T社製A-F88トラブルの考察 (C 6)

そのまえに

AKKY氏にアドバイスしておきたいと思います。メーカーは欠陥を認識していても書面等で認めることは殆どないということです。それを認めさせるには前もって原因個所を特定しなければなりません。他にクレームが大量に出れば対応も変わると思いますがA-F88は廉価品であるし、S-VHS再生はおまけ的で本品を購入するユーザーは殆どS-VHSを再生しないと思われるのでそれも期待出来ません。やはり、改修されていないA-F88を探して原因を特定しなければなりません。技術面での協力者は沢山いっらしゃると思います。

さて

AKKY氏が所有しているVTR(A-F88)のトラブルの原因について考察してみたいと思います。なお、現物を見て現象を確認した訳ではないのであくまで推測です。

ノイズ発生の原因になっている信号処理プロセスは再生FM信号処理系(ヘッド/プリアンプ/ロータリートランス/イコライザー/リミッタまで)であることは断言出来ます。

問題になった記録テープはキャリア周波数が規格許容範囲よりも0.1MHz高い方にシフトしているとT社は発表し、それが原因としています。しかし周波数の僅かなシフトだけでFM信号の欠落は考えられません。但し、ホワイトクリップが高い方にシフトしていると反転ノイズが発生する場合がある(本件は反転ノイズではないようです)。昔、キャリアアップが流行った頃、白きずノイズは問題にならなかったと思います。むしろ反転ノイズや群遅延特性の改善が大変でした。

次に考えられるのは、記録テープの位相特性、振幅特性(記録イコライザーによる)と再生側VTR(A-F88)の再生イコライザーとの相性が悪かったのではないかと思います。一般に記録イコライザー特性は規格のままであまりアレンジされませんが、再生イコライザーは絵作りためにアレンジされます。自分も絵にはこだわりますので購入したVTRが気に入らないと再生イコライザーに手を入れます。今までイコライザーをいじくってきた経験から今回のトラブルを次のように推測します。

再生プリアンプはその再生するFM信号よりもかなり広い帯域が要求されます。特に低域の位相特性が重要でリミッター処理に関わりがあり、再生イコライザーで最適に処理されます。この、低域特性が不良だと白きずノイズが発生することは経験しています。このようなノイズが発生した場合CR一段の緩やかなイコライザーをリミッタ直前のプロセスに挿入すると改善される場合もあります。このようにFM信号プロセスの低域部分はデリケートなのです。

A-F88の再生プリアンプ出力レベルが規定通りあり、再生画像の絵柄が無地またはフラットな画像でノイズが発生するのであれば再生イコライザーの低域特性不良でその後に続くリミッタ処理がうまく機能せず2H以上のFM信号が欠落し、ドロップアウト補償(垂直相関方式での補償量は1Hまで)でもノイズを取りきれなかったのが結論でないでしょうか(あくまで推測)。           99.7.30 記述

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