて、その場を後にする。
このあたりから私の体力が底を尽きて、ぐったりとなってきたが追い打ちをかけるように地下鉄Rラインがなぜか止まる。
ちょこちょこ歩いてホテルに帰って、しばらく仮眠をとった。
夜は日本料理(富士)を食べる。
ロンドンと違って米はおいしいし、出汁の味も得体の知れない小魚系の味はしない。普通の日本で食す味だ。
あのロンドンの料理屋が特別に変だったのか?
Les Miserables
可もなく不可もなく、身も蓋もなく言えば感動もない舞台だった。
ルーチンワークっぽいと言ってしまっていいかどうか。わるくはなかったんだが。
ごめんなさい、特に書きたい感想がなかったです。
今日は一応買い物の日である。土産ものを買う日。しかし予想に違わず、自分への土産確保に執心する私たち。
とりあえずFAOシュワルツにミュージカル「The
Phantom of the Opera」のバービー人形を買いに行く。ファントムとクリスティーヌで一組のものである。クリスティーヌ役のバービーの顔はそんなに変えていないが、ファントム役のケンは舞台メイクそのままになっている。
私の今回の大目的なので、売り場で縫製のしっかりしているものを選ぶ。裾がほつれていたりするのは問題外だ。
お連れさんは5番街を歩くうちにイブニングドレスを売っている店に引っかかった。
NYにはこんな店がぼこぼこあるので、彼女は嬉しいようだ。
日本ではなかなか売っていない上に、彼女のナイスバディに合うものもなく、必ず直しをしなければいけないが、今回はそのまま着られる様子。さすがだ。
しかし、アメリカでは自分(の体型)が目立たないのでつまらん、とも言っていた。うむ、これもさすがだ。
お昼はまたしても中華街。今度は私が前回の旅行で行ったH.S.F.へ。
ワゴンでもって来てくれて皿は熱いままだし、味も昨日のところよりいい。ただ、点心以外になにか、と思って頼んだ揚げそばが、1000円ぐらいにもかかわらず量が4人分ほどあって、食べきれなかった。アメリカ恐るべし。
劇場に行くときにタイムズスクエア近くのお菓子屋さんで、初日にピア17で見た悪趣味な形のゼリーを購入し、日頃お世話になっている人へのお土産とする。
ミミズ型とか、ゴムにしか見えない色のグミや試験管に入ったシロップなどである。なにかのネタに使っていただきたい。
The Phantom of the Opera
カルロッタとマダムジリーがかなり演技達者で笑わせてくれる。カルロッタはこの日代役。
ラウル(Gary Mauer)は今まで見た中で一番顔が良い。2年ブロードウェイでラウルを演じているようだ。レ・ミゼラブルのアンジョルラス役もやったりして、典型的2枚目ヒーロー系らしい。歌も上手いが、これは石丸氏よりちょっと声の響きが良いぐらい。演技は平均的で見るべき点はなし。ラブシーンは割と情熱的。っちゅーか、しつこい目。
クリスティーヌ(Sarah Pfisterer)(なんて読むんだろう)は美人!(そればっかりかい)あまりに美しかったのでプレイビルで素顔を確認したら舞台メイクしない方が美しい。ツアーカンパニーでずっとクリスティーヌを演じていたようで、ブロードウェイでは新顔らしい。
メトロポリタンオペラの準決勝(3次予選ぐらいかな?)進出者らしく、声も伸びる。ただし、一番の高音はテープだった。この点、前回NY旅行のときに観たトレーシー・シェインは素で出してくれたものだが。しかし、前は一列目で観ていたのに対して今回は中央後ろ寄りなので、マイクを通じた声しか聞こえなかったのかもしれない。
演技は無難だがラストシーン、ラウル寄りべったりのベールを叩きつけるシーンから、「Make
your choice」と言われた後は優しくまとめてくれた。このラストはかなり色っぽい、大人なクリスティーヌに見える。いい。
今回の芸人大賞は怪人(Howard McGillin)である。ウエストエンドやブロードウェイで蜘蛛女のキスやShe
loves me、秘密の花園等。NYシェイクスピアフェスのプロダクションでリンダ・ロンシュタットとラ・ボエームにも出ていた様子。テレビでは「ER」に出てたそうだ。
彼は今回歌が下手なのではないんだろうが、すこし演技をしすぎる。感情の波が激しい変質者の演技で、常に息が荒い。一幕目は歌う前に必ず鼻息が入ったので、それを音楽のきっかけにしているのかと思ったほどである。なにかあるとすぐ泣く。マスクを取られて泣き、ラウルとクリスティーヌのラブシーンを見せられて泣き、「turn
