色収差歪みの補正 第2弾 Photoshop 処理編 (M10)

 以前にご紹介した色収差補正法は、RGBチャンネルのサイズを変更する方法であったため、補正部分がぼやける場合があった。
 今回、このぼやけを回避するため、マスクによる補正法を考えてみた。

 右の画像の黄色枠部分を等倍拡大したのが、下に示した作例の色収差サンプル画像である。
 なお、画像データーは S7000(富士製デジカメ)で作成され、画像サイズは 2848×2136 ピクセルである。

作 例画像にポインターを乗せると補正した画像に切り替り、マウスをクリックすると補正マスクを表示します。

改善方法の実際
用意するもの
  • 画像処理アプリケーション(Photoshop などレイヤーとトーンカーブが使えるもの)
  • 補正したい画像データー
処理の概要
  • 補正したい主画像から色収差成分に相当する疑似補正マスクを作成し、それを主画像とオーバーレイモードで合成し、色収差成分を打ち消すものである。
  • 処理の前に、色収差の主な色成分と、方向(膨張か減少か)を判断しなければならない。作例の場合は、色収差の主な色成分が緑色とマゼンタ色であり、明度の高い部分と低い部分の境から外側に向かってマゼンタ色が滲んでいることから、緑色に比べ赤と青色が膨張していると判断できる。作例ではこの度合を 0.1 %と見積った。よって、主画像から 0.1 %膨張させて色成分を得る補正マスクを作成する。

Step 1

主画像(背景)からレイヤーコピーを2枚作成する。
Step 2
背景コピー 2 を 100.1 %に拡大する。
階調を反転する。
「不透明度」を 50 %にする。
Step 3
背景コピー 2 と背景コピーのレイヤーを統合する。
「ぼかし/ガウス」にて半径 1 ピクセルにぼかす。
「彩度を下げる」にてモノトーンにする。
「トーンカーブ」にて
シャドーポイントを in 64 / out 0
ハイライトポイントを in 191 / out 255
とする。
「トーンカーブ」にて G チャンネルのみ階調反転
する。
Step 4

背景コピーをオーバーレイモードにする。
「不透明度」にて補正量を調整する。

Step 5
レイヤーを統合して完成だ。

一言RAW データーなどの RGB 合成前なら倍率色収差の補正は容易だが、一度合成されてしまうと、輝度成分の処理が絡み難しくなる。今回の方法は輝度成分に影響を与えないよう考慮したものだが、大量の補正を加えるとシャープネスを失う場合がある。そのような場合は、補正したチャンネルのみ極少量のシャープを施すと良い結果が得られる。

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