流れの中での仕掛けの挙動

600Lの円筒容器にて渦状の流れの中での仕掛けのたなびき具合を調べた。

用水は水道水を使用した(並塩代をケチった)。

1.方法

(1)容器の水をかき混ぜ、渦状の流れを作り、仕掛けのたなびき具合を調べた。

(2)流れが渦状であるため、仕掛けの長さは40cmとした。
   (これ以上長くすると仕掛けが渦の中心に向かって吸い込まれる) 
(3)流速は基準となる仕掛けが約45度にたなびくように調整した。
   測定は目的の仕掛けと基準の仕掛けとの変位(注)を測定し、角度を算出した。

(4)針はヘラ鮒スレ7号を使用した。

2.結果

    仕掛けのたなびき(ラインの影響) 流速:12.6cm/秒

ハリスの種類

フロロカーボン

ナイロン

号数

.8

.5

.5

たなびき角度

45

45*

45

50

54

針の変位(cm注)

0*

+7.5

+17.5

*基準の仕掛け

 (注)基準の仕掛けとテスト仕掛けの針の変位(位置の差、単位cm)。
 40cmハリスを用いて測定した変位をハリス1mに換算(2.5倍、単位cm)した。
 例えば、表中の変位+17.5(右端)はその仕掛けの針が基準の仕掛けの針より17.5cm斜め上に
位置することを示す。実際にハリスを長くすると、この値より差が大きくなる可能性が高い。

 

   仕掛けのたなびき(オモリの影響) 流速:12.6cm/秒           

ガン玉

なし

8号

6号

4号

2号

ガン玉の重量(g)

.07

.12

.20

.37

たなびき角度

45*

20

18

15

針の変位(cm)

0*

−44

−47

−52

−65

*基準の仕掛け
                                  ハリス1.5号(フロロカーボン)、針:ヘラ鮒スレ7号。
                 ガン玉は針の上2cmに付けた


*針にオキアミを付けた場合
  針にオキアミを付けた場合に付いても測定をしたが、オキアミの大きさを揃えたつもりでも微妙に違っていたようで、データの振れが大きく考察に値する結果は得られなかった(オキアミを換えると結果が逆転することがあった)。
 言い換えると、ハリスの種類、号数よりオキアミ(の付け方)の方がたなびき具合に対する影響度は大きいことを示す。


3.結論

(1)の場合はナイロンとフロロカーボンで沈降速度にほとんど差がなかった(ハリス1.5号の場合)ので、流れの中でも両者の差はないと予想した。しかし流れ(*)の中での仕掛けのたなびき度はハリスの材質による明確な差(密度の差による)が見られた。
(*)流れがある中で仕掛けを張っている状態。仕掛けを張らずにそのまま流すのなら、
  静水の状態と変わらないはず。

(2)ハリスの長さ40cmでも差が見られたことより、1ヒロ、2ヒロとハリスが長くなると差も大きくなると考えられる。

(3)フロロカーボンのたなびき度は号数の影響を受けない。一方、ナイロンは号数が大きいほど、たなびき度も大きくなる。

(4)ナイロンハリスの号数を変えると餌が漂うタナも変わると考えられる。ハリスを変えて釣果が変わる可能性が高いのはナイロン?