遍路道中記―3 (11日目~15日目)

・・・・距離は概算です・・・・

一時帰宅

土佐山田駅前のホテルから竜馬高知空港までタクシー。羽田空港経由長野新幹線で帰宅。

入院支度を整え、ただちに救急外来へ。検査等の結果一日、二日を争う緊急性はないとの診断。休院日でもあり、入院・手術等については1両日の様子を見てからとなった。
投薬処置等の結果無事排便、食欲も戻って急回復。4日間空白となったのは残念だが、幸い遍路へ復帰することができた。

復帰後は『頑張り過ぎは禁物、余裕のある歩き』を心がけ、目途としては『1日30kmまで』とした。

11日目

【治療で3日間明けて遍路再開〛

行動時間 11時05分~17時10分  29473歩 (6時間05分 23km) 天候=晴

南国市の路面電車

高知空港からタクシーで土佐山田駅へ。一時帰宅前の歩き終点土佐山田駅前からスタートする。

≪29番国分寺≫

早場米産地の田園は田植えの準備が進んでいる。一部では田植えの終った田もある。桜の花もちらほら。

≪30番善楽寺≫

歩き遍路の男性から餡入りの饅頭をいただく。腹ペコだったので美味い。

≪31番竹林寺≫
 

春爛漫の桜

道に迷う。地元の人が川向こうから大声で教えてくれた。歩道が両側にある国道などで、次は右折というときには進行方向右側の歩道を歩くと右折シールを見落としにくいことに気づいた。

竹林寺は日本三文殊の一つ、孫娘のために思いをこめて祈願する。高知市のシンボル“五台山”の丘陵にあり、途中の墓地の桜が満開、春は真っ盛りだ。竹林寺は日本三文殊の一つ、孫娘のために思いをこめて祈願する。高知市のシンボル“五台山”の丘陵にあり、途中の墓地の桜が満開、春は真っ盛りだ。

≪五台山139m四等三角点≫ 山頂は園地になっていて、多くの市民の姿があった。三角点を確認するのを失念。復帰初日、体調は良好に推移して足もよく動く。五台山から高知市内のホテルまで歩く。高知はカツオの本場、夕食はポンズ、ネギ、ニンニク、ダイコンオロシでモリモリ食べる。食欲がなかったのが嘘のようだ。

12日目

行動時間 6時10分~16時30分  44100歩?(10時間20分 35km) 天候=強雨→晴 

高知市内のホテルからタクシーで昨日の終点五台山下へ。朝から風を伴った土砂降り。

≪32番禅師峰寺≫

寺への坂道は川さながらに雨水が流れ下っている。境内には人影もない。納経帳などを濡らさないよう気を使う。

≪33番雪蹊寺≫

種崎の渡し

雨やまず。頭を下げ、菅笠で風雨をしのぎながら歩く。菅笠のひさしで前が見えない。遍路シールを見落として3回も遍路道を外してしまった。
種崎の入江を渡し船で渡る。この渡しは国道の一部ということで無料、乗船時間10分ほど。

≪34番種間寺≫ 

雨が上がって晴れ間がのぞく。種間寺は国道に面した平地にあってお遍路にはありがたい

≪35番清滝寺≫

仁淀川の清流

車道とはいえ、境内までは急な長い登り。汗びっしょりで上りきると爛漫の桜。 そして土佐市街から太平洋が俯瞰できる展望台だった。
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土佐市内のビジネスホテル泊。今日も余力十分で終わった。でもちょっと歩き過ぎたかな・・・という反省も。案じた排便等の人工肛門処理にも問題は起きていない。

13日目

行動時間 7時10分~15時30分  42710歩 (8時間05分 33km) 天候=晴

ホテルの好意で3キロあまり車に同乗乗させてもらう。
年齢もかえりみず、通し打ちの歩き遍路に取り組む年寄りの姿を気の毒に思い、お接待のつもりで声をかけてくれたのかもしれない。

