オストミー(人工肛門保有者)の生活日記



2001.07.01〜07日
≪2001.07.01・・・・午後8時≫
昨日、予定より早いウンコちゃんのお出ましで午後3時にパウチを貼った。
1時間ほどの間に大豆くらいのコロコロが3つ出てきた。引き続きどんどん出るかと思いきや、ハイそれでおしまい。ちょっと、それってイヤがらせだったの?
だから今朝はパウチを着けたまま25分のジョギング。途中で剥がれることもなくてよかった。

ずっとパウチを着けていたのに、その後は今日の午後2時30分に洗腸を始めるまで、ウンコちゃんはゼロ、もうまったくウ・・・・。結局コロコロウンコちゃんが、たった三つ入ったパウチをぶら下げて丸一日過ごしたっちゅうわけよ。
こういうこともあります。
オナラちゃんもあんまり出なかったね。

ハイ、今日の洗腸。ご入室が2時30分。
トイレに入って温湯やイスを用意したり、ドレーンを着けたりの準備が数分。
注入1000cc、3分・・・・(5分以上かけた方がいいでしょうね。平さんせっかちだから・・・・)
8分待ってストーマのストッパーを解放。水溶液が少し出る。
15分ほどの間に、アンコ状のどろっとしたヤツが少量3回出ただけで、本命が出る気配なし。
さらに5分待ったところで200cc追加注入すると、これが誘いとなって温湯と混ざった本命の水溶便が威勢よく出てきた。でも十分な量ではないなあ。・・・・このときが一番臭い。イヤだねえ。
読みかけの本を読みながら尚も次の排泄を待った。
本命排泄から15分、注入開始からだと50分経過したところで、ドレーンを着けたままトイレから出た。

トイレから出て15分、残っていたヤツが勢いよく出てきた。最後にガスもウンコもごちゃまぜで出て、どうやら終ったようだ。
今日のが平さんの平均的なパターンです。

●トイレの時間を有効に。
洗腸でトイレに入っているときは、新聞なんかいつも読まないような記事まで克明に読んだりして、これって大変ケッコウなことですよね。
面白い本なんかだと、どんどん読み進みたくてトイレから出るのがいやになって、そのまま読みふけることもたまには・・・。
奥様が「アラ、トイレにいたの」。

我が家はトイレが二つありますが、洗腸に使うトイレをご紹介します。クリックしてください。

  
≪2001.07.02・・・・午後8時≫
洗腸の翌日はホントに気持ちがおおらかでいられる。
早朝ジョギング40分(スタート午前5時20分)で玉の汗を流し、そこで軽くイッパイ。
まっ昼間、酷暑の中で庭木の剪定、またもや汗汗汗・・・でまた水代わりのイッパイ。
ああ、疲れた。50分のお昼寝。起きてイッパイは・・・なし。

考えて見ればストーマちゃんのことも、ウンコちゃんのことも、これっぽっちも思いださなかった。
そう言えばオナラちゃんがないねえ。
もしかして汗と一緒に出たのかしらん・・・・まさかネエ。

とにかく今日のストーマちゃん、なんて良い子でしょう。

●オナラちゃんのこと
コンサートとか、講演会とか、シーンとしている所は神経使っちゃいます。クラシック音楽のピアニシモの場面なんかは特にネ。低音のサウンド付きだったらどうしよう。
間違えて、トロンボーンかチェロの低音が鳴ったなんて誰も思ってくれない。
発射の感覚はかなりの確率で感知できるものです。
手の平、あるいは腕をストーマの上から押し付けると、音が吸収されてかなり小さくなります。
間に合わないときは仕方ありませんが、試してみてくだい



≪2001.07.03・・・・午後6時≫
3日サイクルの洗腸ローテーションの完成を目ざして、日夜努力を続けてきた平さん。
先だってから2回つづけて2日しか持たず、こんなこともあるさドンマイドンマイと強がりつつも、やや落胆は否めなかった。

さあ今日はその2日目、48時間を迎えている。 そうっと覗いて見よう・・・・ヨッシャ、ウンコちゃんなし。オッケーオッケー
もうこのあと出てきても明日の午後までは洗腸なんかゼッタイにやらないぞー。平さんかちどきの声。

