仕掛け、餌の沈降速度


1.仕掛けの沈降速度

 (1)沈降方法

 ハリスに針、ガン玉、オキアミを付け、沈降する時間を測定する実験を行った。


垂直:仕掛け(針)の沈降に影響しないように
   ラインを送り込みながら垂直に沈降さ
   せた。

扇状:ハリスの一方を固定し、ハリスを水平に
   伸ばした状態から扇状に沈降させた。

 実際の仕掛けの沈降は垂直と扇状の中間的と考えられる。

 

(2)実験条件の詳細

容器:600リットル円筒容器(直径90cm、深さ90cm)水 :水道水600リットル+並塩18kg(3%食塩水)

 実測値は90cm沈降する時間である。1mに補正(1.1倍)して表に示した。
ガン玉は針上5cmに付け、オキアミはLサイズを使用した。

使用ハリス ナイロン:スペクトロンハイパー1.5号、3号
  
 フロロカーボン:シーガーフォース  1.5号、3号

 

(3)結果

(3−1)ハリスの材質と号数

 表1 ハリス1.5号[1m沈降するに要する時間(秒)]

ラインの素材

ナイロン

フロロカーボン

ラインの号数

1.5号

1.5号

沈降方法

垂直

扇状

垂直

扇状

ラインのみ(*)

41.1

13.5

チヌ1号

9.2

27.9

9.5

25.6

ガン玉6号+チヌ1号

3.6

13.8

4.2

13.3

チヌ1号+オキアミ

15.9

27.1

18.0

25.8

6号+チヌ1+オキアミ

7.5

17.3

6.8

18.2

 

 表2 ハリス3号[1m沈降するに要する時間(秒)]

ラインの素材

ナイロン

フロロカーボン

ラインの号数

3号

3号

沈降方法

垂直

垂直

ラインのみ(*)

33.5

10.3

チヌ1号

14.2

33.3

12.3

22.9

ガン玉6号+チヌ1号

4.2

15.1

5.2

14.7

チヌ1号+オキアミ

17.0

36.9

19.3

29.2

6号+チヌ1+オキアミ

10.7

24.2

8.5

16.9

(*)ラインのみの場合、ライン1mを10cmに折りたたみ、1回結んで沈降させた。

 

 

結論

(a)ハリスの材質

 ・細ハリス(1.5号)の場合、針を付けるとハリス材質による沈降速度の差は殆どなくなる。

 ・太ハリス(3号)の場合、針が付いた状態でもフロロカーボンの方が沈降は速い(扇状沈降の場合)。  

(b)ハリスの号数

 ・ナイロンはハリスが太くなると沈降は遅くなる

 ・フロロカーボンは余り変わらない。

 今年の釣り博でクレハの人にこの実験結果を話したが、間違いはない とのことであった。

 

(3−2)ガン玉

 表3 ガン玉を変えた場合の沈降速度[1m沈降するに要する時間(秒)]

ガン玉

3B

2号

4号

6号

8号

なし

垂直

1.7

2.1

3.3

5.4

7.5

10.7

15.9

扇状

5.0

6.5

10.3

13.8

17.3

23.8

27.1

仕掛け:ナイロン1.5号+チヌ針1号+オキアミ

結論

・ガン玉を重くすると、もちろん沈降速度は速くなる。

・沈降速度にアクセントを付けて誘うような場合、ガン玉4号で充分な効果があると思われる

 

 

2.餌の沈降速度

2−1.オキアミの沈降速度

(1)方法

 600Lを使ってオキアミの沈降速度(1m沈降するために要する時間)を調べた。針に刺した場合と、そのまま沈降させる場合(自然沈降)について実験を行った。今回の用水は水道水を使用した(並塩代をケチった)。 尚、オキアミの自然沈降の場合、データにばらつきが大きかったので、平均データに加え個別データも示した。

(2)測定結果

(a)餌の沈降速度(オキアミを針に付けた場合)(秒/m)

オキアミの刺し方

垂直

扇状

針のみ(オキアミなし)

6.5

11.5

1匹掛け(まっすぐ)

14.9

22.5

1匹掛け(曲げて)

8.7

15.9

頭のみ

10.5

23.3

尾っぽのみ

8.1

19.8

2匹掛け(抱き合わせ)

16.4

27.4

3匹掛け(房掛け)

14.2

24.9

                仕掛け:ハリス1.5号フロロカーボン(グランドマックス)
針  :ヘラ鮒スレ7号

(b)オキアミの自然沈降(秒/m)

    オキアミ自身の沈降速度(針は付いていない) 5回測定した。

オキアミ

平均

1匹

21.5

18.9

25.4

19.2

21.2

21.2

頭のみ

20.5

28.4

24.2

16.8

22.5

22.4

尾っぽのみ

18.8

19.8

17.9

23.1

21.1

20.1

 

(3)結論

・オキアミは針への刺し方によって沈降速度が大きく異なる。ハリスの太さ、種類の差よりオキアミの形状の方が沈降速度の差が大きいようだ。
(仕掛けの沈降速度の項を参照。測定条件が異なるため明確には言えない)。

・オキアミをゆっくり沈めたい時はまっすぐ刺すか、房掛けにする。

・コマセ(自然沈降とみなせる)と刺し餌を同調させるには仕掛けに張りを与える(扇状沈降に近づける)ことが必要。

 

2−2.岩イソメの沈降速度

(1)方法

 いいかげんな実験ですが、1m程度の浅場で、餌が底に着くまでの時間を心の中で1、2、3・・・と数えてみました。沈降方法は実験1でやった垂直に近いものです。
  仕掛け:ハリス1.2号フロロカーボン
    針:グレ6号

 

(2)結論

  オキアミの方が速かった。岩イソメは如何にも重そうなので沈むのが速いと思っていた。
 
そのため、今までは、波が高く荒れた日は、少しでも底に餌を落ち着かせるために岩イソメを多用していた。この結果ちょっとショックだった。
 

オキアミL

約10秒

岩イソメ(1.5cm)

約10秒

岩イソメ(3cm)

約15秒