オストミー(人工肛門保有者)の生活日記



2001.10月
≪2001.10.04≫
9/29日に、東京でオストメイトの集いがあって上京した。ホテルへ泊まったり息子のところへ泊まったりの4泊。
涼しくなってビールの飲み具合もいくらか少なくなってきたせいもあるのか、ウンコちゃんの方は特別のこともないし、洗腸も順調・・・・話のタネがなくて困るほど。困ることはない、喜べばいいのに何にも話がないとなんだか悪いみたい、罪の意識を感じちゃったりしてネ。
何かアクシデントでも起きないかなあ〜、その思いが通じたのか、タイミングを見計らって起きましたよ。いやあ嬉しかったなあ、これで話のタネが出来た。

朝ホテルで洗腸。そろそろ出終ったころかと思ってドレーンを外し、このあと電車へ乗るので念のためにパウチを貼りつけた。しばらくして水様便がオチョコ2杯分ほど出た。バウチをつけておいてよかった。まだ出るかもしれないのでウンコちゃんの入ったパウチをぶら下げたまま電車に乗り、息子のところへ行った。あのウンコちゃんが最後だったが、パウチは風呂に入るときにでも剥がそうと思ってそのままにしていた。

2歳8ヶ月の孫娘と公園で大騒ぎをして遊び、汗びっしょりになった。
そのあと何だかウンコちゃんらしい香りがほのかに漂う。パウチなんだからそんなはずはない。鼻が勘違いしているのだ、と思いのぞいても見なかった。気にもせずに昼寝。
起きて見るとやはり臭い。まさかと思いつつもパウチのあたりを手で探って見た。「ヌルッ・・・ベチャ」やっちまったあ。

孫娘との大騒ぎと汗でパウチの一部が剥がれて、そこから水様ウンコちゃんが漏れ出していた。もちろんパンツ、シャツの裾、それにズボンにまでしみ出している。 衣類まで汚したのは久しぶりだなあ、これを日記に書かなくちゃあ。素敵なネタが手に入った。平さん汚いのも忘れて欣喜雀躍。

それにしても せっかく臭いまでしていたのにネエ。 バウチの中に消臭剤を入れていたので臭いが薄かったのが裏目に出てしまった。 代えの衣類は持参していたから問題なかったが、汚れたパンツは捨てるつもりだったのに、奈良の自宅へ帰ると、家内はいつのまにかそれを取り出して消毒薬に浸け、せっせと洗っていた。 汚したときは大抵自分で洗濯するか捨てるのだが、家内は捨てられたら大変と思ったみたいだ。
これも内助というやつですかねえ。

≪2001.10.05≫
ストーマの話からそれるが、一応ウンコちゃんの話です。

久しぶりに2歳8ヶ月の孫娘(『雪』)に会ってきました。まだオムツを使っています。
以前平さんは書きましたよね。他人のウンコやオナラちゃんだったら、鼻をクンクンさせて臭いを嗅ぐなんていうことは絶対に出来ないって。書いているときは気がつかなかったですが、実は例外があったのですね。
「雪がウンコをしたようよ」と誰かが言う。すると平さん『雪』のお尻に鼻先をくっつけて、どれどれクンクン、クンクン・・・あ、臭い臭い、しているよ・・・・・。
このときの感覚は、わが身から出たウンコちゃん同様、何のためらいも感じない。犬が何かを嗅ぎわける行為にも似てごく自然な行動なんですね。
ウンチのついた赤ちゃんのオムツを取りかえるのに、ゴム手袋をはめる人はいませんよね。つまり基本的には
ウンコちゃんは決して汚いものではないということなんです。

“ウンコは汚いという先入観念は捨て去ろう!!”