to tears of hate」と言われて泣く。ひとしきり泣いて、開き直ってちょっと強気に出る。貴族的で瀟洒な感じは少しもしない、原作寄り(ただし原作よりずっと情けないが)のファントムといえるだろう。
ただ、「You try my patience... Make your
choice!」の台詞は静かにささやいて緊張感を保ってくれた。
もうひとつ、このファントム喋る。脚本にない台詞までべらべら喋る。ラストのキスシーンはむーむー唸る。(これはなんとかしてほしかった)
クリスが指輪を返しに来た後も「I love you」と繰りかえしつづけるが、気が済んだら静かにベールから手を離し、玉座に隠れる。
ニューヨークは同じ劇場でのロングランである為に舞台装置はオリジナルのまま、さすがに豪華である。日本では劇場のキャパシティや予算の問題で簡略化されてしまうことが多い。特に幕の動きは素晴らしい。この作品の素早い場面転換は多数のドレープに支えられている。
オープニングではプロセニアムアーチの像の相変わらずえっちくさい腕に隠し布が引っかかってなかなか取れなかったが、係りの人が道具を取りに行ってる間に自然にはずれて客席に落ちそうになっていた。
今日は帰国の日である。
8時には荷物を取りにくるというので、昨日のうちに荷造りはしておいた。予想通り8時をだいぶ過ぎてから取りにくる。
ツアー料金に入っているのでチップを渡す必要はない、と言われていたが、ホテルに着いたときにはそれでかなり待たされたので、お連れさんが今回は1ドルを渡すと、それまで無愛想だったポーターが一転笑顔になって、そそくさと私たちの荷物を運んでくれた。チップはツアー料金に入れない方がよろしい。あれは目の前で渡すことに意義があるのだ。
私たちを迎えにくる空港行きのバスが大幅に遅れて待たされたが、それなりの余裕を持ってJFK国際空港に着く。
ここで最後の土産物の物色をする。とりあえず、私は頼まれていたスコッチウィスキーを探す。話には聞いていたが、アメリカで売っているウィスキーは1リットル瓶が多い。日本やヨーロッパではまず、750ミリリットルである。酒まで規格サイズが違うのか。なにか、中身が薄そうな気がしてしまうのは偏見なのだろうな、きっと。とりあえず、グレンモーレンジの1リットルを買っておく。
妹あてに適当にゴルチェの香水セット。ビスチェ型のやつだ。
機内に入って自分の席に座ってしまうと疲れがどっと押し寄せた。
帰りは行き以上に飛行機が揺れて大変だったようだが、私が憶えているのはそのせいか「旅客機でアクロバット飛行をするのはやめてえ〜」と言いながらコーヒーを飲んでいた夢だけである。ほとんどを寝て過ごした。半分寝ながら機内食も一回食べたような気がする。お連れさんに呆れられていた。
成田に着くとさらに悪いことにお連れさんの荷物がひとつ行方不明になっていた。土産物を入れていた袋である。彼女はもうヒステリー状態である。空港の職員にとりあえずクレームタグを見せて、探しておくからと言われ、入国審査を済ませる。
私は疲労がさらに増したような気がして、もはや雲の上を歩く心地である。
とりあえず、公衆電話のあるところでネットにつないで知り合いの掲示板等を回り、本屋があったので覗いて田中芳樹の「窓辺には夜の歌」講談社ノベルズ版を買う。
米の飯が食いたいというお連れさんと丼屋に入り、私は食欲がないのでウーロン茶のみで済ます。
伊丹空港への便に乗り込むところでお連れさんの荷物が見つかったという連絡が入り、ひとまず安心。
機内では成田で買った小説を読んで過ごし、伊丹に迎えに来てくれた人の車に乗って京都市内まで帰った。
家に帰る前にいつも行くバーで土産を渡しついでに一杯飲んだら疲れているのかとてもよく回った。
「へべれけへべれけ〜」などと言いながら家に帰ると、やさしい家族が私のために残してくれていた米の飯がそこに。
昔クラブの大変粗食な合宿から帰った日に、泣いて「ご飯がおいしい」と言って食べたのを憶えてくれているのか。
ありがたい。人の情けが身にしみる。しかし、アメリカはそんなに食事がまずいと思われているのね。
確かに日本人のこだわる繊細さには欠けることが多いけど、いつも素材自体は悪くないと思う。ご当地ものはその気候で味わうとおいしい。