V−TENの科学

 V−TENは千葉の磯釣りの名手クロゲンさんこと山本秀治氏が考案したウキ釣り用の天秤です。この程V−TENを購入し使用してみました。 V−TENについての詳細はクロゲンさんのHPINTERLINE 海釣り情報(房総編)を参照してください。

1.風呂での実験

ウキ   :遠投スペシャル(0〜2B、釣研)
V−TEN:G1 ウキとV−TENの距離:10cm
比較   :ガン玉3B(V−TENもガン玉もぎりぎりの浮力)

(1)ウキの動き
  V−TENは横(ななめ)方向のアタリも縦方向のアタリに変換するとクロゲンさんに聞いていた。仕掛けをななめ、または横方向に手で引っ張ってウキを沈めてみたが、V−TENの有無で差は認められなかった。ウキとV−TENの距離が10cmしかなかったのが原因?

(2)ウキの抵抗感
しかし、ウキを沈める瞬間の抵抗感は明らかに違った。
V−TENを付けることにより抵抗感が感覚的に1/2以下になった。さらに沈むウキの振動がほとんど手に伝わらなくなった。

2.フィールドテスト

2−1 見学

 磯でV−TENを使った釣りを見学した(自分で使ったわけではありません)。
BFBCのshimanoさん、久保田さんが両側にカジメが生えた溝に沿って交互に仕掛けを流した。
 shimanoさんはV−TEN使用。
 久保田さんは不使用。

状況として小型メジナの入れ食い状態であった。

 

      仕掛けの比較

仕掛け

shimanoさん

久保田さん

ロッド

 1号
DAIWAインターライン

1号
DAIWAインターライン

道糸

2.25号
サスペンド

2.5号
VARIVASフロートライン

ウキ

0.5号円錐ウキ

円錐ウキ2B、固定
YOZURI Altima

V−TEN

使用(G1)

不使用

ハリス

1.5号1ヒロ
フロロカーボン

1.7号ハリス2m
グランドマックス
(フロロカーボン)

ガン玉

道糸:余浮力G3に調整
ハリス:G7(ハリス中央)

道糸:ジンタン1号
ハリス:ガン玉2B

がまかつチヌ2号
オキアミカラー

がまかつチヌ2号
金針

ウキ下

 3m程度

2〜2.5m程度


(1)ウキの沈み方
 V−TENを付けた方は、ほとんどの場合、ウキがゆっくりと垂直に沈んだ。一方、V−TENなしでは、8割はV−TENと同様、ゆっくりと垂直に沈んだが、2割程度は素早く斜めにウキが沈むことがあった。V−TENは魚が違和感なく餌を食っていると推測される。

(2)釣果
 入れ食い状態であり、それほどの差ではないもののV−TENの方がやや優っていた。そのため、しばらくして久保田さんもV−TENに変更し、より釣れるようになった。
  shimanoさんによると、V−TENは魚が違和感なく餌を食うためか、針を飲まれることがあるとの感想であった。
2−2 実釣

 クロゲンさんの磯釣り教室に参加して実際にV−TENを使用した。
 この日は餌取りが多く、ウキ下約1ヒロで攻めたが、見学した時と同様、V−TENはウキがゆっくり沈むという印象を再確認できた。
 隣りで2段ウキを使っていたが、ウキが横に走るようなアタリが何回か見られた。V−TENではこのようなアタリはほとんどなかった。

3.結論

 まだ、1回使っただけなので、絶対と言いきれない部分はあるが、V−TENは優れものである可能性大といったところである。

(1)V−TENはウキの抵抗を和らげるショックアブソーバーの役割をしている。
   従って、食い渋りの時に効果を発揮する。

(2)魚が違和感なく餌を食っているので、アタリは垂直にゆっくり沈む。

 今後も実釣を重ね、さらにV−TENを科学したい。