| 《私の登山スタイルと特色など》 |
1.単独行であること
- 「登山のコーナー」の「人工肛門と単独行」の項に記したように、排便処理の問題もあってのんび歩く余裕がありませんでした。「洗腸」という方法を用いて、大腸内の残滓物の強制排出処理作業(大がかりな浣腸のようなもの)を行うと、原則24〜48時間は排便のない状態にすることができるのです。この作業には最低1時間はかかりますし、用具も必要です。しかしこの安全時間はあくまで原則で、お腹の調子でいつ下痢便などに襲われるかわかりません。出発前に洗腸処理をしたからと言って、安心はできず、山中で排便があったときの処理の煩わしさを考えると、少しでも早く帰宅したいという強迫感に常につきまとわれていました。
- 幸にして、ジョギングで鍛えた脚力は、かなりの程度で残されていました。まるで走るように歩いても、バテルことはありませんでした。
- 脚力を最大限に活用するためには、一人が最適だったわけです。通常、ガイドブックのコースタイムにくらべると30%、場合によっては40%以上も早い時間で歩いていました。
|
|
2.できるだけ自力で
登山道を作った人、道標を管理する地元の人、案内書を書いた人、山小屋を運営する人・・・陰で多くの人の支えがありますが、本来「自分で出来ること、自分でやらなければならないことは自力で」ということです(費用節約のためにも)
- コース研究などは、原則として書店などで普通に手に入るガイドブック、書籍、それと地図だけでした。
- 一般開放されていない林道を、コネを使ったりして利用するようなことはしない。また自分だけが特別な便益の提供を受けるようなことはしない。
- 山域のガイド、民宿、山岳クラブなどを頼っての情報収集は行わなず、林道などの道路状況を市町村役場に照会する程度にとどめる。100名山は関連の出版物も多くあり、まったく問題なかったが、300名山の中には、情報が少なくて苦労する山もあったり、現地の状況が変貌していて、せっかくの資料が役に立たなかったりという例はいくつもあった。
- 「山頂までケーブルで」というようなことは極力避け、自分の足で登る。
|
3.単独行の限界をこころえる
- 私は「登山の基礎も身についていない単独行者」であることを常に自覚するように心がけてきました。したがって好天を確認した上で、山スキーや残雪登山をするのが限界と心得ていました。
|
4.マイカーの活用(アプローチと車内宿泊)
- 休日を最大限に活用しなければならないサラリーマンにとって、登山口までのアプローチのことを考えると機動性の高いマイカーの威力は大きい。東京を深夜出発すれば、上信越、東北南部あたりのかなり歩きでのある山でも、日帰りが可能となります。特に週休2日制となる前は、日曜日が実に貴重でした。
- 私は、深夜東京を発って毛勝山を登頂し、その日のうちに東京まで帰ったこともありますし、また同じく深夜東京発で北アルプス笠ケ岳を登り、その日に東京までトンボ帰りしたこともありました。お勧めはできませんが、こんな芸当も可能だということです。
- 土日の2日をかけて出かける時は、寝具・自炊用具を積んで行きます。まず1山登ってから翌日予定している山の登山口へ移動、そこで車内泊。夜明けを待って登山を開始すれば、山にもよりますが、他の登山者がようやく登りかけた8時、9時には、もう下山なんていうこともできます。すると高速道路などの夕刻の行楽帰りのラッシュに巻き込まれずに、ゆうゆうと帰宅できますし、翌日の勤務に支障の出ないようゆっくりと休養もできます。車内泊は勿論経費節減の効果も大です。たとえば八海山と巻機山を別々に登ると、東京からの高速道路料金が2万円近くになりますが、車内泊で登れば半分で済むわけですから、これはサラリーマンなどにとっては大きいと思います。
- 特に最近は在来線の夜行列車がほとんど消えてしまい、東北方面(急行八甲田とな゛)、信州(急行アルプスなど)、上信越(急行谷川など)など不便になってしまい、マイカーの出番も多くなるというものです。(代って高速バスが増えてきました。運賃も安いし、何回か利用しました)
|
5. 1日2山にも積極的に挑戦
年次有給休暇もなかなか取れないようなサラリーマンにとっては、経済的にも時間的にも効率よく登りたいと考えるのは当然だと思います
特に遠方へ出かけた時には、交通費、宿泊費などを考えると「時間と体力」に相談しながら、一日2山にも積極的に挑戦したいと思います。出発前に周辺の山域を研究して行けば、可能なものはたくさんあります。
▼
私はこんな歩きかたもしたことがあります
大分市を早朝に出て尾平から祖母山を登頂、午後には阿蘇仙水峡から
高岳登頂(勿論歩いて)、翌日は牧の戸峠から久住山・中岳。下山後さら
に由布岳を登頂。
また1日で涌蓋山・由布岳・鶴見岳の3山を登頂(もちろん登山口からの
歩きです)したり、 2日で位山・川上岳・鷲ケ岳・大日ケ岳の4山を登った
こともあります。
こうした邪道とも言える登りかたには、批判のあることも承知していますが、サラリーマンがさまざまな制約条件の中で、一つの目標を持って山登りに取り組んだ場合、これも意欲のあれわれとして受入てもいいと思っています。登山をどのように考えるかということについては、千差万別の意見があると思います。それについては、別の機会に私見を述べてみたいと思っています。
|
6.不要な重装備は避ける
