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ISA's BOX!!インタビュー企画第四弾

「ランナーズ・ハイを終えて」

〜遊び心地はいかがでした?〜
Dec 7,1997

 去る10月に金沢市民芸術村ドラマ工房で公演された「ランナーズ・ハイ」は、「たまには自分たちのために芝居をうったっていいんじゃないのかな」という思いからスタートした公演でした。実際、いろいろな試みがそこかしこに散りばめられ、見ている方を飽きさせない80分間でした。
 また前回の公演後、高伸さんが「これからは彼らと彼女らの時代が来る!」と話していたとおり、劇団員の個性が光った公演でもありました。そこで今回のインタビュー企画では、劇団員の方々に市民芸術村の遊びごこちについて尋ねました。

「魔術くん」(作:松本綾美)
あのぬけがらは誰?
「ニシモト」
毎日ホットなニュースが...
「ランナーズ・ハイ」(作:井口時次郎)
「ランナーズ・ハイ現象」
ビデオとテロップ
「江藤さん」は何を待っていたのか?
迫力のエンディング!!
ズバリ遊びごこちは?

「ユウスケ」が「リョウコちゃん」になって、「ユウスケ」に会うクライマックスの場面、劇中では「ユウスケ」は誰であるとも明確にはされていませんでした。
果たして、「ユウスケ」は、「ユウスケ」そのものだったのか?、「リョウコちゃん」が成り代わっていたのか?
見終わった後、気になってしょうがないのですが。。。
松木
「魔術くん」作者
松木綾美

 「ユウスケ」が「リョウコちゃん」になって告白した相手の「ユウスケ」についてですが、彼は姿も心も「ユウスケ」そのものです。それで「リョウコちゃん」になった「ユウスケ」は、その「ユウスケ」を見て、「オレは一体なんなんだ」と怖くなったんです。
じゃあ本物の「リョウコちゃん」はどうなっていたのかというと…。
うーん、考えてなかった。「ニシモト」に眠らされていたということにして下さい。
のっけからややこしい質問で失礼しました。
それにしても、あの「ニシモト」は催眠術も身につけていたのか! 手強いやつだ。

その「ニシモト」ですが、独特の濃いキャラクターですね。これからもこの路線に走るのでしょうか?
宮本
「ニシモト」
宮本靄深

ぼくはぼくで、君は君さ。これからも自分らしく生きてゆくつもりさ。フ・・・
いたる所で君はぼくを見いだすであろう。
望むと望まないとにかかわらず・・・フフフ。
うわぁ〜、何とも言えないあやしいコメント。どうもこれからも「ニシモト」路線は続きそう...

ところでこの「ニシモト」を演じた(あれは演技ではないってウワサも!?)伊藤健二さんはこれからは芸名「宮本靄深」(みやもとともやみ)を名乗ることになったそうです。公演では「ともちゃん」と声をかけましょう。

学生食堂での4人の会話の中で、安室奈美恵の電撃入籍などホットな情報が語られていましたね。観客の中には、「あっほんとかいや?」って初めて知った人もいたのではないでしょうか。
山本
学生役
山本珠乃

本当に前日のリハーサルまで全然違うお話をしていました。(…っていうか話をするっていうより学食を演じていました。)
で、本番当日の楽屋で安室ちゃんの入籍を知ってびっくり&大盛り上がりしちゃって、私たちの大半が知らないってことは一般の人でも知らない人が多いんじゃないかってことで、
「いっちょみんなを驚かせちゃおっか。」
っていうことと、
「ワイドショーねたで盛り上がってた方が学生っぽいんじゃないか。」
ということで原作の松木さんにOKをもらってやっちやいました。
でも本当のところ“入籍した”のか“入籍してた”なのか細かいとこがよくわからないままやってました。いやーあんなにうけるとは…。いやはや…。
第2作「ジミー大西ねた」もよかったでしょ。
毎日ねたが変化していたようで、「明日はどんな世間話しをしてるんだろう?明日も来てみようかな」って思ってしまいました。
でも110SHOWが公演をやるたびに電撃ニュースが起こるってジンクスできたらすごいですね。今度の公演では、いったい何が!