だけど今日はけっこう臭いオナラちゃんがよく出ているねえ。3、4日少なかったからちょっと懐かしい気分で、鼻の孔を大きくして深呼吸するみたいに臭いを確かめたりして・・・他人のオナラだったらゼッタイにそんなこと出来ないようねエ。
気温が33℃もあると何だか余計臭く感じちゃう?気温って関係あるのかなあ。

とにかく今日はストーマちゃんを褒めてあげる。あとでシャワーでよく洗ってあげるね。
●ストーマを造設したころ、ウンチが汚くて汚くて、ビニール製のパウチの上からでも触れなかった。
本来の肛門から出たウンチ、紙が足りなくて4つ折りくらいで使ったときに指にチョコッとついちゃった経験ありますよね。え、ない?じゃあ平だけかなあ・・・。そんなのはそれほど深刻に感じないのだけれど、ところがストーマからのヤツはもうぞっとするほど汚くておぞましくて、皮膚がすりむけるほど洗ってもまだ自分の手じゃないみたいだった。 この世のものとも思えぬ異質な存在なんですね。
こんな可愛いストーマちゃんを、可哀相にそんなにも毛嫌いしていた(ゴメン)
洗腸のあとのウンチのついた道具の水洗いは切なくて、慣れるのに3ヶ月はかかったかなあ。
今は手についたって屁ともない。
考えて見れば、口から入ったものがウンチになって出てくる。仕組みはストーマも同じだもの。
ストーマ人生、これも『慣れ』がものをいう世界のようです。

初心者のみなさん、おおらかに行きましょうね。

≪2001.07.04・・・・午後8時≫
昨日の午後、洗腸から48時間経過時点でウンコちゃん無し。手放しで喜んだ平・・・。
さてそのつづきは・・・。

その日の夕方、ほんのちょっぴりだけコロッとしたヤツが出た。オオッ、喜ばせておいてちょっと早いじゃんか。
とりあえずこんなコロは無視して平は寝たネエ。

熱帯夜の夜が明けた。ストーマちゃんおはよう。
レ、レ、レ、レ・・・出てるじゃん。 それも寝返りを打つたびに体重に押されてペッチャンコで腹にへばりついている。
4つ折りティッシユをはみ出していたが、防臭布がかろうじてガードしてくれていた。
汚ねえ・・・だけど不思議にあんまり臭わないのだよ。
こんなんでジョギングサボったら男じゃねえ。簡単に拭きとって平は夜明けの町へ駆け出したヨ。
30分くらいのジョギングだったら、風呂に入るときに貼り付ける「ミニパッド」で大丈夫。水溶便でどんどん出たら耐えきれないが、ウサちゃんコロンくらいはへっちゃら。

ジョギングがすんで、お腹べったりだったウンコちゃんのこびりつきををキレイに洗ってあげて、そのあとはパウチさんよろしくね。
今日の午後洗腸するときは、パウチの中に親指の頭くらいのヤツが三つほど出ていたね。

丸3日もたせるのは、なかなか難しい。でも平は諦めない。 また明日があるさ。
今日の洗腸はご入室から完璧に終るまでたったの40分。平さん絶好調。ヨ〜シ、今度は3日間もってちょうだいよ。
●温泉に入るときは、大丈夫と思ってもミニパッドを貼ります。
万一浴槽にウンコちゃんが出てしまったらオオゴトですよ。オオゴトではすまされないかもね。温泉に入るときは、これだけは気をつけましょうね。


≪2001.07.05・・・・午後8時≫
昨日の洗腸は最高の出来だったし、今日は人工肛門というわが身を忘れるブラボーな1日。

ところが調子に乗って妙な誘いに引きこまれてまったヨ。
「核兵器をなくして平和な世界を」という運動に参加しようという誘いの電話。
何をするのかと思ったら、ナ、ナント・・・・ 広島、沖縄で点火した「平和の灯」のトーチを掲げ、各町村の役場をジョギングで訪問する催物に伴走しろというとんでもないもの。
36℃の炎天下ですヨ、ホントウニやる気?
ストーマちゃんを忘れる大切な大切な1日、そこまでやらなくてもいいんじゃない。

10時から1時までの暑い日盛り、結局5つの役場を回る区画を付き合いました。トーチランナーは一人2キロ弱ほどで交代ですが、ハッスルした平さんは10数キロの距離を走ったことになります。まるでフライパンの上でした。
もう死ぬかと思った。ホントウにバカな平です。