- 登山関連の雑誌、書籍等にはさまざまな登山グッズが紹介され、また安全登山のためと称して日帰りの携行グッズ、山小屋一泊、テント泊等、ケースごとに装備のグッズを示して、あたかも全部持たないといけないかのような錯覚を抱きます。
- 最初のうちは正直に全部ザックに入れていましたが、30回、50回と山行を重ねても、まったく手を触れないものが幾つも出てきます。それらを整理して「荷物は極力軽く」を心がけるように変っていきました。特に非常食を含む食料については、ある程度必要ですが、それも限度があります。最初のうちは「万一のことも」と考えて、あれもこれもと持ち歩きましたが、ピクニック気分で目一杯持つのは無駄が大きいと思うようになりました。目的の山に対応した装備を判断する力も必要なことを
、体験から学びました。
- 山を歩いていると、同じ行程なのに人によって背負う荷物の量の差が大きいことにだれでも気づくと思います。先日六甲山へ行った時、まるで山中テント泊かと思うような荷物を背負っている男女に出会い、「幕営ですか」と尋ねると、山頂でコーヒーやラーメンを作って食べるので、と言っていましたが、いったい何が入っているのか不思議でした。
- 靴についても、きちんとした登山靴でなければならないように書いていたりしますが、私は夏の北アルプス等、ジョギングシューズで歩く山も結構たくさんあります。特に夏山の縦走には重い登山靴よりずっと楽ですし、足元を注意していれば、何の問題も感じません。靴が軽い分だけ、疲労度も相当違います。特に山から下りてから舗装道路などを歩く時は、ジョギングシューズの方が抜群に楽です。夏なら雨で濡れることも気になりません。今は新素材で軽くて歩き良い靴もいろいろありますから、ジョギングシューズ崇拝は古いかもしれませんが・・・・。
- 別の機会に装備について私のケースをご紹介します。
|
7.難しい山は天候条件を最優先とする。体調や装備よりずっと大切である場合が多い
- 極論すれば、安定した高気圧が張りだして、終日快晴というときには雨具さえ不要と言ってもいいくらいです(私は雨具だけは決して手放しませんが)3000メートル級の山は別としても、道標のしっかりしたポピュラーな山ならば、ほとんど装備は要らないくらいです。山によってはスポーツ選手が体力トレーニングで、水筒を腰に一つ、ランニングウエアで行き交う姿を見かけることもあるくらいです。
- 昨年(1998年)の初秋、スキー部の陸トレで、女子大生が1日がかりで妙高高原から妙高山〜火打山を周回する姿に出会いました。腰にウエストバック一つだけでした。彼女らは決して登山のベテランでも何でもないのにです。
|
8.徹底した早発ち、早着き
- これは山のセオリーであり、私のモットーでもあります。ただ、小屋泊の場合にはまだ寝ている人もいる中での出発ですから、迷惑にならないことが肝心です。近くでビニール袋をごそごそやられるのは特に不愉快です。私は前日のうちにすべて用意して玄関口に出しておきます。静かに寝床を抜け出し、ザックを外に出してから中身をいじるようにしています。
- 早発ち、早着きのメリットは大きいです
- 行動時間に余裕があり、景色や花などをゆっくり楽しめる
- 道を間違えたりしても、時間に余裕があれば慌てない(適切な行動が可能)
- 登山道から外れて、往復10分の所に好展望台あり、なんていうときにも、時間を気にせずに行ける。
- 朝露を含んだ初々しい草花が見られる
- 日が昇って景色が水蒸気で霞んでしまう前に展望を楽しめる
- 撮影ポイントを探したりするゆとりがある
- 朝の斜光線での撮影ができる
- 鎖場などで渋滞する場合も待たずに通過できる
- 早く下山すれば道路や乗り物が混まないうちに帰ることができる
- 最大のメリットは、午後より昼前の方が天気が安定していることです。太陽が照っているうちに小屋へ到着、午後2時過ぎに外を見ているとどしゃ降りに急変した中を登ってくる人を見掛けることもしばしばです。
|
9.安全登山の基本は「体力」こそ一番
- 脚力、耐久力、心肺機能の保持には、ジョギングが役立っていますが、ほとんど毎週登山を、しかもかなりの体力を要するような山を歩きつづけているとそれ自体が体力アップの運動となり、補助的な運動は必要ないほど体力は鍛えられます
- 私の考えでは、アクシデントは技術不足より、疲労などによる注意力低下が最大の原因と思います。300名山の中には、技術を必要とするような山は無いと言っていいくらいです。アクシデントを未然防止する最大の決め手は体力アップということです。中高年の事故の多発は、とりもなおさず体力低下の問題が大きいのではないでしょうか。たいした登りでもないのに、はあはあ、ぜいぜい喘ぎながら、汗びっしょりで登っている中高年を見ると、日頃の体力鍛練の不足をみるような気がします。
- 「景色も高山植物もまったく目に入りませんでした、ただ下を向いて重たい足を運んでいただけです」そんな言葉をたまに聞きます。私も初期の頃はかなりのスピードで歩いていましたが、それは体力の限界で歩いていたわけではなく、まだ余裕があって、花や景色を十分に堪能していました。
- 「楽しく」かつ「安全」に山登りを楽しむには、まず体力が基本だと思います。しかしながら鍛えると言っても個々の体力差には限界もあります。結局は体力に合った歩きかた、山を選ぶということかもしれません。
|