遍路道中記―2 (6日目〜10日目)
6日目 |
行動時間 6時00分〜16時30分 51000歩? (10時間30分 40km)
≪23番薬王寺≫ 由岐の旅館からは海沿いの遍路道。岬の峠を一つ越えて日和佐駅近くの薬王寺へ。厄除け根本祈願寺として多くの人々の信仰を集め、近年はパワースポットとも言われているようだ。 遍路への動機を問われ、あえて答えればその一つでもある“身内の病気平癒祈願”があった。本尊は病をつかさどる薬師如来、時間をかけてゆっくりと参拝、納経。そのあと翌朝の護摩祈祷の申し込等を行った。 今夜の宿は薬王寺に近い日和佐駅前ホテル、そこへ不要の荷物を預けて先へ進む。
路傍に小さな石像がほつんとあるだけ。 ≪鯖大師≫ 番外霊場だが88札所に劣らない立派な構え。
JR牟岐線の海部駅まで歩き、電車で薬王寺のある日和佐駅へ戻った。
◆この日、杖が折れてしまった。縁起はかつがぬ方だが、凶兆でなければいいが。 ◆今日で遍路6日目、一晩寝ても疲労が抜けなくなってきた。練りに練った行程ブランだが、机上と実際との乖離、甘さをさとる。(排便不良・食欲の極端な減退、体調異変を意識する)
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7日目 |
行動時間 8時05〜15時30分
歩数? (7時間25分 35km) 天候=晴・北風強
薬王寺の早朝護摩供養の時間にあわせて再度参拝 日和佐駅から海部駅まで電車に乗り、昨日の続きから歩く。室戸岬先端まで太平洋沿岸の長い長い道のりの始まりだ。 プランでは室戸岬先端まで歩いてそこで泊まるはずだったが、足が思うように進まず疲労感も強い。予定より13キロ手前付近にあるT民宿泊まりにした。 排便不調は解消しない。腹部膨満感。それに伴い食欲もゼロまで落ち込む。
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8日目 |
行動時間 5時00分〜15時50分 54520歩?(10時間50分 41km)天候=晴・気温低
T民宿5時スタート、足摺岬まであと15K。
目に入るのは果てしない海と、その海に落ち込む山裾ばかり。変化のない舗装道、いくつもの岬を回って単調な道がただ延々とつづく。ロボットのように無意識に交互に足を前に出しているだけの自分にふと気づく。まさにこれは修行だ。 室戸岬先端の札所24番最御崎寺に着く。寺は高低差百数十メートルの山道を登ったところ、額から汗がしたたる。
≪25番津照寺≫
再び海岸まで降りて津照寺へ。平地にある寺はほっとする。読経にも慣れて、もう人に聞かれても恥ずかしくない程度に落ち着いて出来るようにっている。
≪26番金剛頂寺≫ ここも本堂まで百数十メートルの高さを登る。食物もほとんど喉を通らない状態ではエネルギー枯渇が否めない。 金剛頂寺から9キロ近く歩いた羽根のバス停でついにギブアップ、もう歩けない。道端に座り込む。バスで奈半利のホテルへ。脱力感が強い。 出発前、練りに練り上げた行程プランは、すべてボツにせざるをえなくなった。
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9日目 |
行動時間 8時15分〜15時45分 ≒40000歩? (7時間30分 31km )天候=強風雨注意報 奈半利ホテルからタクシーで昨日終点の羽根へ戻り、ここからスタート。 ≪27番神峰寺≫ 止むことなく降りつづく雨。今日は完全休養にして体調を立て直すつもりだったが、じっとしていられず体に鞭打って歩いてしまった。 ≪神峰570m 四等三角点≫
神峰寺からさらに急な石段を上ったりして20分弱、神峰神社へ。 神峰寺から土佐くろしお鉄道伊尾木駅まで重い足どりで何とか歩いて距離をかせぎ、電車で前夜泊の奈半利のホテルへ戻った。 |
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10日目 |
行動時間 6時15分〜14時? 32243歩 (7時間45分 27km) 天候=晴・強風
≪28番大日寺≫ 四国88札所の中に大日寺という同名の寺は3つある。徳島県に二つ、高知県に一つ。
奈半利駅から伊尾木駅まで電車。昨日終点の伊尾木駅を6時15分スタート。気持を奮い立たせ、27Kほどを8時間かけてようやく大日寺へ着く。もう一歩たりとも歩く気力なく座り込む。 遍路に出てから人工肛門の排便が10日近く満足に出来ていない。それが原因で食欲もなく、口に入れたものも枯葉か枯れ枝を噛む感じ。以前体験した腸閉塞の前兆に似ている。遠い四国で入院騒ぎにでもなったら大変、泣く泣く帰宅を決意した。 とりあえずタクシーを呼んで大日寺から土佐山田駅前のホテルへ直行。チェックイン時刻前だったが部屋へ入れてもらい、翌日の飛行機の手配等をする。情けない。悔しい。この日も食べ物はわずかしか入らなかった。
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