≪2001.10.05≫
10/11 〜13日、3日間で美濃地方の山へ登ってきました。
出発の前日10日の夕方洗腸。帰宅までの丸3日は排便がない筈だった。
いつもこのパターンで3日間山行というのがけっこう多い。

さて山行中は食べ物はなるべく量が少なくて栄養価(カロリー)の高そうなものを食す。ビールは控えめに。経験的に下痢を催しそうなものは避ける・・・・などそれなりの配慮はする。
かくして
丸2日は無事に過ぎた。
登山3日目、雨がショホショボと降っている。レインウエアを来て登山に出発した。
ストーマに圧迫感があってオナラちゃんらしい。レインウエアの内側を伝わって、得も言われぬ香りが我が鼻へと立ち昇ってきた。出たオナラちゃんが外部に発散できずに全部首の隙間目がけて昇ってくるのだからたまらない。鼻を直撃、いくらわが身から出たヤツでも許せないほどの超臭いヤツ。
さらに2発目。
様子がおかしい。ただの屁ではなさそうだ。雨の中に立ち止まって覗いて見ると、ティッシュの下に出ているではないか、ウンコちゃんが。
ザックから道具一式を取りだし、先ずはストーマ周囲に付着したヤツをきれいに拭き取る。汗で皮膚に水分があるとパウチがしっかりと貼りつかない。それにうっかりすると雨がかかって濡れても困る。何とも気を使う作業でパウチを貼り終わった。4人連れの登山者が「何してるの?」という顔で覗きこんで通り過ぎていった。見えたって何しているかわかりっこはない。
雨の落ちている中でパウチを貼るのってけっこう手がかかるのですよ。
この時点で洗腸から61時間でした。

よく貼りついたかどうか自信はなかった。
それでも無事山頂を踏んで下山した。
自宅への帰途、何やら勝手知ったる懐かしい臭いが車内にただよう。もしかするとパウチが剥げて隙間ができたかもしれない。「誰もいない、俺だけだ。人には迷惑がかかるわけじゃない」と割りきって、点検もせずに車をすっとばした。
慣れ親しんだ臭いとは言え、長時間さらされてガス中毒ってこともあるかもしれない。換気に留意して我家へ着いてみると、やはりパウチの上の方が少し隙間ができていた。ウンコちゃんの量はたいしたことはなかったので、臭い以外の被害はなく、ガス中毒にもならずに意識は正常でした。
【原因】パウチを貼るときに皮膚が完全に乾いていなかったか、あるいは貼ったあとの汗プラス激しい体の動きで剥がれたかのどちらかである。

≪2001.10.21≫
なぜか理由はわかりませんが、洗腸の不調から抜け出せないでいます。
不調の中味はというと「注入した温湯混合ウンコちゃんがなかなか出てこない」ということです。 私のパターンは、注入が終って数分から長くても10分間、ストッパーで押さえたまま大腸の蠕動運動の高まりを待って、ころはよしと思ったときにパッとストッパーを解放してやります。ここで、ドドドドッと快調に排泄が始まって、以後少し間を置いて1〜2回やや多めの排泄があると、これで主力のウンコちゃんがほぼ出終るわけです。あとは大腸のずっと奥の方で、出ようか、それてもよそうかと思い迷っているヤツがちょこちょこっと出てくれれば、おおむねこれで完了となるわけです。

ところが「ドドドドッ」がいつまでたっても出てこないのです。ドドドドッの前にチョポチョボがお愛想顔で2度ばかり出るだけで、あとは知らん顔なんです。
しびれを切らした平さん、ドレーンをぶら下げたままトイレから出てきて、どっちでもいい雑用なんかをしていると、思い出したようにドドドドッまではいかない、ややまとまったヤツが出てきます。そんな気のない出方が2、3回あると、だいたいこれで終りということにしますが、終ったという確かな感触が掴めないままです。何となく「糞ぎり」=(踏ん切り)のつかない後味の悪さが残ります。
所要時間は1時間前後というロングランです。

半月ほどこんな状態です。 洗腸サイクルも2日に1回に戻して様子を見ている最中です。
15年のベテランにしても、まだまだ暗中模索がつづいています。 だけどクヨクヨこだわらないのが肝心、今度はうまくゆくさ・・・・と、希望はいつも胸に秘めて、今日も平さん元気です。
オストミーの生活日記は、これで終了させていただきます。お立ちよりありがとうございました(平)

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