ここからは、「ランナーズ・ハイ」の作者である井口さんにどーんと4連発でおたずねします。

「ランナーズ・ハイ」は短編集のようでいて、実は1本通っている、けど1本1本笑えたりうなずけたりする。不思議な作品ですねぇ。
井口
「ランナー・・・」作者
井口時次郎

実際には各々のショートストーリーから創っていきました。
その時に意識していたのは、「普通の人々が追い込まれ普通でなくなる物語」。そして、ランナーズ・ハイという現象はまさに平凡な日常からの脱出を意味しているのです・・・
何か、作品の解説ははずかしいです。

北京、シンガポール、香港で何かを待つ(だけの)「江藤さん待つ」シリーズは、異彩をはなっていましたねぇ。彼女はいったい何を待っていたのでしょう?
あれはとりあえずは不倫相手の男を待っているという設定なのですが、実は深いイミがあるのです。
いつか訪れるかもしれない何かを待ち続けながら平凡な日々を送る私たち。しかし、実際にはいつも「何も起こらない。」そこで芝居の中の江藤さんには”待ち続けていた誰か”に出会わせました。
私自身も何かを待ち続けているような気がします。
そうですよねぇ。何かはっきりとはわからないけれど、何かを待っているってそんな感じ最近多いような気がします。確かに。

ひとつひとつの作品のタイトルがビデオで映し出されていました(落語で、舞台のすみっこにある題名をめくっていくやつの電子版)。ビデオによって舞台がマルチメディア化され、ひとつひとつのストーリーが「作品」として独立するという効果があったように思います。
狙いとしては確かに一つ一つのストーリーにある程度独立した作品としての性質を持たせたいということです。
本当はビデオ内の登場人物と役者とが会話をしたりさせたかったのですが、時間がなくてできませんでした。次回はビデオの映像から人が飛び出します!?

登場人物が勢揃いで無心に走るエンディング、迫力ありました。みんな何かを求めて、あるいは忘れるためにひたすらに走る。各ショートストーリーズで笑わせてくれた人物たちだけにかえって真に迫るものがありました。
ランナーたち
エンディングはとにかく派手にしたいな、と。
狭い舞台にできるだけ多くの人を出して目一杯走らせようというのが最初のイメージでした。本当は客席も含めて30人でも50人でも「うおーっ」って感じで走るともっとよかったかも。
いろいろ感想うかがいたいです。

最後の質問はたかしんさんに。ズバリ、遊び心地はいかがでしたか?
高田
代表
高田伸一

始まる前はろくすっぽできてない状態で乗り込んで、芸術村で作っちゃった訳ですから、本当、大丈夫なんだろうか?って感じだったんですいけど、初日あけてからこっちは、もう楽しくて楽しくて・・・。
今回の作り方は演出家不在、舞台監督不在という、どこか学級演劇発表会のような企てだったので、パートごとのダメは出せるのだが、実は全体を通してのダメはだれも出せない。
でもそれがよかった。毎回「お客様に教えてもらいましょう!。」と身をさらす。
このヒリヒリした空気感!緊張感!。
それぞれの団員がお客様から、コツや知識をつかませていただく・・・
本当によい勉強をさせていただきました。
この支払いは今後の活動でしていこうと考えています。
そっそうだったのかぁ。客の反応、場内の雰囲気から演劇のコツをつかみとっていたのかぁ。ということは、面白いときは思いっきり笑って、はずしたときはそれなりの反応をしっかりしてあげればいいんですね。

みなさん、どうもありがとうございました。来年も思いっきり笑わせてください。

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isam@roy.hi-ho.ne.jp