新潮文庫(123)/1997年10月/4-10-100141-32-13-X

 ねじまき鳥クロニクル 村上春樹
 「作家の値打ち」で最高点

 今まで村上春樹というと「ノルウェイの森」を借りて読んだぐらいで、他の作品には手をつけていなかった。いい本だと思ったのに、今思うと不思議だ。
 今回、「作家の値うち」で取扱われている全574作品中最高得点96点をつけられていたので、そこまで言われては読んで見ねばと、この本に手を伸ばしたが、なるほど面白かった。
 その後1ヶ月、村上春樹づけになり、主要作品はほぼ読了した。
 読んだ本が面白いと、その著者の他の作品や関連する本を読みたくなる。面白ければ面白いほど、たくさん読みたくなる。その作品の世界を自分の中で広げたいと考えるのだ。

 「作家の値うち」において、村上春樹の作品は軒並み高得点。本人に対する評価も高く、以下のように書かれている。

現存作家の中で最高の実力と資質を持つだけではなく、近代日本文学のあり方そのものを変えた大きな存在である。
何よりも特筆すべきは、その作家としての類い稀な意欲であり、挑戦する姿勢であろう。
村上春樹をして夏目漱石以降最も重要な作家とされるのは故なくしてではない。
『国境の南、太陽の西』以降、村上の作品世界は異様な深化の行程に入りこんでいる。
その果敢な姿勢において、偉大さの大きな標であることは、間違いあるまい。

 この本を読み終えて以降、小説全般に対する愛おしさが増したように思う。
 どちらかというと今まで、外国文学はとっつきにくく思い敬遠していたが、急に面白いと感じるようになり、いくつか読了した。
 読書生活にすごい影響力を持った本だ。



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