エジプト徒然草
 
其の21


1998.06.07(日)
翼のある太陽


 早くも梅雨入り宣言が出され、鬱陶しい季節となってしまいました。 今日は今日で 6月というのに、異常な寒さで、思わず冬物を探す始末。 妙な、気候です。

 エジプトなら砂漠の国で、雨も殆ど降らなし、年中暑いのだろう…

 実際に旅行に行く 前は、漠然とそう思い込んでいました。 しかし、実際は、カイロあたりでは、朝、夕は冷え込むし、 朝など水蒸気で靄けたピラミッドが見える始末。 おまけに、札付きの雨なんとかな私を、めったに 出会えないという雨が出迎えてくれるスペシャル・プレゼントもありました(^^;) 日本でいうと、 小雨どころか、パラパラ降ったか降らないかというレベルなのですが、雨対策の全くなっていない カイロの街は、その程度の雨でも、1日交通に混乱を来して、妙なところが通行止めになったり していた様です。

有翼円盤 ところで、エジプトに行かれたことのある方は、右図の様な、図柄を、神殿の天井や、塔門などの門の上にあるのをご覧になったのを覚えておいででしょうか? 羽根のはえた円盤の図柄です。

コム・オンボ神殿


 たとえば、先の写真は、上の写真でわかる様にコム・オンボ神殿の出入り口の上部にハトシェプスト女王葬祭殿壁画あった図です。 また、右図は、デル・エル・バハリのハトシェプスト女王の葬祭殿の壁画ですが、中央の、出入り口と思われる様なところの上部にやはり、同様の翼を持った円盤の図があるのがご覧いただけますでしょうか? かなり頻繁に見られたこの図。 私は、何故か、向こうで見て、妙に気に入ってしまった図柄でして、あちろこちらの神殿で、見かけては喜んで旅しておりました(^^)

 通常、有翼太陽円盤、または有翼日輪と呼ばれエジプト語では、<アビ・ウェル「空を飛ぶ偉大なるもの」>と呼ばれるもの。  この様なハヤブサの翼を持つ太陽は、古くは、第一王朝、ジェド王の時代(前2980頃)の櫛に、一対の翼のついた太陽舟が天空を渡る様子として描かれているものが見られ、第五王朝以降は太陽円盤が一対の翼の間に置かれ、古王国時代(前2686-前2181)には、太陽円盤の両側にウラエウス(聖なるコブラ)加えられ、新王国のころには、この図柄が、神殿の扉の上、石碑の頂などに保護のシンボルとして描かれる様になった…というのが、この図についての一般的な解説です。

 ところが、先日、この有翼太陽円盤の図について、おもしろい説を読みました。 この有翼太陽円盤は、皆既日食の際に見られる太陽のコロナを形象化したものでは無いかという説です。 皆既日食の際、太陽の黒点のその時の活動状況によっては、太陽風にふかれたコロナがまるで鳥の羽根の様に見えることがあるというのです。 私は、実際にそんな皆既日食を見たことはありませんが、もし本当にそんな太陽の姿が見れるのなら、観察して見たいものだと思いました。
 今の私達は、日食の理由を学校で習い、知っているので、ひとつの天体現象と捉えますが、古代の人々にとって、日食というのは、本当に不思議な現象であっただろうなと思うと、その姿を特別なものと古代の人々が捉えたとしても当然の様に感じます。
 実際に、有翼太陽円盤=コロナ説の原本にあたった訳では無いのですが、想像力を掻き立てられる様な説に出会い、妙にわくわくしてしまいました。

INDEX
BACK GO

HOME 『Chaos Panic』のホームページ   『エジプトのこと』のホームページ

Mail このページについての、ご意見、ご感想は下記まで

(mizuchi@roy.hi-ho.ne.jp)