ミニパッドでストーマちゃんを大切に覆い、終ったあとはもうオナラちゃんのことも何のその、立て続けに生ビールを飲み干しちゃった。
帰宅して昼寝して、そして我に返った・・・・オオ、やっぱりオナラちゃん連発だよ〜。 これだけ飲んじゃうと、多分次のウンコちゃんまで丸2日空くのは無理だね。
見境もなく飲んじゃったけど、このビールが美味くなくて、この世にどんな美味いものがあるってんだ。ショウガネエ、アキラメヨウ・・・・と言いながらまたも「反省」することしきり。
●洗腸が快調だったとは言え、アクシデントは忘れたころにやってきます。真っ昼間の沿道で下痢便でもあったらそれこそ大変です。早朝ジョギングのティッシュではやや心元ない。マラソン大会などもそうですが、昨日の日記に書いた「ミニパッド」で走りました。大量に出たらこなパッドでは対処不能ですが、いろいろ考え過ぎたら何にもできなくなってしまいますよネ。そのきは♪ケセラセラ♪だヨ。
3年ほど前ですが、早朝ジョギングの途中で水溶便が出てしまい困ったことがあります。このときはティッシュをガーゼで止めていただけです。拭くものもありません。汚れたままの短パンで家まで走って帰りました。


≪2001.07.06・・・・午後6時≫
やはりビール過多でしたねエ。
洗腸から1日半しかたっていないのに、朝起きてみたらティッシユの陰に隠れるように出ていました。
つまり、ビールの泡がオナラとなって、ウンコちゃんを押し出す役目をしているのだと平は分析しています。ホントかなあ、自信ないけれど。

本来なら、今日だって準ルンルン日のはずが、ブルーの一日になってしまった。 午前中からパウチを付けるハメに。
午後3時、パウチの中にはウサちゃんコロコロが2粒というささやかな収穫?
それを確認して、また1日早い洗腸となってしまった。洗腸はほぼ1時間で終了。まずまずかな。

最近パウチを付けたり、ミニパッドを貼ったり。 その回数がいつになく多目。とたんなストーマちゃんの周囲の皮膚が赤くなってきた。少し痛かゆい。
何とかパウチを貼るのを減らさなくてはもっと辛くなる。 ビールをやめる?ウン、今日は涼しいからやめておこう。
それに少しくらいウンコちゃんが出たって、ティッシュだけですますことにしよう。少し臭ってもいいや。だれか来たら居留守でいばいい。
●私はオツムと同様、皮膚が少し弱めに出来ています。
人工肛門で辛いことの一つにストーマ周囲の皮膚のタダレがあります。
接着剤の化学的な刺激はもちろんですが、大きい要因はパウチなどを剥がすときの皮膚への刺激です。そおっとそおっと、本当にやさしく剥がすことが大切です。
雷様が鳴ったって、慌てて剥がすようなことはせずに、あくまで優しくがモットーです。


≪2001.07.07・・・・午後8時≫
洗腸翌日、それは3日おきに訪れるルンルン日。
そうは言っても、洗腸の翌日だってウンコちゃんの出ないという保証はこれっぽっちもない。
ところが今日はゼッタイにウンコちゃんは出ない。そうした確信に満ちていた。
稀だがそうした日がある。

確たる根拠はないが、胃とか腸の感じ、オナラちゃんの出具合、それに第6感・・・・etc。
「丸3日は、ウサちゃんころころ一つ出ない」そんな自信めいたものもある。

今日は家内と西国観音霊場の竹生島(宝巌寺)、三井寺、石山寺を一日かけて回ってきたが、もちろん例のティッシュ4つ折りだけ。「ウンコちゃん出てないかな」なんて、ただの一度も気にもしないし、のぞいても見ない。
ガスも数に入らないささやかなヤツが2、3発あっただけ。
ストーマに関してはまさにパーフェクトな1日が暮れようとしている。 今夜は良い夢を見よう。
●生身の体です。日々体調は微妙に変化しています。
ストーマを造って年月を経ると、自分の体調とストーマとの関係が、そこはかとなく感知出来るようになるものです。
しかしそのことは両刃の剣、わかったつもりの油断が得てして大失敗につながります。用心に越したことはありません。
サラリーマン現役のとき、パウチ無しで乗った超満員の通勤電車の中で水溶便が流れ出して、死ぬより辛く恥ずかしい思いをしたことがあります。くれぐれもご油断めさるな。

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