仕掛け、餌の沈降速度(EXクロ編)

 正月に九州に帰省した際、「釣り紀行EXクロ5」(ライトハウス出版)に仕掛けの沈降速度についての記載があるのを見つけ購入しました。

 EXクロ5の実験と私が行った実験データを比較してみました。自分では実験を行わず、他人のふんどしで相撲を取るようなものですがお許しの程を・・・

*クロは九州ではメジナのことです。


1.EXクロ5の実験方法

 EXクロでは水深70cmの水槽を使い、仕掛けを表面に浮かべて垂直に沈降(EXクロでは沈下と記載)する時間を測定しています。私の実験でいうと垂直沈降に近い条件です。また用水は人工海水を使用しています(リッチ! 私は並塩を使用)。

  条件 水槽 高さ1m、直径28.6cm 
     水道水50L+人工海水ハイマリン

 長さ70cmのハリスを付けたウキ仕掛けが沈んでなじむまでの時間を測定。測定開始時、ハリスは水面に丸まって(ランダム)浮いていることになる。私の実験(垂直沈降)ではハリスを送り込みながら沈ませたのでちょっとやり方が違う。

2.データの比較

  EXクロと私の実験結果の中で、条件が似たものを選んで データを比較してみました。尚、EXクロのデータは70cmの沈降速度なので1mあたりの沈降速度に換算して比較しました。

比較項目
 @ガン玉の号数
   EXクロ:ガン玉のみ、フロロ1.5号
   Fまさ  :ガン玉+チヌ1号+オキアミ生、ナイロン1.5号
     *測定したガン玉の号数が多少異なるので、私のデータを補正した。

 Aオキアミの付け方(1匹、尻尾のみ)
   EXクロ:アブミ6号(0.022g)、フロロ1.5号
   Fまさ  :ヘラ鮒スレ7号(0.061g)、フロロ1.5号

 Bハリスの号数(ナイロン、フロロ)
   EXクロ:伊勢尼6号(0.064g)
   Fまさ   :チヌ1号(0.049g)

 下記のグラフに結果を示します、EXクロと私のデータ正の相関(右肩上がり)が見られ、絶対値に関しても条件の違いを考えればまあ妥当な結果となっています。 自分のデータの精度が確かめられて何かほっとした感じがします。
  @ガン玉 :オキアミを付けた私のデータの方が遅い。
  Aオキアミ:針が重い私のデータの方が速い。
  Bハリス :針が軽い私のデータの方が遅い。
 


 

3.EXクロの測定値

 以下にEXクロに記載されていた測定結果を示します(勝手に出していいのかな?)。雑誌に掲載されていた測定値は70cmの沈降速度であり、補正値とは1mあたりの沈降速度に 換算(1.43倍)したものです。

  表1 仕掛けの沈降速度(ライン種類、号数)

ライン 号数                ハリスのみ 伊勢尼6号
測定値(秒) 補正値(秒/m) 測定値(秒) 補正値(秒/m)
フロロ 0.8 58 83 3.51 5.0
1.5 28 40 4.08 5.8
3 14 20 5.98 8.5
ナイロン 0.8 測定不能(沈まない) 8.02 11.5
1.5 測定不能(沈まない) 6.55 9.4
3 測定不能(沈まない) 7.18 10.3

フロロカーボンの場合、号数と沈降速度に相関が認められますが、ナイロンの場合、相関がありません。筆者はラインの表面張力とラインのカールの影響と考えておられます。仕掛けが軽いと表面張力の影響が大きくなり、ラインが太いとカールの影響が大きくなると思われます。

 実は、私はこの表面張力が嫌だったのでラインを送り込む方式を取りました。さらに扇状の沈降実験の際は、水面 下に確実に糸を沈めてから沈降を開始させました。また、カールについても気になったのでお湯にラインを漬けてカールを取ってから実験を行いました。

   表2 仕掛けの沈降速度(針の種類)

*針の重量(Fまさ) 測定値(秒) 補正値(秒/m)
伊勢尼3号   8.44 12.1
伊勢尼6号 0.062 4.37 6.2
伊勢尼9号   3.44 4.9
K1 6号   3.9 5.6
ヴィトム6号   5.5 7.9
グレ競技6号   5.13 7.3
アブミ6号 0.022 7.5 10.7
チヌ0.5号   7.25 10.4
チヌ3号 0.08 3.85 5.5
細地チヌ3号   4.34 6.2
チヌ5号 0.124 3.12 4.5

 

表3 仕掛けの沈降速度(ガン玉の種類)

ガン玉 測定値(秒) 補正値(秒/m)
G8 3.06 4.4
G5 1.78 2.5
G3 1.72 2.5
B 0.99 1.4
3B 0.88 1.3
5B 0.85 1.2
丸玉1号 0.78 1.1
  

表4 仕掛けの沈降速度(餌の種類)

付け餌 測定値(秒) 補正値(秒/m)
アブミ6号 - 7.5 10.7
アブミ6号 オキアミ生 10.72 15.3
アブミ6号 〃(頭なし) 8.62 12.3
アブミ6号 〃(逆掛け) 11.18 16.0
アブミ6号 サシアミ 8.29 11.8
アブミ6号 〃(2匹掛け) 12.41 17.7
アブミ6号 ボイル 20.85 29.8
アブミ6号 〃(頭なし) 10.28 14.7
アブミ6号 〃(頭のみ) 34.01 48.6
アブミ6号 ムキミ 5.62 8.0
アブミ6号 〃(半分) 7.75 11.1
アブミ6号 ダンゴ(直径1cm) 3.35 4.8
アブミ6号 〃(でこぼこ) 5.31 7.6
アブミ6号 〃(直径2cm) 2.56 3.7

   私のデータにはないサシアミ、ボイルのオキアミ、ムキミ(くわせエビM)、ダンゴ(くわせ練りエサチヌ)のデータが記載されています。
 

4.私の実験結果

  以下は私の測定結果です(比較に使用したデータ。垂直沈降)。生データは90cmの沈降速度ですが、 これも1mあたりの沈降速度に換算(1.11倍)しています。

   表5 仕掛けの沈降速度(垂直沈降、単位:秒)

付け餌

フロロカーボン

ナイロン

1.5号 3号 1.5号 3号
チヌ1号 9.5 12.3 9.2 14.2
チヌ1号+G8 オキアミ生     10.7  
チヌ1号+G5 オキアミ生     6.5  
チヌ1号+G3 オキアミ生     4.3  
チヌ1号+B オキアミ生     2.1  
チヌ1号+3B オキアミ生     1.7  
ヘラスレ7号 オキアミ生 8.7      
ヘラスレ7号 尾っぽのみ 8.1