フロートラインの特徴

 

水に浮くことを最大の特徴としたフロートライン。根が張りだした磯場等、ラインを浮かして使用したい場合は便利なラインである。しかし長所あれば欠点もあるようで、ラインの測定結果に基づいてフロートラインの特徴を考察した。

尚、測定したフロートラインは2種類のみで、データ不足なのは承知なのですがご勘弁を。

1. フロートラインの構造 

真水の比重は1.00、海水で1.03程度であるのに対して、ナイロンラインの比重は1.14−1.2程度 と重いので水に沈む。そこでライン中に空隙を持たせる「中空構造」とすることにより、比重を水に近づけたのがフロートラインである。

空気の比重はほぼ0とみなせるので、ナイロンラインに約10−15%の空隙を持たせると水の比重と等しくなるはず。

一例としてフロートラインの断面図を右写真に示すが、四角の穴が6つ空いている。

                                                                  

 

 

2.比重 

発売元が異なる2.5号、3号のフロートラインの比重を他のナイロン系ライン(道糸)と比較した。

グラフは号数別に色分けし、網点の棒グラフ(2点)がフロートラインである。比重はラインの直径と重量から求めた実測値。

フロートラインの比重は1.02と1.05であり、通常のライン(比重1.13−1.2)より小さいのが判る。

 

 

3.強度

右のグラフは直線強度、下のグラフは根擦れ強度を示す。

同じ号数のラインで比較するとフロートラインは直線強度、根擦れ強度共に通常のラインより弱いという結果であった。

3号 フロートラインは通常の2.5号ライン並の強度であり、2.5号フロートラインは2−2.2号の通常ラインとほぼ同等の強度であった。これは同号数の通常ラインより15%程度強度が低いことを示しており、丁度比重を小さくするための空隙量と一致する。

 

4.中空ラインは裂け易い。

 引っ張りテストをすると、普通のラインとは違い、 フロートラインは8割程度は裂けて切れます。右の写真は引っ張りテスト後の切れたラインです。中空構造とすることにより、ラインが裂けやすくなるようです。

ただし実用上、裂けやすい/裂けにくいは何も問題とならないかも?

 

 

.最後に

フロートラインは水に浮くという大きな利点がありますが、強度的には弱いという結果でした。フロートラインを使用する場合、同じ強度を維持したいのであれば、ワンランク号数が大きいラインを選択するべきです。