事前の準備などについて

体験者の記録をネットで調べ始めたのは実行4か月前の2011年11月半ば。もちろん通し打ちを念頭に置いたものです。

私の脚力で何日かかるのか・・行程シミュレーションの検討。1kmの歩行速度測定で日数の目途をつけました。全行程は1200km、1日35k〜40kとして33日、これで問題なく歩けると考えました。

【靴】

結願できるかどうかは靴と背負う荷物の重さにかかっているらしい。発願の11月、ジョギングシューズでトレーニングを開始。12月に入って皮革製のトレッキングシューズを購入、履き慣らし1週間ほどで靴擦れ発生。マラソン、ハードな登山等でも靴擦れなど起こしたことがないのに、どうもこの靴はしっくりきません。年が明けて1月、軽くて水が浸み込みにくいことを条件に探して新しい靴を購入。かなりいい感じです。1200kmの途中で靴がへたってしまう可能性があるので、予備の靴も用意しておくと良い、そんなアドバイスをネットで目にした。予備としてもう一足購入、この最後の靴が軽くてフィット感がいい。
写真は1200kmの道連れとなったその靴です。この1足で十分足りました。

素材はゴアテックス

重量−片足400g
かかとの溝はほとんどなくなりました。

左足を痛めたため、右足頼りの歩きとなり、

靴の減り方にもそれがはっきり現れています

【体力作り】

出発予定を3月中旬に定める。

12月から本格的なトレーニング開始。雪が積もっていようが氷点下10度以下の寒さであろうが、とにかく毎朝未明から歩く。遍路の荷物予想は5Kだが、9キロの重さにして歩く。かなりの負担感を感じる。一日最低でも1時間半、平均で2時間、休日はなし。出発の前日まで続けました。日数で95日、900kを超えていると思います。平地の1キロを12分ほどの速さ。

【荷物】

“軽く”を条件に、一品一品吟味。必要な品目をリストアップ、多すぎて唖然となる。リストからの削除作業が大変。同じものなら1グラムでも軽いものを選択。

毎日洗濯をする前提で着替え用下着、靴下は1着だけ。さらに人工肛門装具類は半分に絞り、途中で妻に送ってもらう段取りとしたが、それでも装具だけで1.5kgを超える。

結局絞りに絞ってザック自体の重さも加えると7.0kgまで絞るのが限界だった。
無人島へ行くわけではない。必要が生じたら買うこともできる。最後はその割り切りだった。

【般若心経の暗誦と写経】

早朝トレーニングの時間を利用して般若心経の暗誦を行う。街灯の明かりをたよりに、1か月で完全に空で言えるようになりました。

また般若心経の『写経』も95枚書き上げました。筆字は書けませんからペンで一字一字丁寧に。これは札所(寺)へ納めるためです。本来は本堂と太子堂それぞれに納めるために倍の枚数(88寺×2)が必要ですが、本堂分だけとしました。

【シミュレーションの繰り返し】

へんろみち保存協力会編の“四国遍路ひとり歩き同行二人(地図編)”をテキストに、結願の自信をさらに確固たるものにすべく、シミュレーションを何回も何回も繰り返して、私流の遍路の形が見えてきて不安は自信に変わって行きました。

(しかし、これはあくまで机上の空論、いかに甘かったかをいやというほど味わうことになります)

【山】

遍路道は山道もたくさんあります。遍路道沿いにある山を一つでも多く登りたいという願望もあって、遍路地図と国地院地図を見比べ、それほど時間をかけずに登れそうな山をピックアップする作業もしました。25座ほどになりましたが、登れたか、あるいは直近を通り過ぎた山は20座にとどまりました。その中の一等三角点5座と讃岐富士と呼ばれる飯野山は収穫でした。


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