宇佐大橋を渡って青竜寺へ。やや肌寒いが上空は青空、海も凪いで気分もすがすがしい。海辺の道を、健康ウォーキングに精出す人の姿が多い。

≪36番青竜寺≫

青竜寺山門

青竜寺から宇佐大橋まで打ち戻り。

浦の内湾の北岸をひたすら東方の須崎市を目ざす。歩道のないトンネルでは“へんろみち保存協力会”の地図編を開き、表紙を体の前面にさらす。艶のある黄色で、きっと対向してくる車のライトで良くみえているはずだ。以後この手を何回も使った。

無人の遍路小屋に置いてあるアメを一ついただく。

須崎市のビジネスホテル着14時。荷物を預けて少し先まで距離を稼いでくることにする。土讃線安和駅まで歩き、電車でホテル近くの大間駅へ戻る。稼いだ距離は約6キロ。これで明日は少し楽ができる。

地元の人は遍路慣れしていて、不満に感じるほどお遍路を見ても関心を示さない。歩道のない道でスピードを落とすことなく人間すれすれに走っていく車が多い。怖い思いもしばしば。

ビジネスホテル泊が多いのは、プライベートが保たれ、人工肛門のケアに気兼ねが要らないということからです。

14日目

行動時間 7時25分~15時10分 歩数 ? (7時間35分 30km ) 天候=晴・やや寒い

昨日の歩き終点の安和駅までは電車。

≪37番岩本寺≫

桜並木

久礼から大阪遍路道へ入ると川沿いの桜が行列して迎えてくれた。しばし見とれて歩く。

七子峠へは山道、最後はかなりの急登で汗びっしょり。峠には立派な車道が通り、展望台もある。眼下には土佐湾の広々とした眺め。

脚は羽が生えたように軽くまさに絶好調。先を行くお遍路に追いつくと、500ccのペットボトルもらってくれと言う。お接待で2本ももらい重くて困っているとのこと。必要なかったが、一応ありがたくいただいた。

今宵の宿は岩本寺門前の美馬旅館。時間が早すぎたので岩本寺でゆっくりと時間を過ごす。同寺の天井画が面白い。ケシの花、菩薩、キャベツ、マリリンモンローなど種々雑多な絵が天井いっぱいに描かれている。全国から募集したのだそうだ。

今日の昼食は物産センターの焼きそば。コンビニのパンを食べながら歩いたり、うどん屋へ入ったり、ときには昼食なしであったりといろいろ。昼食だからと言ってのんびり休憩することはめったにない。

宿泊した美馬旅館は由緒ある昔風の建造物、林芙美子の色紙なども飾られていた。“遍路料金”が設定されていて、通常客より割安で泊まれた。

15日目


行動時間 7時00分~16時40分 45721歩?(9時間40分 32km) 天候=強風雨大荒れ

朝から風を伴った雨が降り続いている。

爆弾低気圧と言われようが、お遍路はよほどのことがなければ休むことはない。強雨の中を出発する。ポンチョ姿のお遍路さんが風に煽られて難渋している。

  ≪五在所の峰658m一等三角点≫

五在所の峰山頂

五在所の峰登頂のため遍路道からそれて山へ入る。樹林の中は風雨も少し弱く感じられる。国道から山頂往復はかなりの急ぎ足で1時間30分ほど、一等三角点をしっかりと確認できた。
さらに強まる風雨をさけて顔は伏せたまま、上げることができない。地図を見るのもままならない。

国道大カーブのところは、短絡遍路道へ入るべきなのに、表示を見落としてそのまま国道を進んでしまった。3Kほどの遠回り。

押し戻されるような強風に逆らってひたすら国道を進む。加えて四国内のJRに運休が出ているという情報も耳にする。前後の近くに宿があるどかわからない。不安、とにかく風雨をついて前へ進む。

土佐白浜駅まで歩いたところで諦めて、ここから予約ホテルのある土佐入野駅まで約12kmを電車に乗る。低気圧が去ったのか、ホテルに着くころ急速に天気が回復していった。

土佐入野駅から徒歩15分のリゾートホテル泊。太平洋が目の前、海の白波はおさまらずに荒れ騒いでいる。値段は少し高めだったが、この旅でいちばん快適な宿だった。

(一等三角点往復と短絡路見落としの遠回りを考慮して、12キロの電車分は埋め合わせされていることとする)

  
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