ラインのしなやかさ(測定結果)


 強度と並ぶラインの重要な特性として「しなやかさ」があります。しなやかさを示す指標として各種ラインの曲げ弾性を測定してみました。従来通り、ライン銘柄の公表は控えます。

測定方法はこちらを参照してください。

1.ナイロンラインとフロロカーボンラインの比較

 ナイロンライン20種類、フロロカーボンライン16種類について曲げ弾性を測定した。曲げ弾性の数値が大きいほどラインがしなやかであることを示す。

尚、同じ号数でもラインの太さが微妙に違うので、直径の実測値から算出した実号数 と曲げ弾性とをプロットした。図はNO.3錘を使用した時のもの。

 手で触っても判るが、測定値で見てもナイロンラインがフロロカーボンラインよりしなやかなことが判る。 数値的にはナイロンラインはフロロカーボンの1.5−2倍の号数と同程度のしなやかさということ。



2.タイプ、号数別の比較

 同じ銘柄で号数が異なるラインの測定結果を抜粋した。某メーカーのナイロンラインでソフトタイプとハードタイプがあり、謳い文句通り、ソフトタイプの方がしなやかである結果であった。また、グラフにはないが、しなやかさを謳っているフロロカーボンラインの銘柄はフロロカーボンの中では、やはりしなやかなことが判った。

 曲げ弾性の測定方法は問題がいくつかあったものの、解析してみると結構精度良く測定できている印象であった。

 


3.しなやかさに対するカールの影響

 右図は測定方法でも記載したフロロカーボン1.2号の曲げ弾性測定結果で、カールの向き(上反り/下反り)により曲げ弾性が大きく違うことを示している。

これはライン本来の弾性率よりカールの程度の方がしなやかさに大きな影響を与えることを意味する。

 カールがついたままのラインは硬い方向があるということで、使用前にラインを引っ張ってカールを伸ばすことは、しなやかさを高める(均一にする)点からも必要であることを示す。

 釣りを始める前にハリスはギュ〜と引張りましょう!

 

4.今後の検討項目

 今後もしなやかさのデータの追加をしていく予定です。

 さらにラインのしなやかさにはカール(糸癖)の程度が大きく影響しているので、カールの付きやすさを調べたい。でもカールの付きやすさは経時変化が関係しているので評価がより難しい。どうやれば良いか?熱を加えて促進実験 ができるかな?

 ちなみにクレハのHPにはフロロカーボンラインは経時劣化しないものの、経時的にカールが付きやすいとの記載があります。